「桜で思い出す出来事」(ログスター)
『桜の木の下には死体が埋まっている』
桜の花が咲き始めると、やっと春の訪れを感じる。
凍てついた季節が終わりを告げ、春のほのかな暖かさがすがすがしい。
そして、それを飾るのにふさわしいのが、美しい桜の花だと思う。
でも、その尋常ではない美しさを見るにつけて、ボクは上の言葉を思い出す。
梶井基次郎の『桜の木の下には』という小説の一節。
ボクはそれを中学生の時に読んで妙に納得をしてしまった思い出がある。
何の根拠もないのだが、「桜の花の美しさはそこにあったんだ」と思ってしまったのだ。その衝撃は今も残っている。
正確には次のような一節である。
「桜の木の下には死体が埋まってるんだ!だって、桜の花があんなに美しくて見事なのって信じられないだろ。だけどやっとわかった。桜の木の下には死体が埋まっているんだ」
現代の桜の代表である「ソメイヨシノ」には『寿命60年説』というのがある。
理由は「接木によるクローン説」と「元々寿命が短い種類であるという説」とがあるがいずれにしても、戦後、復興の証として植えられた「ソメイヨシノ」はもうすでに寿命を迎えている。
何百本もの桜の花がハラハラと散り、その木が朽ち果てていく光景を思い浮かべるにつれて、その木に命を与え続けた、木の下の死体は成仏するのだろうか。
などとくだらないことをふと思ったりする。
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