大変だろうな。
と漠然と思っていた芝居の制作ですが、僕に良き経験と挫折をもたらす飴とムチな奴であることが最近分かりました。
大変と一言で言いましても僕も何かんやこの業界に10年ほど身を置くわけでして、お笑いのステージを中心に、トークショーやインテックスで行われるような展示会、学園祭、SP、などに関わり、観客に披露するまでの道のりは蛇の道であることを充分に理解した上での”大変だろうな”だったのです。しかし芝居に関わったことはなくて、公演日も多く稽古もある。衣装も舞台装置も小道具も出演者も多い。前述の単発イベントの類と違い労力はかなりのものだろうという事を分かっていたはずです。
が、その予想を遥かに超える難題につまずき立ち上がりしながら12月23日の最終日に想いを馳せている次第です。
今回の公演はかわら長介さんのプロデュース公演。
劇団とは違い、劇団特有のプロパガンダめいた事で様々な事をひとまとめにする事が出来ない分、智恵と決断とスピードと気遣いとマメさと丁寧さと冷酷さが一体とならなければ事がスムーズに運ばないようです。
ではこれから制作者を目指す人へ向けてワタクシのメモを残しましょう。
●チームを編成しよう
芝居でもイベントでも団体戦です。出演者、脚本、演出、技術(音響、照明、舞台監督、美術、衣装、デザイン・・・)、制作、広報、その他もあると思いますが、とにかくこれらのスタッフを最初に集めて編成すること。これがうまく稼動しないとかなり大変です。今僕はこの芝居で、出演者のスケジュールや時間調整、稽古場の押さえ、稽古日の設定、制作物の手配、お金の管理、広報、チケットの手配、劇場との交渉などを受け持っていますが、特にスケジュール調整や稽古場の押さえはなかなか曲者で、これがうまく行かないと稽古はできるけど稽古場がないとか、稽古場はあるけど稽古できる人がいないという状況になります。またお金もどんどん出て行くので、最小限のコストで最大限という難題に立ち向かわねばなりません。そうするとその他が手薄になる場面も出て来ます。
チーム編成がきっちり出来ていればこれらを分担する事ができるのでしょうが、今回は若き作家に手伝ってもらっています。もちろんこれらは作家の領分でもないし経験もないので、なかなかお願いしきれない面もありますが、今回、城田や塚腰という作家にはかなり助けてもらってます。まず、経験の有無を問わず最初に役割をはっきりさせ、その役割をきっちりこなす意志を確認してチームを編成するのがこれらの制作の第一歩ではないでしょうか。
●劇場を押さえる
次に劇場を押さえます。これも一年前などから押さえるのがベストです。
一年前だと出演者のスケジュールはかなり融通が利くだろうし、劇場も好きな日を選べます。今回は11月の公演に向け4月頃から探しましたがそれでも狙っている劇場の空きがないという場面に多々出会いました。が、その中でも理想に近い劇場(広さやコストなど)を見つける事ができました。
●お金
やっぱりこれが一番難題!何でもそうですが値の張るモノは山ほどあるのに安くていい物は競争率が激しい。という当たり前すぎることを実感するでしょう。余程予算のある公演を除いてはこの悩みはどこも同じでしょう。そこを解消する手段は一つ。手間を惜しまない事。1本120円のジュースはすぐ手に入りますが、10円のジュースはなかなか手に入らない。しかし、10円のモノを気が遠くなるくらい捜し求めていると30円のジュースが見つかったりします。そうやって少しでもコストを抑え、それでいて出演者には良い環境を作る。それが一番の使命だったりします。今回、稽古場や劇場を探すのに何日も何日も調べて電話してを繰り返しました。1日100万円の劇場、1時間1万円の稽古場はすぐに見つかるんですけどね。
●広報
面白い舞台でも誰も知らなければ客が来ない。この問題は公演が終わるまで付きまとい、寝れない日が続きます。過去僕が関わったイベントの中で唯一の失敗、300人入る劇場に40人しか来なかったという経験もあるだけにかなり不安な要素です。今回、基本事項が決定するまで時間がかかったため、広報活動のスタートが遅れました。基本的にはチラシの挟み込みやWEBでの宣伝、新聞や雑誌へのリリース、出演者のホームページで告知、などこれもお金をかければテレビなどで大々的に宣伝できますが、手間と智恵で一人でも多くの人に知ってもらう手立てを考えねばなりません。リリースと簡単に言ってもそこに書く公演内容がつまらなく伝わると取り上げもしてもらえない訳でシコシコ考えて書き直しという小さな難関を突破せねばならないのです。
●報告、連絡、相談
「ほうれんそう」ってやつです。意外に簡単でありながら難しい事です。連絡が遅れると迷惑がかかる。報告しないと迷惑がかかる。相談しないと後で取り返しのつかないことになる。などいい事無いわけで。これらをスタッフや出演者の間で風通し良くすることでスムーズに事が運びます。制作の人はこれが特に重要ですが、どこまでを報告すべきか連絡すべきかも考えないといけません。今回の公演はかわらさんが代表者ですが、脚本、演出、出演とこなしている中、余計な報告や連絡、相談は足手まといになるので何でも報告すればいいって訳でもないでしょう。こちらで判断できる事はしているつもりですが。・・・難しいですねぇ。
とまだまだメモはあるのですがまた今度。
黒澤明の「七人の侍」は異なる特技を持った七人が集まり一つのミッションをクリアするというシンプルなストーリーですが、芝居も会社もスポーツも何でもそれぞれの力を結集させ総力戦で挑む事で一つの目的を達成する訳でこの映画を絶賛する人が多いのは色んな事に通じてるからだと思います。
かわらさんは台本を書き、稽古をし、演出をし、を忙しい中されています。出演者の皆さんも仕事の合間を縫って台本を覚え稽古に励んでいます。作家は稽古に参加しながら東京へ行けない僕の仕事をしてくれており、これからは小道具制作や発注作業も舞い込みます。広報も様々な人が協力してくれています。それぞれが一度も失敗できないモグラ叩きに挑んでいるように見えます。
脚本、演出、出演者、音響、照明、舞台監督、美術、広報、デザイン、制作、その他関わる全ての人が誰一人欠けても誰一人手を抜いても命取りになるという面白さと怖さを今改めて感じています。さぁ頑張ろう。