第三十一夜 解散
「やればできる…」と念仏のように唱えつつ、がんばってきた十年でした。
うまくいかないこともいっばいありました。
嫌なこともいっぱいありました。いっぱいだまされました。いっぱい恐い目にあいました。
夫はげっそり体重が減りました。どうせ中年太りの時期だし、ま、いいけど。
私も最初の倒産騒ぎの時は、さすがにやせました。
でも、今はしっかり元に戻っています。
というか、それ以上かも…女はしぶとい。長生きするはずだね。
一応、我社は「株式会社」でした。
最終的には、夫婦二人の「個人商店」のようなものだったけど。
でも、もはや、二人で会社としてやっていくのも限界に来ました。
とりあえず、リセット。けじめとして、会社としては〃解散〃することにしました。
これは、「会社としての営業活動をやめます」ということを正式に法務局へ届けるということ。
会社を創るときに設立の登記をしたけど、これはその逆。
司法書士さんに、「お願いします」と書類を作成してもらって、法務局に提出しておしまい。
なんともあっけなく、「株式会社 工房プラス・ワン」という会社はなくなったんです。
〃プラス〃どころか、まさに〃マイナス〃続きの会社ではあったけど。
手形を不渡りにしたわけでもなく、支払いを踏み倒した訳でもないので、〃倒産〃ではないけどね。
ただ「やーめた」宣言。リセット状態。また景気が良くなって、始めたくなったら、「この指とーまれ」
と、役員を集めて届けをすれば、すぐに復活できます。
そう、スタートボタンさえ押せば、また、いつでもゲームは始まるのです。
まだまだ、私の電池には元気がいっぱい。でも、しばらくは休眠。
この年、〃X JAPAN〃も解散しました。
以前、せっかくGETした福岡ドームのライブチケットは、yoshikiのケガで公演三日前に中止に。
とうとう生のyoshikiにもtoshiにも会えなかった。
残念。普段は観ない年末の〃紅白歌合戦〃も、X JAPAN最後のステージとあっては、
観ない訳にはいきませんでした。
涙、涙、涙…。
でも、元気で生きていれば、また別のかたちで彼らに会うことが出来るかも…
そう、夫も私も元気に一日一日、クリアしていけば、きっとまたそのうち、きっとまたそのうち、
〃再結成〃
そんなことを願いつつ、祈りつつ、平成九年は穏やかに、ゆっくりと暮れていきました。
最後のおまけの話
最後のページを書き終えた時、テレビのニュースで、
X JAPANのメンバーだったhideが亡くなったことを知りました。
〃再結成〃が不可能になってしまった。
ジョンがいなくなったビートルズと重なりました。
「なんで…なんで…なんで…」
先の見えない景気に、大企業も零細企業も、そしてサラリーマンも、倒産、リストラ、
解雇と、次々にとどめを刺されています。
でも、「負けるもんか!」
我ら主婦、いいえ、女性が元気にがんばっている限り、世界はきっと〃再生〃します!
ホラー映画のラストシーンのように、深夜、たくましい女の〃にぎりこぶし〃が
氷河で凍った台所の床を破って、ずんずんと天へ向かうのです!
バブルと不況の夜をいくつも超えてきた、その日の空は、満天の星。
〃にぎりこぶし〃の向こうで、星がひとつ、きらりと光って流れました。
今をたくましく生きていこうとしている〃マリア〃たちへ、
その〃流れ星ひとつ〃あげましょう。
あなたの願いは、夜空の彼方へ向かって行くです。
そして、きっと…
そして、きっとたくましい〃マリア〃たちは、必ず・・・必ず〃キリスト〃を復活させるのです!
(完)

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