【初体験】
〜昭和61年10月31日〜午前8:30。
国鉄新宿駅を降り東口から出ると、仕事に向かうサラリーマンやOLの人々と、夜の仕事や遊び終えて新宿駅に向かう人々がアルタ前の交差点を交わりながら、歌舞伎町は陽のあたる姿に変わっていくようです。
11月から始まる(美空ひばり40周年記念公演)のリハーサルの為にコマ劇場に向かう足は、夜とは違う光景を確かめるようにゆっくり歩いていました
華やかな夜の観光地は陽があたり始めるとコマ劇場や、その地下にあるシアターアップル、映画館等に地方からの観光で訪れた人々や休日を過ごす人々が集まり始めます
コマ劇場近くにあるテレクラのスピーカーから流れる宣伝アナウンスと電話ボックスに貼られている怪しいチラシが夜の名残を覗かせているようで…
ソープランドは夜明けから営業しているのか客引きが執拗に声を掛けてきます、やはり歌舞伎町、怪しさが消えることはないのだろうか。
コマ劇場の裏にある楽屋口には警備員が立っています
「今日から幕内課で働くんですけど…」
「お名前は?」
「伊藤パオです」
「お〜い!おはよう。中に入れよ」
安食さんが中から声を掛けてくれました
「とりあえず劇場の中を案内するから…お〜い高田君、今日からキミの下で働くパオ君だよ、中を案内してあげて」
身長が180cm程ありガッチリした体型の高田さんは劇場の中を案内しながら、自身の事についても話してくれました
本職は殺陣師、年齢が38歳で出身が栃木だという事など…
家族を養っているから、本職以外に劇場の仕事で生計を立てていかなくてはならない事など、
……うむ?!本職が殺陣師で生計を劇場の仕事ですか?……
この言葉の意味は後に出会う役者さんに教えられました…
「あのぅ…僕の仕事は何をしたらいいんですか?」
「ドライアイスとロスコだよ」
「ドライアイスは知ってるんですがロスコって何ですか?」
「芝居で爆発のシーンに使う煙だよ、ロスコオイルってのを機械に入れて煙を出すんだ」
「はぁ…」
「13:00からリハーサルやるから使い方を教えるよ、心配なし!」
初体験ですから心配ですよf^_^;
劇場内を見て回ると見る物全てが目新しく、時間が経つのを早く感じました。
昼食の弁当を食べ後は、リハーサルが始まります
「ほら、これが台本だよ。」
舞台は2部構成になっていて、1部は(萬屋錦之助)が友情出演の(春秋 千姫絵巻)と言う芝居で、2部は(歌声はひばりと共に)という歌謡ショーです、
パオの仕事は高田さんと上手と下手に分かれて 歌謡ショーで雲のようにドライアイスをステージに流す事と、芝居の爆発シーンで煙を撒く事でした
簡単に思えた仕事でしたが、これが結構大変な仕事で…
リハーサルではスモークを出すタイミングは打ち合わせ通り上手くいったのですが…
さすがは日本を代表する歌手と役者の舞台です 細かい部分まで調整しています、
ひばりさんが言葉を発する度に緊張が張り…パオはこの仕事の重大さを再認識です(-.-;)
リハーサルが終わり帰る時間は20:00を回っていました、
「お疲れ様でした〜!」
劇場を出ると歌舞伎町は夜の顔を剥き出して誘惑してきます…
高田さんと新宿駅に向かう途中に何度も客引きが声を掛けてきます
「女に興味無いからゴメンね〜」
はぁ!?高田さんってアレですか?
「って言ったら誘ってこないだろ、な!」
何だか妙に納得しちゃいました。
さぁ いよいよ明日から本番です。
そして19歳になったパオは歌舞伎町の住人になっていくのです?!…続く(入隊まで、あと5年)
【ゆかりん観察】
首筋からピキッと音がして痛みがあるようです、油切れか…針治療に行かなきゃね。
【一緒に時代を創ろうよ!】
http://blog.livedoor.jp/hatsukoi2006/

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