7:火竜少女の過去1
それはまだ幸せだったあの頃にさかのぼります。
アカネ、そう私は小さな村のハンターでした。私の父は村の村長で、私の夫もハンターをしています。
「お母さん、今日も武具屋のお兄さんが色々教えてくれたの!」
自室でアイテム整理をする私に駆け寄ってきたのは、元気でかわいい女の子でした。その女の子こそが私と夫にできた一人娘のユキでした。
私たち夫婦は昼に狩りに行き、その報酬金などで家計を立てていました。一方、私たちが狩りに行っている間、ユキは武具屋のお兄さんへ武具の作り方を教えてもらっているようでした。
「お兄さん、今日は太刀特集だっ!って言ってね、太刀のこといろいろ教えてくれたの!」
「そう」
私はユキに笑顔でそう返した。ユキは昔から武器などに興味を持っているようで、将来お母さんとお父さんの武器を作ってあげるなんて事も言っているほどでした。
「ただいま!ユキちゃんいるかユキちゃん!」
大声でどたばた走りながら自室へあがりこんで来た一人の大柄な男。
「お父さん!」
そう、彼が私の夫であり、ユキの父なのです。村の皆は私には合わない男だとよく言いますが、彼の大雑把で、大胆で、いつも大声で子供のようにはしゃいでいる所が私はすごく好きだったのです。
「みろ!これなんの尻尾だー」
布で包まれた大きなモンスターの尻尾をユキへと見せる夫。
「んー、りおれいあ!」
ユキは真剣な顔をしてそういいました。
「ぶっぶーーー!正解はレウスの方でしたー。まだまだ未熟だなぁ、ユキは。そんなんじゃ武具屋なれないぞ!」
「これから勉強するんだもん!」
そうして、私たち家族にはいつも通り笑え声が聞こえ、仲良くて、楽しい毎日をすごしているのでした。
この幸せが、この家族が、いつまでも続くといいと、いつまでも続くものだと思っていました。
しかし、この世の中は皮肉なものでした。
ある日のことです。まだ明け方のことでしょうか。村人が騒いでいるので私たち夫婦は目が覚めました。
「どうしたのでしょうか」
「さぁ、わからん」
とりあえず、良いことは起きていないだろうということだけは予想できました。私はふと隣で寝ているユキの方を見みると、ユキは幸せそうな顔をしながら静かに寝ていました。
「・・・とりあえず見に行くぞ」
彼と私は、ユキを起こさずに外へ出てみました。するとそれはまるで地獄を見ているかのようでした。
天にも地にも無数の火竜、レイアやレウスで埋め尽くされているのです。私は唖然としました。
「なんなのですか・・・ッこの光景は・・!」
「ア、アカネさん!」
自室から出てきた私たちに気づいた一人の傷だらけの青年がこちらへと寄ってきました。その彼は、いつもユキがお世話になっている武具屋の青年だったのです。
「いきなりです、いきなり火竜があんなに・・・!今村にいるハンターではもう太刀打できません!」
「そんな・・・村へ火竜が襲いに来るなど前例が・・・。ほかの、ほかの村人は・・・!」
「村人は逃げました・・・!村に居合わせたハンターは火竜と戦っていますが、この数では・・もう・・・・どうかお逃げください・・・どうか・・・」
そういうと、彼はがくりと地へ体をつけた。
「おい、大丈夫かにいちゃん!おい!」
あわてて、夫が青年を抱きかかえながら呼びかけますが、その青年はびくともしません。
「・・・逃げろ、お前はユキを連れて逃げろ!」
彼はその青年をそっと地面へ寝かせながら叫んだ。
「いやです、私も戦わせてください!」
「それじゃあユキはどうなる・・・!この火竜の数じゃあ戦いながらユキは守れないだろ!」
「ですけど・・・!あなたはどうなるのですか!」
「・・・他の村へと行って、ハンターをこの村へと向かわせろ・・・!」
「・・・もちますか、それまであなたの体」
「なめてもらっちゃあ困る・・!俺の強さはお前が知っているだろう?」
「わかりました・・・・。生きていてください、私のためにもユキのためにも・・・!」
「ああ」
そういうと、私はユキを寝かせたまま担ぎ、他の村へと走りました。
私がユキを起こさなかった理由、それはこの外の光景をユキへ見せたくなかったから。
もしかしたら、父と一緒に残ると言い出してしまうかもしれないから・・・。
普段ハンマーや大剣を振り回してるハンターの私にとって、ユキを担いで走る程度なら、なんなく他の村へと行くことができました。
その村には集会場もある、割と大き目の村でした。私はその村で訳を話しました。しかし、その村のハンター達の反応は冷たいのもでした。

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