2016/5/16  0:08

安中緑の大地を守る会総会でわかった東邦亜鉛安中製錬所スラグ置き場新設計画の驚くべき概要  東邦亜鉛カドミウム公害問題

■2016年5月14日(土)午前8時から、安中市岩野谷地区西岩井にある安中緑の大地を守る会の事務所のある公園で、毎年恒例の清掃作業が行われ、15名ほどの会員が参加しました。
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草刈り作業に精出す会員の皆さん。


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安中公害闘争の記念碑「緑の大地を」。
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公園の隣は、曰くつきの高崎信用金庫の野球グラウンド。

 草刈りや枝切り、事務所の掃除などでおよそ1時間ほど作業を行ったあと、午前9時から事務所内で安中緑の大地を守る会の2016年度総会が開かれました。

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総会の模様。

 初めに91歳になっても矍鑠としておられる会長の藤巻千浪さんから、挨拶をいただいた後、会計監査報告が会計監査の中嶋さんから発表され、承認されました。

 そのあと事務局長の白石さんから、前年度活動報告と今年度活動予定について説明があり、これも承認されました。

 次に、安中市役所市民部環境推進課との補助金要請協議について、3月22日に真下課長と須藤課長補佐と話し合いを行い、補助金復活に向けた折衝に入ることが決まったという報告がありました。これは10年前までは、東邦亜鉛安中製錬所の公害問題に長年取り組んできた安中緑の大地を守る会の活動に対して安中市から補助金が支出されていましたが、岡田義弘・前市長のときに補助金が突然打ち切られてしまい、その後、現在に至るまで補助金の交付が停止したままとなっています。

 その次に役員改選について、現在の体制維持が確認されました。

■そして、最後のテーマとして、東邦亜鉛の鉱滓置き場の設置について、事務局から報告がありました。

 それによると、4月26日午後4時に、東邦亜鉛安中製錬所の吉澤副所長と中嶋環境管理室長の2名が、緑の大地を守る会のこの事務所にやってきて、次に示す「遊休土地の有効利用計画について」と題する地元説明会資料を、会の役員らに配布して説明していったのだそうです。

*****東邦亜鉛地元説明会資料*****PDF ⇒ 20160514vxou.pdf
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<地元説明会資料>
                         平成28年4月吉日
      遊休土地の有効利用計画について
                    東邦亜鉛株式会社安中製錬所

<計画の概要>
1)約半世紀にわたり、遊休土地となっていた旧超高圧変電所跡地を利用し、製錬工程の副産物として発生する「K砕(ケイサイ)」の、新しい保管・出荷場を整備します。
2)新K砕保管・出荷場整備に当たっては、将来の環境規制強化や物流事情の変化も勘案し、環境に優しくより効率的な作業場となる工夫を行います。
3)具体的な整備内容としては、対象土地面積は約12,000uで、床面は全面コンクリート打設を行い、周囲は高さ6mの壁で囲い、散水設備を備えて十分な粉じん発生防止対策を講じることが中心となります。
4)進入道路は、大型トラック用に6m幅の道路を会社側に取り付け、西の平側の出入り口は塞ぐ計画です。
5)該当する法規制は、大気汚染防止法の「一般粉じん発生施設の届け出」が必要となります。(現在のK砕出荷場も同じ法規制がかかっています)

<計画立案の背景>
1)トラックの大型化が急速に進み、所内道路や積み込み場の問題が発生し、安全確保と作業効率向上のために、新しい置き場整備の必要性が高まってきました。
2)一方、旧超高圧変電所跡地は、平成17年に一部の設備解体と整地を実施し、井上道路蒲lの資材置き場として、今日(平成28年3月末)まで10年間貸し出していましたが、契約期間満了を契機に当社での有効利用を計画しました。
3)当該場所は、かつて公害紛争が発生する要因となった歴史もありますが、これからは地域の皆様との新たな信頼関係のもとに、所有する土地の整備と有効活用を図るべきと考えました。

*旧超高圧発電所跡地にかかわる歴史*
 今から50年前の昭和42年、会社が増産を目的に計画した超高圧送電計画は、それを進める過程で会社と住民の皆様との間に数々の行き違いが生じてしまい、以降20年間にも及ぶ公害紛争の発端となりました。
 安中公害紛争は、関係者のご努力により、昭和61年9月に「和解」という形で決着いたしましたが、超高圧送電設備は一度も使用されず、跡地も今日まで半世紀にわたり、遊休土地として有効利用が図られずに時を刻みました。


■計画予定地 位置図
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■地域の皆様との共存共栄を求めて <ご質問にお答えします>
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K砕(ケイサイ)つて何?
1)ロータリーキルンという装置から発生する、形状は5〜20mm径の大きさで、固く多孔質で、見た目の色は黒い焼き砂状のものです。
2)主成分は、鉄が40%、亜鉛が3%前後含まれており、年間50,000T程度発生しています。
3)主な販売先は、@鉄原料 A建材用原料 Bサンドブラスト材 Cセメント用原料向けに販売しています。
粉じんに有害物資は含まれないの?
1)製錬所内に保管されている様々な原料は、鉱石由来のカドミウムや鉛などの重金属が含まれており、どんな粉じんでも外部に漏えいさせないことが原則です。
2)K砕は、重金属を回収した最終工程から出るもので、土壌に溶け出すような有害物質を含まない「一般粉じん」の扱いで、屋外貯蔵も認められている物質ですが、粉じん発生は極力抑えるべきとの認識でいます。
粉じんの有無を数値化できないか?
1)製錬所周辺の降下ばいじんは、県の環境保全課が毎月測定して、結果は毎年9月に発行される「環境白書」に報告されています。
2)西の平や伊勢宮では、ダストジャーにより24時間365日測定されていますので、粉じん発生量の増減があれば、現在でも数字で評価されています。
3)27年度の白書では、「過去5年間減少傾向である」と、良い評価を継続しいて頂いていますので、新K砕保管・出荷場整備により、評価が下がるようなことはしません。
高い塀の設置は風向きや景観に悪影響はないか?
1)新しく6mの高い塀の設置を計画していますが、当然、地域の皆様に対して悪い影響が出ないよう、経過を観察しながら継続的な改善を目指します。
2)具体的には、これまでの荒地の景観を改善し、工場の騒音や粉じんを防止する効果を追求し、工場周辺の環境改善にっなげたいと考えています。
3)今後も地域の皆様からの情報に耳を傾け、会社は継続的に改善を図っていくべきと考えていますので、何か不具合等ありましたらご連絡頂きますようお願いします。
工事の日程は?
1)4月に実施した地元説明会の後、直ちに群馬県に対して「設置届」を提出し、5月中旬からの工事着工を目指しています。
2)地元説明会において、地元の皆さんから出されたご意見・ご要望は、計画に織り込むように工夫して、最終的な完成は9月下旬を目標にしたいと思います。
3)長い工事期間となりますが、工事中に地元の皆様が不快な思いをなされないよう、万全な準備と細心の注意をはらい、安全に工事を進めたいと考えています。
**********

 東邦亜鉛側の説明によれば、現在、鉱物商品市況が下がっており、利益が非常に少なくなったことと、亜鉛を回収したあとのスラグが、かつては鉄原料として売れたが、今はほとんど価値がなくなってきてしまっていること。そのため、出来たら遊休土地に鉱滓置き場を作って、分別処理をすることで、少しでも資源ごみとして、価値を高めて、有価物として販売することで、利益の目減りを抑えたいという意向だということです。

■緑の大地を守る会としては、かつて東邦亜鉛安中製錬所から出る亜硫酸ガスに苦しめられ、農地を持っていても作物が取れない状況に追い込まれたため、農地の固定資産税さえ払えなくなり、やむなく東邦亜鉛に農地を売らざるを得なかったため、どんどん東邦亜鉛安中製錬所が西岩井のほうにせり出してきたので、さらに公害がひどくなった経緯は、会員全員が知っています。

 そのため、野殿から中宿におりる、タテの沢からそれ以上東に進出されないように、東邦亜鉛には転売しないという念書付きで、高崎信用金庫、協立精工、そして今のオサカベ自動車所有(その前までは研屋が所有)の土地をただ同然でそれぞれ売り渡すことになったのでした。

 ところが、東邦亜鉛は、現在の高崎信用金庫のグラウンドになっている土地を取得し、その土地と、西岩井の農民らが高崎信用金庫にただ同然で売った土地を交換する形で、首尾よく、超高圧送電計画用の受電設備建設のための用地を、安中製錬所に隣接した確保できたのでした。

 しかし、東邦亜鉛の増産に協力して、超高圧送電線を強引に引っ張ろうとした東電のやり方に地元農民らが反発して、結局、安中公害問題が全国的に知られるようになり、公害闘争も激化したため、超高圧受電設備は一度も使用されることなく、現在に至ったのです。

 緑の大地を守る会としては、東邦亜鉛に対して、この曰く因縁付きの土地に、東邦亜鉛が新しいスラグ置き場をつくることについて、どうしても納得がいかず、4月9日の工場視察会後の意見交換会でも紛糾する場面がありました。

■筆者も、4月9日の工場視察会後の意見交換会で、新スラグ置き場設置計画について知った時、非常に大きなショックを受けました。

 今回、緑の大地を守る会の役員らに対して、4月26日に「地元説明会資料」として配布された資料を初めて知りましたが、資料の内容に目を通して感じたことは次のとおりです。

(1)東邦亜鉛安中精練所周辺の降下煤塵等による畑地の重金属汚染対策として、公害特別土地改良事業が進められているが、土壌中の重金属汚染の深さが次第に大きくなったため、排土量が著しく増大した。

(2)そのため当初は、東邦亜鉛安中製錬所に隣接する北野殿の北浦地区に、数ヘクタールの緑地帯を設け、そこに排土した汚染土壌を埋め込む計画だったが、それでは汚染土をさばききれないため、北野殿地区の窪地にそれらの重金属汚染土壌を埋め込むという計画を、群馬県農政部が立てた。

(3)しかし、それでも汚染土壌は納まりきれないため、原因者である東邦亜鉛に汚染土を受入れてもらう必要が生じている。

(4)ところが今回、東邦亜鉛は、公特事業に必要な分担金をいくら支払うのかはまだ確定していないようだが、地元住民側は減歩により、緑地帯を数ヘクタール捻出するのに、東邦亜鉛は、汚染土の受け入れはおろか、本来、自らの構内に設けるべき緑地帯も、すべて北野殿住民に押し付ける形となっている。

(5)にもかかわらず東邦亜鉛は、1.2ヘクタールの遊休土地が、井上工業から戻ってきた途端に、今回の新K砕(=スラグ)保管・出荷場の設置計画を持ち出して来た。

(6)本来であれば、公特事業で発生する汚染土壌を全て原因者である東邦亜鉛が責任をもって処理しなければならないところである。今回1.2ヘクタールの遊休土地が生じたのであれば、当然、緑地帯として、汚染土壌の受け入れスペースとして利活用すべきである。

(7)しかも、位置図で見る限り、現在のK砕出荷場の面積はせいぜい0.2ヘクタール程度であるにもかかわらず、なぜ1.2ヘクタールもの新K砕保管・出荷場を整備しなければならないのか、その必要性が全く理解できない。

(8)会社側の説明では、スラグ運搬用トラックの大型化により、現在のK砕出荷場では大型トラックが入れないので、新K砕保管・出荷場が必要だという。であれば、現在使用していない旧・焙焼工場を解体して、そこに新K砕保管・出荷場を整備すべきである。

(9)会社側の説明では、K砕を選別して、すこしでも多く有価物として販売し、コスト改善の一助にしたいということだが、大雪で倒壊した鉱滓置き場を一昨年に建て替えたばかりであり、いったい何を選別作業により有価物化する予定なのか、皆目見当がつかない。


■以上のような疑問があることから、筆者は、東邦亜鉛が4月の地元説明会の後、直ちに群馬県に提出したとする「設置届」の内容を精査する必要があると考え、さっそく群馬県に対して、情報開示請求の手続きをとることにしています。

【ひらく会情報部】

※参考写真
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事務所の壁に貼ってある1980年代当時の貴重な活動記録を示すポスター。下のポスターの似顔絵は藤巻卓次氏。藤巻千浪氏の父である。
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大気汚染調査位置マップ。
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緑の大地の公園完成当時の見取り図。
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