2017/4/23  1:09

【続報】大同有毒スラグを斬る!・・・「検察審申し立てず」、では“一体だれが責任を取るのか”!  スラグ不法投棄問題

■大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場(渋川市)の有害スラグ問題で、刑事責任を問う刑事告発が不起訴となった問題で、廃棄物の監督官庁である群馬県が「検察審査会への申し立てをする考えは無い」と態度を急変させた報道がなされました。続報が入ってまいりましたので見ていきましょう。

**********2017年4月21日毎日新聞地方版
クリックすると元のサイズで表示します

大同特殊鋼
鉄鋼スラグ問題 検察審に申し立てず 知事、不起訴で /群馬

 大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場(渋川市)から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、廃棄物処理法違反容疑で書類送検された同社などが不起訴処分(昨年12月22日付)になったことについて、大沢正明知事は19日の記者会見で、検察審査会に申し立てない考えを明らかにした。今後、この問題で刑事責任を問われる可能性はほぼなくなった。
 検察審査会は、検察の不起訴処分の適否を判断する。大沢知事は「不起訴処分は検察官の責任で判断したことだと思う。県として申し立てる考えはない」と述べた。
 一方、一連の問題を受け、県は廃棄物処理法を管轄する環境省に対し、廃棄物の定義があいまいだとして、定義や判断基準を明確にするよう要望書を提出した。県によると、大阪府で、「おから」を飼料用に処理した飲食店経営者が廃棄物と判断されて罰金刑を受けたケースがある。【鈴木敦子】
**********

■今回も報道のポイントを整理していきましょう。

ポイント@
 大沢正明群馬県知事は、検察審査会に申し立てない考えを明らかにした。今後、この問題で刑事責任を問われる可能性はほぼなくなった、こと。

ポイントA
 検察審査会は、検察の不起訴処分の適否を判断する。大沢知事は「不起訴処分は検察官の責任で判断したことだと思う。県として申し立てる考えはない」と述べた、こと。

ポイントB
 県は廃棄物処理法を管轄する環境省に対し、廃棄物の定義があいまいだとして、定義や判断基準を明確にするよう要望書を提出した、こと。

■では、これらのポイントについてひとつずつ、検証してみましょう。

●ポイント@
 大沢正明群馬県知事は、検察審査会に申し立てない考えを明らかにした。今後、この問題で刑事責任を問われる可能性はほぼなくなった、こと。

 毎日新聞では、「この問題で刑事責任を問われる可能性はほぼなくなった」と報道しています。裁判所が運営する検察審査会のホームページを見てみましょう。検察審査会の役目について記してあります。
http://www.courts.go.jp/kensin/q_a/index.html
**********
検察審査会の概要
審査はどういうときに行われるのか?
「犯罪の被害にあった人や犯罪を告訴・告発した人から申立てがあったときに審査を始めます。
申立てがなくても,新聞記事などをきっかけに審査を始めることもあります。」

**********

 有害スラグ事件については、群馬県が刑事告発をした人であり、今回審査会への申し立てをする考えが無いことから、毎日新聞では「刑事責任を問われる可能性はほぼなくなった」と報道していると思われます。

 しかし、有害スラグは今なお、群馬県中に広く不法投棄されたままです。大同・佐藤グループが刑事責任を問われないなら、今後は誰が責任を取っていくのでしょうか?

 群馬県知事が責任をとっていただけるのでしょうか?

 はたまた、廃棄物の監督官庁である環境部局の幹部の皆様が責任を取って罪をかぶってくれるのでしょうか?

 スラグには残念ながら環境基準を超える猛毒が含まれています。既に県内一部の土壌から汚染が確認されています。今後何十年かけて土壌汚染が広がり、やがては地下水までも汚染する可能性があります。土壌が汚染されただけでも、生活環境保全上問題があるのです。何十年後かに再度問題となったときに、大同グループは何も責任を負担しないことでしょう。その時群馬県知事や環境部局の幹部様が責任をとって罰を受けていただけるのでしょうか?

 大同スラグに毒が無ければ同会もこのような事は言いません、猛毒だから真剣なんです。

今回の有害スラグ事件では、我々の手元にも内部情報が多数漏れてきています。群馬県環境部局にも多数の内部資料が証拠として入手できていたはずです。今回、検察審査会に申し立てをしないことは、群馬県環境部局の不手際を意味するのではないでしょうか? 今後は知事をはじめ環境部局の責任を問う声が上がることでしょう。

●ポイントA
 検察審査会は、検察の不起訴処分の適否を判断する。大沢知事は「不起訴処分は検察官の責任で判断したことだと思う。県として申し立てる考えはない」と述べた、こと。

 国民から選ばれたメンバー11名で構成されるという検察審査会は、不起訴処分の適否を国民の判断で審査するのが役目です。毎日新聞が、大沢知事の「不起訴処分は検察官の責任で判断したことだと思う。県として申し立てる考えはない」とするコメントを報じた背景には、検察審査会の制度趣旨目的から見当違いもはなはだしいおかしな発言内容であるとする論調を強く感じさせます。

 “有害スラグ問題を適当に誤魔化し、最後には群馬県民に負担を押し付けてしまえ!”という無責任な行政責任者による“尻まくりコメント”と結論付けられるでしょう。

●ポイントB
 県は、廃棄物処理法を管轄する環境省に対し、廃棄物の定義があいまいだとして、定義や判断基準を明確にするよう要望書を提出した、こと。

 この要望書は群馬県廃棄物リサイクル課の幹部様が環境省に提出したのでしょうか? 何をとぼけて要望書などを提出しているのでしょうか? “とぼけている?”と感じるのは以下の理由からです。箇条書きにしてみました。

**********
◎群馬県内の廃棄物の官庁は群馬県です。
◎大同特殊鋼由来のスラグは環境基準を超える猛毒が含まれています。
◎群馬県廃棄物リサイクル課が自ら
http://www.gunma-sanpai.jp/gp26/003.htm
 「ふっ素の土壌環境基準等が設定されて以降、大同特殊鋼(株)渋川工場から製鋼過程の副産物として排出された鉄鋼スラグは、土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり、また、平成14年4月から平成26年1月までの間、関係者の間で逆有償取引等が行われていたことなどから、当該スラグは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し、廃棄物と認定される。」と理由を挙げて廃棄物認定しているではないか。

**********

 国から権限を委譲されて地方で自治をするためとして群馬県庁が組織され、廃棄物を管理しているのです。群馬県には、責任を持って廃棄物認定をしなければならない責務があります。何をいまさら、責任転嫁するかのような要望書を環境省に提出する必要があるのでしょうか? 例によってお得意の、“パフォーマンス”ということなのでしょうか?

 また、大同スラグは猛毒が含まれています。加えて逆有償取引の事実もあります。最高裁判例を基に環境省が技術的指導をした内容に沿って、大同スラグに対する廃棄物認定が行われています。こんな簡単な廃棄物認定の事例は滅多に無いと言えるでしょう。

 更に毎日新聞は県の発言を紹介しています。

**********
「県によると、大阪府で、『おから』を飼料用に処理した飲食店経営者が廃棄物と判断されて罰金刑を受けたケースがある。」
**********

 おからと異なり、大同スラグには猛毒が含まれています。廃棄物の認定も簡単です。なぜ毒が含まれていない「おから」を持ち出すのでしょうか?

 また、大阪府の「おから」事件は、裁判にまで発展し判例が残されています。なぜ自分達の勉強不足を公表するのでしょうか? まったく訳が分かりません。

 猛毒が含まれている大同スラグについて、本来であれば、群馬県としては、結果的に無駄足を踏むことになるとしても、きちんと検察審査会に申し立てをして、「大同スラグは毒があるので危険な廃棄物である」ことを主張しなければならないはずです。

 どう考えても、“何らか”の理由で敢えて「県として申し立てる考えはない」ことにしたので、責任追及する声が上がり犯罪者とされると困るので、“とぼけている”?としか思われません。ピエロを演じてまでも今は“おとぼけ”に徹して、群馬県民を煙に巻いてしまおうとしているのでしょうか?

 有毒スラグのように簡単な廃棄物認定について環境省に要望書を出すくらいなら、ギブアップ宣言を広く公表したらいかがでしょうか?

 ここまで“おとぼけ”を演じる群馬県、特に環境部局などは、むしろ自虐的に“存在意義必要がない部署だ”と自ら標榜したらいかがでしょうか?

 そしてこの際だから、大幅に人員を削減し組織も整理して、「廃棄物判断などの難しい仕事は、環境省と検察などで相談して決めてください」としたためた要望書を、あちこちに提出したほうが良いのではないでしょうか?

■繰り返しになりますが、大同・佐藤グループは「刑事責任を問われる可能性はほぼなくなった」と報道されました。ですが猛毒スラグは群馬県中に投棄されたままとなっています。今後は誰が責任をもつのでしょうか? 大同・佐藤グループに代わり、群馬県知事が責任をもつのでしょうか? となると実施機関である廃棄物リサイクル課が責任をもつのも良いのでは?

 大同有害スラグ対応について群馬県廃棄物リサイクル課は何をしているのでしょうか? 2016年12月15日に廃棄物リサイクル課が発出した文章を最後に見ていきましょう。

**********
・大同特殊鋼(株)渋川工場から排出された鉄鋼スラグに関する使用箇所の解明等の状況について
http://www.gunma-sanpai.jp/gp26/006.htm
 大同特殊鋼株式会社渋川工場から排出された鉄鋼スラグについて、平成27年9月11日に廃棄物処理法に基づく調査結果を公表後、使用箇所の解明及び環境調査を進めてきたところですが、現在の状況は次のとおりです。

1 使用箇所の解明及び環境調査
(1) 公共工事について
@ 平成27年9月11日に県から県内全市町村、及びスラグ再生路盤材の出荷記録があった国関係機関に対して調査を要請したところ、平成28年3月末時点では、使用が確認された工事は325箇所であった。
その後、別表のとおり林野庁関東森林管理局、渋川市及び東吾妻町から新たに12箇所の報告があり、平成28年9月末現在、使用箇所の合計は337箇所となった。
A 改めて、県では、環境調査が終了していない工事実施主体に対して、迅速な実施と結果の報告を要請した。
(2) 民間工事について
@ 平成27年9月12日、県から大同特殊鋼(株)に対して、民間工事における鉄鋼スラグの使用箇所の解明及び環境調査を指示したところ、平成28年9月末現在、70箇所の報告があった。
A 県では、同社に対して、引き続き使用箇所の全容解明に当たるとともに、判明した使用箇所における環境調査の加速化と結果の報告を指示した。
(3) 環境への影響調査について
調査の結果、土壌汚染が確認された場合には、県が直接周辺地下水の調査を実施し、環境への影響を確認してきている。これまでの調査の結果では、地下水への影響は認められない。

2 今後の対応[従前のとおり]
@ 今後とも鉄鋼スラグの使用箇所の解明を進め、新たに使用箇所が判明した場合は、これまでと同様の方法で環境調査を行い、その結果を速やかに公表する。
A 判明した使用箇所はすべて県がリスト化し、環境への影響について監視を行っていく。

***********

この文章は「廃棄物処理法に基づく調査結果を公表後、使用箇所の解明及び環境調査を進めてきたところですが、現在の状況は次のとおりです。」として、廃棄物処理法に基づく調査に関する文章であることが明示されています。

 また、今後の対応も示されており、スラグの使用箇所の解明を進めることと、使用箇所のリスト化及び環境への影響について監視を行うとして、廃棄物処理法に基づく調査を進めることが示されています。

 これらの対応は従前とおりであることも記されており、廃棄物処理法に基づく調査ばかりしていることが分かります。

■群馬県廃棄物リサイクル課は、いつまでも廃棄物処理法に基づく有害スラグ使用箇所の解明や環境調査ばかりしていないで、廃棄物処理法に基づく対策を早期に示さなければなりません。

 なぜなら
「廃棄物処理法に基づく調査」が行われれば、
  ↓
「廃棄物処理法に基づく対策」

が示されなければならないからです。

 具体的には、廃棄物は投棄した原因者により撤去させなければなりません。その際、大同有害スラグは猛毒であるので遮断型最終処分場に埋設処分しなければなりません。その後、直下の土壌について土壌汚染対策法所定の環境調査を実施しなければなりません。

 大同特殊鋼・佐藤建設工業の刑事責任が問われないと報道されましたが、このまま大同スラグが放置されて何も対策がとられなくなってしまうのでしょうか? それでは次の世代に禍根を残すことになります。

 県土各地に広く放置された大同有毒スラグが何十年後かに問題となり、大同特殊鋼が排出者責任を負わないとなるのであれば、県民の安全・安心な生活環境の保全責任を有する群馬県知事や環境部局の後継者や後輩の皆様が、遡ってご負担していただき責任とっていただけることになるのでしょうか?

 群馬県民が納めた血税で有害スラグを片づけることは決して有ってはなりません。税金の無駄遣いを排除することを活動目的とする市民オンブズマン群馬としては、微力ながら全力を傾注して、責任の明確化と実効を行政に要請し続け、この問題の安易な幕引きや先送りを抑止してまいる所存です。

【市民オンズマン群馬事務局・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

※参考資料1:県の検察審査会申立断念に関する新聞報道
**********2017年4月20日上毛新聞
クリックすると元のサイズで表示します
スラグ問題
刑事責任の追及断念 知事「行政処分しっかり」

 鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場(渋川市)などが環境基準を超える鉄鋼スラグを不正処理したとして廃棄物処理法違反容疑で書類送検され、前橋地検が昨年12月に不起訴処分としたことについて、大沢正明知事は19日の定例会見で「検察審査会に申し立てる考えはない」と述べ、県として刑事責任追及を断念したことを明らかにした。
 県は2015年9月に同社を刑事告発したが、前橋地検は、送検された大同など3社と役員ら5人を、嫌疑不十分で不起訴処分としている。大沢知事の方針に関し、前橋地検幹部は「コメントする立場にない」とした。
 一方、県は鉄鋼スラグが使われた公共工事現場から基準値超の有害物質が検出されたことを受け、大同に使用場所の解明などを指示している。生活環境が脅かされる状況になれば措置命令を出す方針で、「行政処分はしっかりやる」と述べた。

**********2017年4月20日 朝日新聞デジタル 群馬
クリックすると元のサイズで表示します
ニュース短信
■県、スラグ問題は検察審査会へは申し立てず

 大同特殊鋼渋川工場から出たスラグについての一連の問題で、県が同社などを廃棄物処理法違反の疑いで刑事告発し、前橋地検が不起訴処分(嫌疑不十分)としたことについて、大沢正明知事は19日の定例記者会見で「検察官の責任で判断したと思うので、県としては検察審査会に申し立てる考えはない」と述べた。
 県廃棄物・リサイクル課は「これまでの調査で関係者に違法性の意識があったとみているが、検察で証拠が不十分と判断され、新たに争うための資料を示すのは難しい」としている。

**********2016年12月23日朝日新聞デジタル
クリックすると元のサイズで表示します
大同特殊鋼など不起訴 スラグ問題「立証困難」 /群馬県
 大手鉄鋼メーカー、大同特殊鋼(本社・名古屋市)の渋川市の工場から、基準値を超える有害物質を含む鉄鋼スラグが出荷された問題で、前橋地検は22日、廃棄物処理法違反(委託基準違反など)の疑いで書類送検された同社を含む計3社と大同特殊鋼の男性役員ら5人を不起訴処分(嫌疑不十分)にし、発表した。
 地検によると、過去の裁判例や法律の趣旨から考えて、「(スラグを)廃棄物と認定し、立証することは難しい」とした。また、男性役員らの違法性の認識についても「裁判で、スラグを廃棄物として故意に扱ったと立証できるまでの証拠が不十分」だったとしている。
 この問題をめぐっては、県が2015年9月に3社などを刑事告発。県警は今年4月、大同特殊鋼は、大同エコメット(愛知県東海市)が産業廃棄物の中間処理業の許可を得ていないことを知りながら、スラグ約2万8300トンの処理を依頼し、エコメットが処理、佐藤建設工業(渋川市)は無許可でその一部を委託収集したとして廃棄物処理法違反の疑いで書類送検した。
 不起訴処分の発表を受け、大沢正明知事は「県警は『被疑事実あり』として送検しており不起訴処分は意外。引き続き、スラグの使用箇所や環境への影響の調査を進めたい」とのコメントを出した。県は今後、検察審査会への申し出を含め、検討するという。
 大同特殊鋼総務部広報室は「皆様のご心配、ご懸念に対して、引き続き誠実に対応したい」とコメントしている。

※参考資料2:廃棄物の定義は最高裁判例が反映されています
**********2016年12月23日毎日新聞群馬版
大同特殊鋼
鉄鋼スラグ「廃棄物の証拠不十分」 大同など不起訴 地検「故意性」認めず /群馬

 「再生資材」か「産業廃棄物」か−−。大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場から出たスラグ問題で、前橋地検は22日、書類送検された大同などを容疑不十分で不起訴とした。「廃棄物」と認定した県や県警に対し、大同側は「製品としての再生資材」と主張。地検の判断が注目されたが、不起訴の理由を「廃棄物だと立証するには証拠不十分だった」と説明する一方、「廃棄物では絶対ないという言い方はしない」と歯切れの悪いものとなった。【尾崎修二】
 不起訴になった法人は、大同のほか、佐藤建設工業(渋川市)と大同特殊鋼の子会社、大同エコメット(愛知県東海市)。
 廃棄物処理法で扱う「不要物」の定義をめぐっては、過去の最高裁の判例で、その物の性状▽排出の状況▽通常の取り扱い形態▽取引価値の有無▽事業者の意思−−などを総合的に勘案して決めるのが相当と示された。
 県は、廃棄物処理法を所管する環境省と1年以上協議を重ねた上で、大同側が、スラグを環境基準を超える有害物質「フッ素」が含まれていると知りながら出荷▽販売額以上の金額を「販売管理費」名目で支払う「逆有償取引」だった−−などの観点から「廃棄物」と認定。昨年9月に大同など3社を刑事告発した。
 県警も、これら2要素のほか、「製品」にもかかわらず流通経路が送検された3社間のみで完結していた点などから「廃棄物」と認定し、4月に書類送検した。
 県や県警は有害性や取引形態に着目したのに対し、地検の築雅子次席検事は、「関係者の故意性(廃棄物との自覚)の認定は、証拠上困難」とした。さらに、副産物の有効利用などを促す資源有効利用促進法に言及し、「有用な副産物は材料として利用できる、という視点もある。それらの法の趣旨に鑑みて、総合的に判断した」と述べた。
 県内では400カ所以上の工事現場でスラグ使用が発覚し、130カ所以上で環境基準を超えるフッ素や六価クロムが検出されている。大同は「不良製品への対応」との名目で、調査や被覆工事の費用を負担している。大同の本社広報室は「皆さまのご懸念、心配に対し、引き続き誠実に対応したい」とのコメントを発表した。
★関係者、驚きと落胆の声
 地検の不起訴処分に、関係者の間では驚きと落胆の声がもれた。
 県警に告発していた県の大沢正明知事は「不起訴処分は意外だ。不起訴の理由をよく確認して今後の対応を決めたい。県としては、引き続き鉄鋼スラグの使用箇所や環境への影響について調査を進め、県民の安全・安心をしっかりと確保していきたい」とコメントした。
 スラグを廃棄物と認定し、書類送検した県警生活環境課の幹部は「検察の判断について何も話すことはない」と言葉少な。ある捜査関係者は「地検が疑義があるとしたのは、大同など当事者が故意性を否定していることが大きかったのではないか。残念だが、仕方がない」と無念さをにじませた。
 スラグ問題を追及してきた「市民オンブズマン群馬」の鈴木庸事務局長は「健康被害を与えるかもしれないスラグの問題で、不起訴というのは無責任だ」と不満を述べ、検察審査会に申し立てる意向を示した。【鈴木敦子、杉直樹】

■大同特殊鋼のスラグを巡る問題の経緯■
2002年4月   大同特殊鋼が大同原料サービス(現大同エコメット)と鉄鋼スラグの委託加工、売買契約を締結
  09年7月   大同特殊鋼、大同エコメット、佐藤建設工業の3社で鉄鋼スラグを混ぜた路盤材の製造・販売契約
  13年10月  渋川市が市スラグ砕石対策調査委員会を設置
  14年1〜2月 県が3社の立ち入り検査を開始
     8月   大同特殊鋼が内部調査の結果などを公表
          国交省が調査に着手
  15年1月   鉄鋼スラグ協会が再発防止ガイドラインを改正
     9月   県が3社を県警に刑事告発
          県警が3社の本社や工場を家宅捜索
  16年4月   県警が書類送検
**********

※参考資料3:不起訴処分のもたらす今後の波紋
**********2017年1月25日毎日新聞 PDF ⇒ 2017n1l.pdf
記者の目
群馬・有害スラグ 業者不起訴=杉本修作(東京社会部)
環境行政、後退の恐れ


 昨年末、環境行政の今後を左右するといっても過言ではない判断が下された。大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」の渋川工場(群馬県渋川市)から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、前橋地検が廃棄物処理法違反容疑で書類送検された同社や子会社など3社とその幹部ら5人を容疑不十分で不起訴処分とした。違法事業者を監督する全国の自治体は困惑している。前橋地検の判断は、監督に当たる職員の萎縮や悪質な業者の増長を生みかねず、今後に大きな禍根を残す可能性がある。

 鉄鋼スラグは製鉄の際に炉にたまる金属性の物質で、鉄鋼メーカーは高額な廃棄物処理費を抑えるため、破砕処理して道路に敷く砂利などに加工している。鉄の種類によっては、添加された化学物質がスラグに残留し環境汚染の要因になる。

 2013年6月、渋川工場から出されたスラグに、発がん性物質の六価クロムや骨の病気の原因となるフッ素が含まれていることが判明し、群馬県内の自治体が調査を始めた。県は15年9月、スラグを許可なく資材に加工したことが廃棄物処理法違反にあたるとして県警に刑事告発し、その後県警が書類送検した。これまで県と市町村が調査した工事の3分の1に当たる134カ所で環境基準を超える有害物質が検出され、このうち86カ所で周辺土壌への汚染が確認された。私は問題発覚から3年間取材し続けた。

国と県熟慮の末、刑事責任を追及

 捜査の最大の焦点は、スラグが廃棄物か否か−−だった。廃棄物でなければ、そもそも廃棄物処理法の適用を受けることはなく、逆に廃棄物であれば、資材に再利用するには、法で定める資格や許可を受けなければならない。

 大同はスラグが汚染の原因となったことを認め、16年3月期の決算で対策費として53億円の特別損失を計上する一方、刑事責任については否定した。これまで同社は、スラグを「有価物」と呼び、廃棄物処理に必要な法的手続きを取っていなかった。

 これに対し、環境省は廃棄物の定義に五つの基準を設けて、有価物を装った違法なごみ処理の取り締まりを全国自治体に喚起している。群馬県は環境省と実に1年以上にわたって協議し、このスラグを有価物を装った廃棄物と認定した。環境基準を超える有害物質が含まれていることを知りながら出荷した上、「販売管理費」などの名目で販売額以上の金額を買い手に支払っていたことなどが理由だ。

地検の判断に戸惑う自治体

 この判断に、前橋地検は異議を唱えた。築(ちく)雅子次席検事は昨年末の記者会見で「廃棄物というには疑義がある」として不起訴処分を発表した。ただ、その根拠は「総合的に判断した」と述べるだけで、「証拠関係にわたる部分はお答えできない」として明らかにしなかった。資料を公表し、客観的な基準を基に説明した県の姿勢とは対照的だ。処分決定の前、ある県関係者は「仮に不起訴にするにしても、県の判断をある程度尊重してくれるはずだ」と話していたが、今は落胆しながらこう話した。「例えば、有害物質の検査について、我々は大同の検査回数では不十分だと考えており、実際に大同は基準を超えるスラグを拡散させた。しかし、地検の担当者は『一応検査はやっている』と評価する。問題のとらえ方が完全に違っていた」

 群馬のスラグ問題は、監督官庁である全国都道府県の担当者も固唾(かたず)をのんで見守っていた。結果を受け、複数の担当者は「何が駄目だったのか。地検の説明では大事なことが分からない」と戸惑いを隠さない。中国地方の担当者は「これまでグレーゾーンについては、廃棄物と判断するよう環境省から言われてきたが、今後はこうした指導が変わるのか」と声を落とした。

 渋川工場のスラグの処理は、別の問題もはらんでいる。大同はスラグに含まれる有害物質が検査で基準値を超えないよう天然砕石と混合していた。大同と共に不起訴処分となった建設会社はこの処理を担当し、同社の社長は私に「毒でも薄めれば安全になる」と言い放った。しかし、有害物質がなくなるわけではなく、環境省もこうした「希釈処理」を認めていない。地検の判断はこうした処理にお墨付きを与えたと受け止められかねず、日本環境学会顧問の畑明郎元大阪市立大大学院教授は「悪質な処理が横行する可能性がある」と警鐘を鳴らす。

 資源の再利用は大切だが、そのためにこの国の環境が汚されてはならない。私は地検が、環境行政のあり方を理解したうえで処分を決めたのか疑問に思う。行政の監視が後退しないことを切に願う。
**********

※参考資料4:メガソーラー造成地の土壌における基準値超えのフッ素汚染の実態
クリックすると元のサイズで表示します
**********2016年9月16日毎日新聞群馬版 PDF ⇒ 2016n0916vey.pdf
榛東村 5カ所でスラグ使用
最大7倍のフッ素 広報に結果公表

 大手鉄鋼メーカ―「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、榛東村の5カ所の工事で、この鉄鋼スラグが使われ、最大で環境基準の約7倍のフッ素が検出されたことが村の調査で分かった。村は16日配布の村広報に結果を掲載し、今後の対応を県と協議する。
 村によると、スラグが使われていたのは、「ソフトバンク榛東ソーラ−パーク」と「白子の海ソーラーポート」の太陽光発電所2カ所のほか、キャンプ場などがある「創造の森」入口付近、茅野公園の駐車場――など5カ所。発電所と創造の森ではスラグ砕石がむき出しになっている。
 フッ素の環境基準は、含有量で1キログラムあたり4000ミリグラム以下、溶出量で1リットル当たり0.8ミリグラム以下。ソフトバンク榛東ソーラーパークはソーラーパネルの外側で、土壌中のフッ素溶出量が最大で基準の約7倍だった。ソフトバンクによる調査では、パネル内部でも最大で6倍超。白子の海ソーラーポートでは路盤材のフッ素溶出量が2.5倍だった。村はソフトバンクや「白子のり」を製造する白子とも対応を協議する。
【尾崎修二】
**********

※参考資料5:群馬県内の廃棄物行政の監督官庁は群馬県です。群馬県の決定に影響を与えられるのは裁判所のみでなければなりません
■環境省の説明をご覧ください。第187回国会 経済産業委員会 第8号(平成26年11
月12日)において塩川委員の質問に答えた(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)鎌形 浩史政府参考人の話です。
**********
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009818720141112008.htm
○鎌形政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の鉄鋼スラグが廃棄物に該当するか否かという点でございますけれども、個別具体的な判断につきましては、産業廃棄物の適正処理に関する指導監督権限を有する、この場合ですと群馬県において適切に判断するということになりますが、その判断の考え方について申し上げますれば、物の性状、排出の状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思を総合的に勘案して判断するということになります。
 御指摘の土壌環境基準については、そのうち、物の性状の判断の要素ということになるということでございます。
**********

0



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ