2017/11/28  23:35

東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…バイオマス補助金返還履行請求訴訟であらためて原告準備書面(4)を提出  東北関東大震災・東電福島原発事故

■群馬県民の誇りでもあり群馬県を象徴する赤城山の南面にあろうことか県内山間部に放射能をまき散らした張本人である東電の子会社の関電工が、放射能再汚染の脅威となる汚染木材の橋脚処理施設をバイオマス発電の美名のもとに、地元住民をはじめ県民の声を無視して強引に推し進めて、群馬県行政もそれに加担するという官業癒着の亡国事業は、既にタービンやボイラーの試運転中で、実質的にほぼ完成状態にあるとみられます。


 当会では、安心・安全な生活環境を保全する義務を有するはずの群馬県行政が、関電工主体のこの亡国事業に係る環境アセスメントを免除したうえに多額の補助金までつけてやるという、とんでもない非常識な「忖度」を平然と行うという暴挙を目の当たりにして、地元の住民団体とともに、発電施設に隣接する木質チップ製造施設に対する補助金交付の「差止」もしくは「処分の取消」を求める訴訟を2016年7月15日に提起して、現在係争中です。

 提訴後、裁判所から補助金の一部は既に支払われていることから、支払の有無で峻別してはどうか、と訴訟指揮があり、結局、2016年12月26日に、新たな住民訴訟の訴状を裁判所に提出したところ、今度は、同じ事件で2つの訴状が出ていると被告からイチャモンがつきました。そのため、2017年3月10日の第4回口頭弁論で、最初の訴状を取り下げる羽目になりました。

 そして、2017年3月15日に、出直し裁判の第1回口頭弁論が開かれ、同5月10日に第2回口頭弁論が行われましたが、また裁判所からイチャモンがつけられてしまい、法定外の受任裁判の形で、同5月22日に第1回弁論準備、6月15日に第2回弁論準備、7月18日に第3回弁論準備、9月7日に第4回弁論準備、そして10月23日に第5回弁論準備が前橋地裁3階31号法廷で開かれました。これまでの裁判の経緯は次のブログをご覧ください。
〇2017年6月11日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金訴訟6.15弁論準備に向け原告準備書面(2)を提出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2341.html#readmore
〇2017年6月18日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…6月15日に第2回弁論準備として開かれた前橋バイオマス補助金訴訟
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2345.html#readmore
〇2017年7月7日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…前橋バイオマス補助金訴訟で7月7日に原告が差止⇒返還に訴えの変更申立
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2360.html#readmore
〇2017年7月25日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…7月18日に第3回弁論準備として開かれた前橋バイオマス補助金訴訟
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2373.html#readmore
〇2017年9月10日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…9月7日に第4回弁論準備として開かれた前橋バイオマス補助金訴訟
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2414.html#readmore
〇2017年10月26日:東電の毒牙から赤城山と県土を守れ!…10.23補助金訴訟第5回弁準で判明した前橋バイオ燃料の訴訟参加!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2446.html#readmore

■こうした経緯を踏まえて、当会など原告は、これまで請求の趣旨の確定作業のため留保されていた準備書面(4)を、内容についてさらに一部見直したうえで、2017年11月29日付にて、昨日郵送による提出を行いました。内容は次の通りです。

*****原告準備書面(4)*****PDF ⇒20171127_genkoku_junbishomen_no.4.pdf
事件番号 平成28年(行ウ)第27号 補助金返還履行請求事件
原告  小 川  賢 外1名
被告  群馬県知事 大澤正明

                           平成29年11月29日
前橋地方裁判所民事1部合議係 御中

            原告準備書面(4)

                        原告  小 川   賢  ㊞
                        原告  羽 鳥 昌 行  ㊞

1.本事件の請求の変更

 平成29年9月7日および同年10月23日の弁論準備期日における裁判所の訴訟指揮に基づき、原告は次のとおり請求を変更する。

(1)主位的請求として、これまでの主張を維持しつつ、地方自治法第242条の2第1項4号に基づき、被告が、事業者である前橋バイオマス燃料株式会社に対して、不当利得に基づく補助金相当額の支払い請求をすることを求める。
(2)予備的請求として、地方自治法第242条の2第1項3号に基づき、被告が為した平成28年7月4日の平成27年度(繰越)群馬県林業・木材産業再生緊急対策事業補助金の交付決定について(甲16号証)、これを取り消したうえで、前橋バイオマス燃料株式会社に補助金相当額を不当利得として返還請求することを怠ることの違法確認を求める。

 なお、手順としては被告が(2)の補助金交付決定の取消しを行うことにより、補助金返還請求権を具体的に権利として行使できる状況を整えたうえで、(1)の不当利得返還請求を行うものとする。
 原告らは、本件事業自体について無効の確認をしているわけではなく、あくまでも本件事業に対する補助金の支出が補助金適正化法、群馬県補助金等に関する規則等により違法であると主張しているのである。
 既に原告らが主張した通り、超優良企業であった、そして現在は多額の政府支援を受けている東京電力の、その傘下の、グループ会社であり東証第1部上場会社である関電工が出資する前橋バイオマス燃料に対して、そもそも補助金の支出は不要であり、事業目的についても、再生可能エネルギーの生産が目的ではなく、東電の福島原発事故由来の放射能汚染間伐材の中間処理(焼却)が主目的であることから、本件補助金の対象とはなりえない。
 関電工は地元住民説明会で、「補助金がないとこの事業はなりたたない」と説明しているが、実際に前橋バイオマス燃料による補助金の申請時には、補助金を使って調達する機材、機器類について、3者見積もりもせず、価格の妥当性についても、裏付けとなる説明がなされていない。これは、補助金等の公金を投入する調達案件で一般競争参加を基本としている予算決算及び会計令(通称「予決令」と呼ばれる)に違反している。
 予決令第58条第1項第4号では、補助金、負担金及び交付金の場合には「会計法第22条の規定により概算払をすることができる」とあるが、この経費について概算払をする場合においては、財務大臣に協議することを要する。」と定めている。
 これと同様に、群馬県林業・木材産業再生緊急地策事業補助金事務取扱要領(乙3号証)においても、「第3 事業の実施」の「10」で補助金の概算払いは認めているが、「第3 事業の実施」の「6 事業の施行」の「(2)施工方法」として、「ア 地方公共団体を除く事業主体は一般競争入札を原則とする」としている。そして、「第4 検査等」の「1 事業主体の検査」では、事業主体は指定の検査者により調達機材の検査を行うものとするとあり、「3 県の役割」として、補助金事業に係る現地、現物及び補助金交付事務について確認者に確認を行われるものとする」との定めがある。
 そのうえで、「第5 補助金の確定」が為され、「第7 補助金との返還」として、既に交付した補助金が確定額を超過している場合には、速やかに返納通知をし、群馬県財務規則第124条の規定により当該年度の死守地した経費に戻入れするものとする、とある。
 しかし実際には、被告は補助金事業者である関電工、またその出資先の前橋バイオマス燃料に支払った概算払いの金額をそのまま査定してしまっている。これは、補助金の交付申請があった内容について補助金の確認と額を適正かつ効率的に決定するための取扱いについて定めた群馬県林業・木材産業再生緊急地策事業補助金事務取扱要領違反である。

2.環境配慮計画における違法事由

(1)放射能を公害から切り離してしまった国策の問題点

 公害対策基本法(昭和42年8月3日法律第132号)は、日本の4大公害病である水俣病、新潟水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病の発生を受け、国民の涙と痛み、命の叫びから制定された公害対策の基本法である。また、「調和条項」については、1970年(昭和45年)の第64回臨時国会(いわゆる「公害国会」)において、他の公害対策関連法における調和条項とともに削除されて、本当の意味での、人間の生命や人権、自然環境を守るという原則に至った。
 公害関連法は、国が規制基準を設け、これ以上汚染を出してはいけないという基準を明確に示し、しかも放射性物質にみられるような希釈してしまえば済むような濃度基準ではなく、総量規制で基準を設けている。また、地方自治体が、この基準を超えないよう環境基準を示している。さらに、この規制基準違反があった場合には、行政は改善命令なしに処罰できるという罰則規定を有しており、さらには、大気汚染防止法水質汚濁防止法など住民が直接、告訴告発できる直罰方式を取り入れ、事業者を厳しく監視する仕組みができあがっている。
 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(昭和45年12月25日法律第142号)とは、事業活動に伴って人の健康に係る公害を生じさせる行為等を処罰することにより、人の健康に係る公害を防止する。公害罪法ともいわれ、公害対策基本法のように公害全般を対象に扱うのではなく、工場や事業所などによって人の健康に害が及ぼされるものを扱っている。
 公害対策基本法第8条では、「放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法(昭和30年法律第186号)その他の関係法律で定めるところによる。」と書かれ、この法律を引き継いだ環境基本法(平成5年11月19日法律第91号)も第13条で、「放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法(昭和30年法律第186号)その他の関係法律で定めるところによる。」と、放射能物質を公害から除外するとの除外規定をそのまま継承している。
 では、この原子力基本法には、なんと書かれているか。第20条には、「放射線による障害を防止し、公共の安全を確保するため、放射性物質及び放射線発生装置に係る製造、販売、使用、測定等に対する規制その他保安及び保健上の措置に関しては、別に法律で定める。」とだけしか書かれていない。
 発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針について(昭和50年5月13日原子力委員会)(甲55号証)は、発電用軽水炉施設の通常運転時における環境への放射性物質の放出に伴う周辺公衆の受ける線量当量を低く保つための努力目標として、施設周辺の公衆の受ける線量当量についての目標値(以下「線量目標値」という。)を実効線量当量で年間50マイクロシーベルトとする。この数値は、法令により定められている線量当量限度(例えば、周辺監視区域外において、実効線量当量で1ミリシーベルト/年)の僅か二十分の一である。これは、環境・安全専門部会から「as low as practicableの原則(被ばく線量は実用可能な限り低くすべきあるという国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告の基本原則)のとり入れ方」についての報告(昭和49年10月)が元になっている考え方である。これはれっきとした放射線被曝に関する国の公式見解である。
 しかし、この数字は、公害関連法のような規制基準や環境基準でもなんでもなく、越えても何ら罰則はない。つまり、原子力基本法は、公害関連の法の精神である人間の生命や人権、自然環境を守るという産業を規制する法律とは180度異なる、「産業振興の法律」に他ならない。産業振興が目的だから、規制基準も罰則もなく、産業振興が最優先される課題であり、人の命は、二の次である。したがって、この前述の除外規定は、原子力推進という国策であり、公害関連法から放射性物質が完全に隠されてしまったと言える。
 しかし、この考えは、平成23年3月11日、東日本大震災により一変する。震災直前の国会では、177国会の開催中で、水質汚濁防止法の改正案が上程されていた。そこに3.11が発生したが、肝心の放射性物質は、適応除外であり、法律がないということが明るみにでてしまった。そこで、衆参両院は、この改正案の成立に際して、放射性物質の法整備について「付帯決議」を決めた(平成24年6月1日)。このことは、これまで原発行政が法治主義に基づいて行われてこなかった事いうことを国が認めてしまったということになる。国策である原発推進という架空の安全神話の上に成り立っていたストーリーが崩れ去り、国会が立法機関として機能不全に陥っていたことを自ら認めたのである。
 平成 24 年6月に制定された原子力規制委員会設置法(平成 24 年法律第 47 号)附則によって環境基本法(平成5年法律第 91 号)が改正され、「放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については原子力基本法その他の関係法律で定めるところによる」旨規定していた同法第 13 条が削除された。これを受け、同年 11 月30 日には、中央環境審議会より、「環境基本法の改正を踏まえた放射性物質の適用除外規定に係る環境法令の整備について(意見具申)」(以下単に「意見具申」という。)が示され、その中で、「個別環境法における整理の方向性」が示されるとともに、「今後の検討課題等」についての整理がなされた。
 大気汚染防止法(昭和 43 年法律第 97 号)、水質汚濁防止法(昭和45 年法律第 138 号)、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和 45 年法律第 136号。以下「海洋汚染等防止法」という。)及び環境影響評価法(平成9年法律第 81 号)については、「適用除外規定の削除を検討することが必要である」との方針が示され、この方針を踏まえ、平成 25 年6月には、放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律(平成 25 年法律第 60 号。以下「整備法」という。)が制定され、意見具申において「適用除外規定の削除を検討することが必要」とされた4つの法律のうち、海洋汚染等防止法を除く3つの法律について、適用除外規定を削除する等の改正が行われた。このことは何を意味しているのか。それは、国は、国策という大儀のもと、今まで特別扱いしてきた、放射性物質は、公害物質であったとようやく認めた画期的なものである。
 しかし、これで、解決したわけではない。国や地方自治体は、時間稼ぎに打って出た。つまり、環境基本法や環境関連個別法で、放射性物質は公害物質であると法律で認めたことになるのに、人の生命や環境を優先して守るという精神による、規制基準、環境基準、そして罰則規定を設けようと全くしていないのである。これで、法治国家といえるのだろうか。民主主義は、法律により行政を行うとともに、法律により裁判がおこなわれなければならない。だから、東日本大震災から6年半も経過しているのに、放射性物質の規制基準や環境基準一つ示されず、いまだに黙りという経済振興策が続いている。
 以上のことから、放射性物質を扱う前橋バイオマス燃料らに対し、被告群馬県は、公害物質を取り扱うのだから、人の命や環境保全を最優先とした、環境基準等を設定し、しかも、その影響を最小限にするよう、事業者を指導する責任を要すことは間違いないのである。何も動かないということは、放射性物質や事業者を最優先するということに他ならず、被告の脱法行為と言っても過言ではない。
 水質汚濁防止法の排水基準であるが、第3条3項には、「都道府県は、当該都道府県の区域に属する公共用水域のうちに、その自然的、社会的条件から判断して、第1項の排水基準によっては人の健康を保護し、又は生活環境を保全することが十分でないと認められる区域があるときは、その区域に排出される排出水の汚染状態について、政令で定める基準に従い、条例で、同項の排水基準にかえて適用すべき同項の排水基準で定める許容限度よりきびしい許容限度を定める排水基準を定めることができる。」としているにもかかわらず、被告群馬県は、3.11以来この6年半、県民の声を無視し、何も手を打っていない。
 さらには、群馬県議会放射能対策特別委員会は、群馬の放射能対策についての被告群馬県知事に提言をしている(平成25年3月13日)(甲58号証)。以下に記す。
@国等の調査結果を踏まえ、本県での健康調査の必要性、また、本県により大きな影響が生じるような事態が発生した場合に備え、健康調査の実施方法や調査項目等の検討を行うこと。またさらに、県内医療機関や研究機関等の協力体制の推進を図ること。
A森林の除染について、現在検討中とされている国の検討結果を踏まえ、群馬県の生態系の維持のため、適切な取り組みが行えるよう情報収集に努めること。
B放射性物質汚染廃棄物(指定廃棄物)の管理強化をさらに進めるとともに、除染による除去土壌、焼却灰、浄水発生土、下水汚泥などが大量に発生した場合でも、安全な保管・管理の方法や大規模な仮置き場など、万一の事故やより大規模な被害を想定した検討を進めること。
Cすべての県民に対して、的確な情報を、遅滞なく、かつ、積極的に提供するための体制を整えること。また、専門知識のない人にもわかりやすい情報の発信に心掛けて取り組むこと。特に隣県・隣国の原発トラブルや核の脅威に関する情報にも注意を払うこと。
D農畜産物をはじめ食品や水道水等々の安全性の確認・確保など、放射性物質に関する対応は長期にわたるものであるため、当分の間、現在の人員や検査体制などを維持すること。また、県民目線で、丁寧な対応を続けていくこと。
E福島第一原子力発電所事故との因果関係が認められる被害が、全て補償の対象とされ、早急に全額が支払われるよう、東京電力(株)に対し働きかけを行うこと。であるが、特にAの森林除染は、国は、除染はしない、できないとしており、群馬県内の森林地帯はまだまだ放射能レベルが非常に高い地域があるにも関わらず、前橋バイオマス燃料らに自由に森林に立ち入らせ、伐採し、売買し、焼却させてしまうという県議会の提言を無視し、事業者等を完全に保護してしまうという行為は、許せるものではない。
 群馬県環境影響評価条例第3条には、「県、事業者及び県民は、群馬県環境基本条例(平成八年群馬県条例第三十六号)第3条の基本理念にのっとり、事業の実施前における環境影響評価の重要性を深く認識して、この条例の規定による環境影響評価その他の手続が適切かつ円滑に行われ、事業の実施による環境への負荷をできる限り回避し、又は低減することその他の環境の保全についての配慮が適正になされるようにそれぞれの立場で努めなければならない。
 また、同条例第4条では、知事は、既に得られている科学的知見に基づき、環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法の選定その他の環境影響評価を行うために必要な技術的事項に関する指針(以下「技術指針(甲57号証)」という。)を定めるものとする。
2 知事は、技術指針について常に必要な科学的判断を加え、変更を行わなければならな
い。
3 知事は、技術指針を定めるに当たっては、あらかじめ群馬県環境影響評価技術審査会
の意見を聴かなければならない。」
と明記している。しかし、被告群馬県知事は、3.11以来6年半、上記3条の県の責務を一切果たしていないことは明白である。

(2)前橋バイオマス燃料らの環境配慮計画に関する一連の違法性

 環境基本法(平成5年11月19日成立・施行)第19条では、国は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全について配慮しなければならない。と環境保全への配慮を義務づけしている。
 平成 19年に、環境省において、事業の位置・規模等の検討段階のものについてのSEAの共通的な手続等を示す「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」(以下「SEAガイドライン」という。)が取りまとめられた。
 平成22年2月22日中央環境審議会「今後の環境影響評価制度の在り方について(答申)」(甲53号証)で、事業の実施段階で行う環境影響評価は、事業の実施に係る環境の保全に効果を有する一方、既に事業の枠組みが決定されているため、事業者が環境保全措置の実施や複数案の検討等について柔軟な措置をとることが困難な場合がある。このような課題に対して、SEAは、事業の実施段階の環境影響評価の限界を補い、事業の早期段階における環境配慮を可能とするものである(P3)。
 また、法と条例の役割分担では、法では、地方公共団体の環境影響評価制度の存在を念頭に置いた上で、対象事業の事業種要件及び法的関与要件を定めることが適当と整理している。このように、我が国の環境影響評価制度は、法対象とならない小規模の事業や法対象外の事業種について、各地方公共団体が地域の実情も踏まえながら環境影響評価条例において対象事業とするという役割分担を前提に、法と条例とが一体となって、より環境の保全に配慮した事業の実施を確保してきている。今後とも、法と条例との役割分担を尊重すべきである(P5)。
 平成23年3月11日、東日本大震災が発生し、福島原子力発電所1号機が翌12日水素爆発を起こし、以降、3号機、2号機等爆発し、空気中や海中等へ放射能の流出が続き拡散してしまった。
 環境アセスメント制度のあらまし(平成24年2月・環境省)(甲39-2号証)によると、環境影響評価法の完全施行から10年を経て浮かび上がってきた新たな課題への対応や、生物多様性の保全など、環境政策の課題の多様化・複雑化の中での環境アセスメントが果たすべき役割の変化などを踏まえて、2011年(平成23年)に環境影響評価法が改正され、2013年(平成25年)4月1日に施行された。
 この法改正により導入された配慮書手続は、事業計画の検討の段階(事業の位置、規模や施設の配置、構造などを検討する段階)を対象としているため、より柔軟な環境配慮が可能となり、これまで以上に効果的に環境影響の回避、低減が図られるなどの効果が期待される。(P7)
 環境影響評価法では、事業者が目標を設定し、この目標を満たすかどうかの観点からの「目標クリア型」環境アセスメントではなく、複数案の比較検討や、実行可能なより良い対策をとっているかどうかの検討などにより、環境影響をできる限り回避、低減するといった視点からの「ベスト追求型」環境アセスメントを行うこととしています。これにより、環境保全の観点からよりよい事業計画にしていこうという議論が、事業者を中心として、一般の方々や地方公共団体の間で行われることが期待されています。(甲39-2号証P10)
 以上のように、環境に配慮した事業計画を国や地方自治体が様々な選択肢の中から環境影響が最小限になるような指導ができる体制を整えてきたにもかかわらず、被告群馬県は事業者の計画書を審査もせず、黙認したことは許せる行為ではなく、完全な脱法行為である。
 被告群馬県は、排ガス量を毎時4万立方メートル以上の第1種事業であると群馬県環境影響評価条例で規定した。これは、環境影響評価法で認められた上乗せであり、環境アセスメント実施の義務を負う。したがって、事前の環境配慮計画の手続きを実施しなければならないにもかかわらず、被告群馬県はすべて承知の上で、前橋バイオマス発電らが環境アセスメントを実施しなくてもよいように計らった行為は、環境基本法等の理念である、人権の尊重やの生存権を脅かす、違法行為である。

(3)前橋バイオマス燃料らの環境配慮計画には、少しでも環境影響を緩和しようとする策が全くなく、その基準にも根拠はなく、国の指針からも大きくかけ離れた違反基準であるである。

 前橋バイオマス燃料らは、大気や排水の基準値として、原子力発電所の周辺区域の基準を踏襲しようとしているが、ただの木質バイオマス燃料製造や発電にこの基準が当てはまるわけがない。しかも、国は、発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針について(昭和50年5月13日原子力委員会)(甲55号証)は、発電用軽水炉施設の通常運転時における環境への放射性物質の放出に伴う周辺公衆の受ける線量当量を低く保つための努力目標として、施設周辺の公衆の受ける線量当量についての目標値(以下「線量目標値」という。)を実効線量当量で年間50マイクロシーベルトとする。と公式見解を示しているのである。この数値は、被告群馬県が認めようとしている1mSVの20分の一の値である。
 さらにこの配慮計画で問題なのは、廃液を地下浸透するのだから土壌汚染の環境影響が予想されるにもかかわらず、土壌の測定や地下水の測定、浄化槽汚泥の放射能測定、管理、公開を全くしようとしていない。

3 被告第3準備書面への反論等

 平成29年10月13日付の被告第3準備書面で、補助金交付決定の経緯について被告は平成27年3月31日に「被告が『未利用の木質バイオマスを燃料とする工場又は事業場については、排ガス量を計算するにあたっては、含水率(乾量基準含水率)を20%として算出できるものとする』とする群馬県環境影響評価条例施行規則別表第1の適用に関する運用を制定」としているが、これには、次の矛盾がある。
 原告が被告職員の唐澤素子に平成27(注:28が正しい)年3月31日に面談し、本件に関連して環境アセスメントの適用の有無についてヒヤリングしたところ、次のやり取りが行われた。なお、「オンブ」とは「オンブズマン」の略で、原告小川のことである。
(引用始め)
オンブ:条例がありますよね。
県:法はもともと、とても大きい施設。
オンブ:大出力の、火力、水力、いろいろな発電所の施設ですけども、出力で決まってしまいますけど。何万キロワットとか、ではなく、もっとすごく大きなやつだけど、県の方 もやはり(条例が)あるわけでしょう。地元の環境保全の観点からね。
県:はい。そちらのほうも、あの、該当にならないということで・・・あのう・・・お話 は、はい、しております。
オンブ:それは彼らの説明によって、皆さんがそう判断されたということですよね。当然ね。
県:はい。
オンブ:彼らが何か書類を出して、例えばあそこにある、4万ノルマル立方メートルの排ガス量とかね。
県:それというかですね、あのう・・・・環境アセスメントの、こう・・・大きな枠組  みという話になっちゃうんですけれども、アセスメントというのは事業者が自ら行って環境に影響があるかどうか、調査したり、予測したりするというものになっていますので、あのう、事業者の方が、あのう、例えば、こう・・・条例の規模要件なんかも参照いただいて、そこで、自分のやる事業は対象になるかな、というのを確認していだくものなので、とくに書類の提出というものは必要なく、あのう、こういう事業をやりたいんですけれどもアセスの対象になるんでしょうか、という、こう、相談を受けましたら、こういう制度になっているので、これで計算して、該当になるかどうか、あのう、見てくださいね、というそういうご説明で、あのう、してる。とくに書類のやり取りという・・・まあ、本当に該当するということになれば、あのう・・・・こう、アセスの図書があるんですけれども、そういうもので。
(引用終わり)
 この事実から、被告が群馬県環境影響評価条例施工規則別表第1の適用に関する運用を制定したのは、平成27年3月31日より前だったことになる。なぜなら、唐澤素子が前橋バイオマス燃料の株主であり、本件施設事業者の関電工に対して、別表1の適用に関する運用に基づく説明を既にしていたからだ。
 一方、被告第3準備書面によると、事業者である関電工は、平成27年7月30日に、被告に対して「手続き状況を具体的に説明し、その中で前橋バイオマス発電所は環境アセスメント対象事業非該当であることも説明」したそうだが、被告が原告に開示した資料(甲8号証3ページ目の「■本事業の経過」)によると、関電工は、平成27年3月に、「本計画については群馬県の環境アセスメントの適用対象とならないことを群馬県環境政策課に確認」したとしており、事業者の関電工は、原告羽鳥をはじめとする予定地に隣接する住宅地に住む地元住民らに対して、ウソの説明をし、それを被告に報告したことがわかる。被告がウソをついているのか、関電工がウソをついているのか、この疑問ははなはだ重要であり、明らかにすべき事項である。
 被告がウソをつく理由は、平成27年4月1日に施行されたと言われる、木質バイオマスの水分量2割削減した排ガス量計算の運用開始前に、関電工だけが知っていたというのは被告にとって絶対に避けたい事実であるからである。しかし、関電工がウソをつく理由は見つからない。
 被告は、経緯の冒頭として、平成26年7月10日に各都道府県や関係市に、環境影響評価条例における木質バイオマス発電所建設事業の対象要件について紹介を実施している。なぜこのアンケートを実施したのか真意が全くわからないし、調査結果からも、全国では、被告が行ったような木質バイオマス発電の排ガス量から水分量を削除するような優遇は一つの自治体もない。当たり前である。科学的、物理的に根拠の無い妄想であるからである。さらに、長野県や北九州市に直接、第一種事業は、環境影響調査の実施は義務かどうかを尋ねたところ、義務であると明確に答えた。しかし、被告群馬県は、恥ずかし気もなく、群馬県環境影響評価条例を関電工だけに特別に、県条例の運用を一部局だけの判断で変更してしまったのだ。
 さらに、被告第3準備書面によると、平成27年3月31日に排ガス量を含水率2割として算出できる運用を制定したとされているが、なぜ、運用の拡大を図る必要があったのか。答えは明確である。関電工の事業が、環境影響調査を行うことなく事業がはじめられるようペンをなめたのである。もう一つ、疑問が残る。原告の小川は、もう一方で、裁判(事件番号:前橋地裁平成28年(行ウ)第24号、事件名:公文書不存在決定処分取消請求事件)を起こし、先の運用のすべての資料の公開を平成28年5月に求めたが、被告群馬県は、資料は無いとし、裁判所も被告の情報だけを鵜呑みにし、結審した。本当に、当時は、この運用拡大の資料はなかったとすれば辻褄が合う。その後、証拠づくりのために、平成28年7月頃、後追いで作成し、原告羽鳥が公開を求めた平成28年9月には、公開したのである。そうすると、問題は、被告群馬県は、当時(平成27年3月30日)にさかのぼって、公文書を偽造した疑いがでてくる。この事実関係を明確にするため、この文書を作成した唐澤素子氏の証言が必要であり、証人として話を聞く必要がある。
 そして、被告第3準備書面によると、平成27年7月30日に、被告群馬県は、関電工より環境影響調査の非該当との報告を受けたと記してある。非該当とはどういうことを意味しているのか。それは、群馬県環境影響評価条例の運用拡大を知っていたからであり、この文書が、関電工の判断基準になったからである。つまり、この文書が無ければ、関電工は、条例に則り、環境影響調査を行うという意志の現れでもある。しかし、被告群馬県は、無残にも関電工の圧力や忖度に折れてしまったに違いない。
 平成27年7月30日の関電工が被告群馬県に事業計画を説明した際に、環境影響調査の非該当の説明があったのかも知れないが、2年から3年を要す環境影響評価は、事業計画に大きく影響する。したがって、事業説明の半年以上前には、被告群馬県の環境影響調査をしなくてもよいというお墨付きが無ければ、事業計画は作ることはできない。当たり前の話である。したがって、被告群馬県は、相当前から、根拠も無いまま、関電工に対し環境影響調査を行わなくてもよいという了解をしてしまっていたはずである。
 もう一つ、はっきりさせなければならないことがある。それは、本当の排ガス量はいくつなのかということである。本当の排ガス量を、被告群馬県は、文書で入手することなく、計算式も、原告の問い合わせにも、関電工に直接聞けというありさまである。したがって、関電工の排ガス量が実際にいくらになるのかを明確にしなければ、本当の議論に入れるわけがない。本当に、2割のおまけで排ガス量が本当に4万㎥未満になるのか疑わしいのである。原告は、排ガスの専門家(焼却炉技術コンサルタント)に排ガス量の試算を依頼したところ7万6千㎥との試算結果を得た。さらには、直性、発電所の設備納入業者(三菱日立パワーシステムズ株式会社)に確認したところ、4万6千㎥との回答を得ている。したがって、2割のおまけでは、4万㎥未満にはならない可能性が非常に大きいのである。
また、長野県の環境審査係は、提出された書類の内容の審査も行い、より専門的な内容については、大学教授等で構成されている長野県環境影響評価技術委員会で審議するとのこと。また、排ガス量を確認する場合は、事業の内容等を確認できる資料を入手し、大気汚染防止法の担当課にも確認しながら判断するとのこと。また、北九州市も、群馬県と同規模の排ガス量を4万㎥と指定しているが、一切の妥協は無く、規模要件を満たす事業について、事業者の判断で環境アセスメントを実施不要とすることはでないと、回答を得ています。このように県の環境行政は、環境問題に真っ向から向き合い、審査をし、徹底しているのである。しかし、被告群馬県は、資料は入手していない、大変だからおまけしてやろうと、なあなあ行政の始末である。県民の一人、そして納税者の一人として本当に恥ずかしい限りである。
群馬県は、バイオマス発電には消極的で、群馬県森林・林業基本計画書(平成23年から32年)を見ても、燃料用チップの生産目標は、わずかに7万トンである。
 前橋市においても平成26年2月に前橋新エネルギー導入アクションプランを作成したが、平成23年を基準年に、家畜の糞尿等の活用を含めたバイオマス発電計画も、基準の1,750kwに対し、10年後の平成32年の目標値でも2,130kw(2割増)にしかならず、全く木質バイオマスも家畜の糞尿も行政としての目標は無いに等しかったのである。
 どうしてバイオマスに後ろ向きな被告群馬県が、突然なぜ、このような大規模な木質バイオマス発電を県民に知らせることなく、県民の声を無視してまでも強引に行うようになったのか。急な豹変ぶりの背景を想像すれば、明らかに、関電工の被告に対する圧力や忖度があったことは間違いない。

(1) 補助金適正化法違反

 このように平然と住民および被告対してウソの報告をするような事業者が出資する前橋バイオマス燃料に対して、被告が補助金を支出することは補助金適正化法第3条第1項に照らして違反であり、また、前橋バイオマス燃料が被告に対して、補助金を受けることは、補助金適正化法第3条第2項に照らして違反である。

(2)群馬県補助金等の規則違反

 このように平然と住民および被告に対してウソの報告をするような事業者が出資する前橋バイオマス燃料に対して、被告が補助金を支出することは群馬県補助金等に関する規則(甲61号証)第2条の2第1項および第2項に照らして違反であり、また、前橋バイオマス燃料が被告に対して、補助金を受けることは、同じく群馬県補助金等に関する起草第2条の2第1項に照らして違反である。
 また、上記の事由によって、住民及び被告に対してウソの報告をするような事業者は、群馬県補助金等に関する規則第13条第1項第1号および第3号に該当するので、被告は補助金等の交付の決定の全部を違法として確認し取り消すことができる権利を行使しなければならない。

                          以上
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■今後、これまで原告から再三提起されている環境アセスメントをなぜ実施しないのか、その根拠について偽造書類等の作成・行使を含めて指摘してきた事項について、12月15日までに被告から反論というかたちで被告第4準備書面として、詳しい見解が示されてくることになっています。

 それらを踏まえて、12月25日午後4時から、おそらく最後の弁論準備として、第6回目の弁論準備期日が開かれる予定です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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