2017/12/23  12:31

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…どうみても毎時4万Nm3超の排ガスを巻き散らす関電工バイオマス発電施設  東北関東大震災・東電福島原発事故

■群馬県の象徴でもある赤城山の南麓に東電グループの関電工がトーセンと組んで投資を進める前橋バイオマス発電事業で、付属する放射能汚染間伐材のチップ製造施設を4億8000万円もの補助金を行政から得て設置し、発電施設と共に年明けから本格稼働させようとしています。これに先立ち、12月22〜23日にかけて、前橋市宮城地区の住民希望者から抽選で90名を対象に、見学会が開催される予定です。当会では地元住民団体の皆さんとともに、別途12月中に工場の公開を関電工に要請中ですが、未だに関電工に無視されたままです。昨日から実施されているらしい施設見学の際のポイントについて、幾つかの視点でまとめてみました。見学会の際の参考になれば幸いです。最初は燃焼施設のメインとなるボイラです。


 前橋バイオマス発電事業の最も大きな問題は、群馬県条例に基づく環境アセスメントを特例として免除されたことです。本来、バイオマス発電所は火力発電所ですから、大気汚染の観点から、排ガス量がアセスメントの目安となります。

 群馬県環境影響評価条例によると、毎時4万ノルマル㎥以上の火力発電所は、環境アセスメントを実施することが義務付けられています。ところが、群馬県は、バイオマス発電の場合は、燃料の木材に含まれる水分量が化石燃料と異なり、著しく多く含まれていることから、燃焼後の排ガス量の中に水蒸気の占める割合が多いため、原料の水分量がいくら多くとも、一律水分量20%として燃焼後の排ガス量を計算して、それが毎時4万ノルマル㎥未満であれば、環境アセスメントの対象外とする旨、今年2017年5月にHPで公表しました。

 一方、関電工では、平成27年1〜3月に群馬県環境政策課との協議で、県から口頭で、上記の水分量20%の特例措置を聞かされ、前橋バイオマス発電では毎時4万ノルマル㎥未満だからアセスメント対象外と判断したとされています。しかし実際には、関電工が群馬県に泣きつき、群馬県が忖度して環境アセスメントをしなくても済むように配慮したことが伺えます。

■住民説明会で関電工は、ボイラの詳しい仕様を明らかにしませんでした。その後、前橋市に提出した環境配慮計画である程度の数値が明らかになりました。これによれば、排ガス量は毎時42,400ノルマル㎥(最大連続運転時)、毎時46,800ノルマル㎥(設備最大能力)となっています。

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 関電工は、ボイラの製造会社について、三菱日立パワーシステムズ株式会社であることを、平成27年3月の3回目の住民説明会で明らかにしました。なお、バイオマス発電システム全体の設計・監理は東芝パワーシステムに発注したようです。

 関電工は今回、トーセンと組んでバイオマス発電事業を初めて手掛けることになりましたが、トーセンではこれまでいくつかバイオマス発電事業の実績があります。その際、使用してきたボイラはいずれもよしみね汽缶のストーカ式水管ボイラです。通常、薪などを燃やすには格子(ストーカ)式の燃焼方式が一般的です。ところが、関電工は、親会社の東電の火力発電所のボイラ技術のほうが慣れているのか、今回、三菱日立パワーシステムズ且ミ製の流動床式ボイラを採用しています。

■三菱日立パワーシステムズ鰍ノついて調べてみました。

 同社は、2014年2月、三菱重工業株式会社、株式会社日立製作所が出資して設立した会社です。本社所在地:神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目3番1号 三菱重工横浜ビル、取締役社長:安藤健司、資本金:1,000億円、従業員数:連結19,574人・単独10,903人(2017年10月現在)、工場:日立工場・横浜工場・高砂工場・呉工場・長崎工場で、発電プラント、タービン、ボイラなどエネルギー関連機器を製造する日本を代表する大企業です。
※参考URL ⇒ https://www.mhps.com/jp/

 同社に対して先月、当会は次の問い合わせをしました。
[件名]排ガス量について
[内容]再生エネルギーの重要性が増す中、木質バイオマス発電なども残材の有効活用や燃料の安定供給など素人ながら少し理解しています。御社の木質バイオマス発電装置で、ホームページには蒸気量が掲載されていますが、排ガス量とは違うのでしょうか。また、実際の排ガス量はどのくらい出るのか教えていただきますでしょうか。たとえは、ホームページに3種類ありますが、2000キロワットタイプ、4000キロワットタイプ、6000キロワットタイプでどうでしょうか。

 すると、同社から次の回答がありました。

*****回答メール*****
Date: 2017/11/21, Tue 09:58
Subject: Fw: お問い合わせ

お世話になっております。
三菱日立パワーシステムズ鰍フ○○と申します。
弊社にお問合せ頂いた下記の件につき返信させて頂きます。
まず弊社の木質バイオの標準機としては2,000kw級と7,000kw級の2種類があります。
排ガス量は燃料の種類、水分、灰分、その他によって大きく左右されますので一概にお答えできませんが、弊社の実績から申し上げれば2,000kw級で概略14,000m3N/h程度、7,000kw級で概略46,000m3/h程度でございます。
以上、宜しくお願い申し上げます。
三菱日立パワーシステムズ梶@○○ ○○
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■ 同社のHPの製品のうち、「ボイラ」を見てみましょう。
※参考URL ⇒ https://www.mhps.com/jp/products/boilers/index.html

 この中の「流動床ボイラ(BFB)」に注目しましょう。
※参考URL ⇒ https://www.mhps.com/jp/products/boilers/lineup/bfb/index.html
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【流動床ボイラ(BFB)】
流動床(BFB:Bubbling Fluidized Bed)ボイラは、粉砕処理が困難な燃料や難燃性の燃料でも対応可能なボイラで、高温で流動する砂の中に燃料を投入し燃料を効率的に燃焼できます。
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)のBFBボイラは、1984年の商用第1号機を納入以来、多数の納入実績があります。
発電出力や使用するバイオマス性状に応じて最適な流動床ボイラ形式を選定し、多様なニーズに対応することが可能です。
<概要>
★多種多様な燃料に対応
BFB燃焼では、大きな熱容量を持つ砂などの流動媒体により、高水分な燃料や難燃性の燃料まで幅広く安定して燃焼させることが可能です。
当社BFBボイラでは、石炭だけでなく、木屑、建築廃材などの木質系バイオマスから廃タイヤなどの産業廃棄物系まで多種多様な燃料を利用できます。
★異物の安定した排出
流動床の底部には燃料中の異物量に応じたベッドドレン抜出方式を採用すると同時に、適切な炉底形状および空気ノズル形状を採用することにより、燃料とともに流動床に持ち込まれる異物を安定して系統外へ排出し、流動床内部での堆積に伴う流動不良を防止します。
★低い環境負荷
流動床燃焼では、およそ900℃以下の低い温度で十分に燃焼させることができるので、窒素酸化物(NOx)等の大気汚染物質の低減が可能です。
<納入実績>
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納入先:株式会社エフオン
 プラント:豊後大野発電所
 最大連続蒸発量:75t/h
 蒸気条件(加熱器出口):蒸気温度505℃、蒸気圧力10.3MPag
 燃料:木質チップ(起動用:A重油)
 運転開始:2016年


■しかし、このボイラーでは大型すぎるため、「バイオマス発電 ボイラー」で検索すると、同社の子会社のHPがヒットしました。
※参考URL ⇒ https://www.ids.mhps.com/index.html
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商号:三菱日立パワーシステムズインダストリー株式会社(Mitsubishi Hitachi Power Systems Industries Co., Ltd)
登録所在地:横浜市中区相生町三丁目56番1号JNビル
設立年月日:1961年(昭和36年)10月10日(但し、2014年2月に三菱重工業鰍ニ鞄立製作所の火力事業統合に伴って、社名を三菱日立パワーシステムズエンジニアリング鰍ニ変更し、同年10月にバブ日立工業鰍合併吸収)
社長:牧浦 秀治
資本金:10億円
株主:三菱日立パワーシステムズ株式会社(100%)
年間売上高:226億円(2016年度)
従業員数:約620名(2017年4月1日現在)
事業内容:
○産業用ボイラ・中小型火力発電プラント・地熱発電プラントの基本計画、詳細設計、調達、建設、試運転
○既設プラントの改造工事、アフターサービス、保全工事
○メカトロ、コンピュータ制御装置の設計製作
○各種訓練設備・監視計測装置の設計製作
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 この子会社のHPをさらに見てゆくと「プラントエンジニアリング」
https://www.ids.mhps.com/business_guide/plant/index.html
の中の「発電・環境設備」に、「バイオマス発電設備」という項目があります。
https://www.ids.mhps.com/business_guide/plant/environment_system/environment_system_05/index.html
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●バイオマス発電設備
・ボイラ・タービン・発電機一括のバイオマス発電設備を提供します。
・バイオマス燃料の受入設備、定量供給設備、燃焼・ボイラ設備、灰処理設備、排煙処理設備、タービン発電設備他の計画設計、製作手配、工事発注、試運転を対応します。
●バイオマス焚流動層ボイラの特徴
1.層中管の設置
 流動媒体と伝熱管の電熱効率が大きいことを活用し、流動層内に一部伝熱管を設置し、火炉のコンパクト化を図っている。
2.最適空気配分
 2次空気供給(2段燃焼システム)を採用し、1次空気とのバランスを適正化することで、燃焼ガスの完全燃焼化を図っている。
3.タービン発電機の最適設計
 タービン発電機とボイラ設備のトータル効率(発電効率)を最適化することにより、発電効率25%以上を確保できる設備設計としている。

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流動層ボイラ組立図

 これを前橋バイオマス発電所の説明資料の中のスケッチ図と比較して見ると、デフォルメしてあるかどうかの差異はあるにしても、おおむねフロー図的に見れば同じような構造であることがわかります。下の図でボイラ構造図が黒塗りされていて詳細不明ですが、おそらく上の図と同じ可能性が高いと思われます。

【1月10日追記】
当会の調査の結果、黒塗り箇所は次の図であることが判明しました。案の定、上のボイラ構造図と左右反転していますが、合致していることが分かります。↓
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●バイオマス発電設備プラント構成例
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●バイオマス発電設備の主な諸元
発電クラス(送電端):2MWクラス/7MWクラス/20MWクラス
ボイラ型式:気泡型流動床 (BFB)
ボイラ主仕様:蒸気量;9.5t/h/28.1t/h/95t/h
       蒸気圧力;6.0MPaG/6.1MPaG/12MPaG
       蒸気温度;478℃/478℃/505℃
ボイラ略寸法(鉄骨スパン):幅(W);6m/13m/16m
            奥行(D);11m/14m/29m
            高さ(H);FL+12m/FL+19m/FL+33m
燃料:バイオマス一般、PKS、石炭、廃タイヤ等
燃料投入方法:ロータリーバルブ+燃料シュート
起動方式(燃料):起動層上バーナ(適用燃料:油/ガス)
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■すなわち、メーカーの技術者もいうように、排ガス量は燃料の種類、水分、灰分、その他によって大きく左右されますので一概には言えないが、同社の実績から言えば、今回関電工のバイオマス発電で導入したボイラの排ガス量は7,000kw級で概略46,000m3/h程度となり、さらに水分量が多い木材を燃焼させることから、空気量はさらに加わり、実際の排ガス量はさらに増えることになります。

 にもかかわらず、群馬県は根拠もなく毎時4万ノルマル㎥は超えないと勝手に決めつけて、口頭で関電工に伝えました。排ガスが条例の基準を超えてアセスメント適用が不可避だとおそるおそる群馬県に打診していた関電工も、群馬県から口頭で指針を教えられ「あとは最終的に環境アセスの要否は自分で判断するように」と言われたことから、「これ幸い!」と県の指導に飛びついて、住民の生活環境保全をないがしろにする「環境アセスメント不要」という方針を固めたものと思われます。

■したがって、本日12月23日午後に関電工の前橋バイオマス発電施設の見学会に参加される住民の皆さんは、次の点を関電工に質問し、現場で確認しましょう。

ポイント1:ボイラに投入する燃料は、すべて水分量40%に脱水された木質チップなのか?それともさまざまな水分量の木質チップを使うことになるのか?

ポイント2:ボイラに燃焼用空気を送り込むために使用される一次押込み送風機、および二次押込み送風機の送風能力はいくらなのか?


【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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