2018/2/25  20:14

群馬県台湾総会からのご協力のお願い  国内外からのトピックス

拝啓
 この度、台湾花蓮県に発生した地震によって被害を受けられた皆様方に心よりお見舞い申し上げます。 一日も早い復興を願っております。
 日頃、群馬県台湾総会にご理解とご支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 2月6日午後11時50分(日本時間2月7日午前0時50分)に発生して以来、県内外の方々より多数の励ましの言葉をいただき、皆様より義援金の寄付の件についての問い合わせがございました。
 協議した結果、群馬県台湾総会が窓口となり、義援金は「台北駐日経済文化代表処」に寄付し被災地の方へ支援させていただきたいと存じます。
 この地震で被災された方々を支援するため、下記のとおり義援金の受付をさせていただいております。皆様の温かいご支援をよろしくお願いいたします。

○受付期間
 2018年2月8日(木)〜2月28日(水)
○銀行振込
 東和銀行 伊勢崎支店
 口座番号 普通 3149880
 口座名義 「グンマケンタイワンソウカイ カレンシンサイ」
                                    敬具
2018年2月8日

                          群馬県台湾総会
                          会長 頌彦真賢

 最初のニュースを聞いた時にはこれほど酷いとは思いませんでした。

**********産経新聞2018.2.8 10:16
【台湾地震】花蓮の倒壊建物で捜索続く 死者9人に
クリックすると元のサイズで表示します
雨の中続く捜索活動=8日、台湾・花蓮市(田中靖人撮影)
 【花蓮=田中靖人】台湾東部の地震で、花蓮市の12階建て集合住宅兼ホテル「雲門翠堤大楼」の倒壊現場では夜を徹して捜索が行われた。8日午前までに新たに遺体が発見され、午前6時現在、この場所での死者は6人となった。地震による死者は計9人、けが人は265人に上った。
 地震で倒壊した4棟のうち、老舗ホテル「統帥大飯店」では捜索・安否確認が終了。安否が確認できていない62人のうち47人が集中する雲門大楼が捜索の焦点となっている。花蓮では7日昼から断続的に雨が降り、作業を妨げている。建物は地震直後より傾斜が強まっており、消防隊員らの安全を確保しながら慎重に捜索が進められている。
 建物は地上3階分が崩れており、1、2階のホテル部分に犠牲者が集中しているとみられる。8日未明には、ホテル部分から宿泊客とみられる中国人女性や従業員男性が遺体で見つかった。
 報道によると、地震で倒壊した4棟はいずれも南北に走る断層の上に建っていた。雲門大楼は川と暗渠(あんきょ)が交わる地点に建っており、地元建築士は倒壊の原因を液状化と指摘した。ただ、台湾では2016年2月の南部での地震で違法設計・施工の高層住宅が倒壊したため、1階部分がアーケードとなっていた建物の構造や2階部分の改装が原因ではないかとの報道が相次いでいる。
クリックすると元のサイズで表示します
クリックすると元のサイズで表示します
前日より傾斜が強まった12階建て集合住宅兼ホテル=8日午前、台湾・花蓮市(田中靖人撮影)
クリックすると元のサイズで表示します
倒壊した雲門大楼は川沿いに建っていた=8日、台湾・花蓮市(田中靖人撮影)
クリックすると元のサイズで表示します
捜索活動が続く、地震により損壊し大きく傾いたビル=8日、台湾・花蓮市(共同)
クリックすると元のサイズで表示します
地震により損壊した道路と大きく傾いたビル(奥)=8日、台湾・花蓮市(共同)
**********

【2月19日追記】
**********日経BP 2018年2月13日
傾く巨大ビル、台湾地震で記者が見た被害実態
★台湾東部地震ルポ(1)断層近くの高層ビル2棟などが倒壊

 台湾東部で現地時間2月6日午後11時50分ごろ、高層ビルが倒壊するなどの大きな被害をもたらす地震があった。現地に飛んだ菅原由依子記者が、まずは写真を中心に被害の詳細をリポートする。

クリックすると元のサイズで表示します
台湾・花蓮市の中心部に立つ「雲門翠堤大楼」。地震によって地下1階と地上1、2階がつぶれ、大きく傾いていた。2月10日撮影(写真:菅原 由依子)
 死者が多く出た高層ビル「雲門翠堤大楼」は、遠目からも分かるほど大きく傾いていた。台湾東部で2月6日午後11時50分(日本時間7日午前0時50分)ごろ、マグニチュード(M)6.0の地震が発生。花蓮市内で高層ビルが傾斜するなどの被害があった。台湾内政部消防署の発表によると、2月11日午後6時までに確認された地震による人的被害は死者16人、負傷者289人、行方不明者1人。

クリックすると元のサイズで表示します
被害者の多くは、低層階に入っていたホテルの宿泊客だ(写真:菅原 由依子)
 倒壊するなど大きな被害を受けたのは、主に高層ビルで、断層近傍に位置していた。前述の「雲門翠堤大楼」は地下1階・地上12階建て、そのほか11階建ての「統帥大飯店」、11階建ての集合住宅などが倒壊した。

クリックすると元のサイズで表示します
地震によって1、2階がつぶれたホテル「統帥大飯店」。2月9日に解体が始まった。撮影は2月10日(写真:菅原 由依子)

クリックすると元のサイズで表示します
1階の駐車場がつぶれた集合住宅。住民たちは窓などから救出され、幸いにも死者は出なかった(写真:菅原 由依子)

クリックすると元のサイズで表示します
高層ホテルの建設現場では、地震によってクレーンが倒れた。この敷地も断層近傍にある(写真:菅原 由依子)
(菅原 由依子=日経 xTECH/日経アーキテクチュア)

**********日経BP 2018年2月16日
台湾地震で傾いた巨大ビルの図面入手、現地技術者が語った倒壊メカニズム
★台湾東部地震ルポ(2)低層部の柱を起点に連鎖的に崩壊か

 台湾東部の花蓮市では、2月6日(現地時間)に発生した地震によって高層ビルなどが倒壊。合計17人が犠牲となった。なかでも被害が大きかったのが12階建ての「雲門翠堤大楼」だ。巨大ビルが傾いた姿は大きなインパクトを与えた。日経 xTECHは、平面図を独自入手。現地の構造エンジニアの見解を交えて、推定される倒壊のメカニズムとその原因について探った。

クリックすると元のサイズで表示します
台湾東部で2月6日(現地時間)、マグニチュード6.0の地震が発生。震度7級(台湾の震度階級)を記録した花蓮市では、合計17人の死者を出した。余震が続くなか、「雲門翠堤大楼」では行方不明者の捜索と、専門家たちの調査が同時に行われていた。撮影は2月10日(写真:菅原 由依子)
 「雲門翠堤大楼」を訪れると、周囲は規制線が張られ、川沿いの歩道から街の人々が不安そうに見守っていた。そのときは行方不明だった2人の夫婦が建物内で発見され、消防隊や軍隊が遺体を運び出す瞬間だった。

クリックすると元のサイズで表示します
敷地の北側から撮影。3階までが地下にもぐり込んでいることが分かる(写真:菅原 由依子)
 花蓮市を襲った2月6日の地震は、合計17人の犠牲者を出した。そのうち14人が雲門翠堤大楼にいた人々だ。建物は地下1階・地上12階建てで、鉄筋コンクリート造。1階にレストラン「阿官火鍋」、2、3階にホテル「漂亮生活旅店」、4階以上に住居などが入っていた。敷地は花蓮市の中心部で「美崙渓」という川のそばにあり、竣工してから築20年以上がたつ。

クリックすると元のサイズで表示します
敷地横を流れる川の対岸、南側から撮影(写真:菅原 由依子)
 現場の敷地を南側から眺めると、地震によって建物は南西側に大きく傾き、1〜3階が地下へ沈み込んでいた。4階のベランダは地面に接触し、干された洗濯物が風にたなびいていた。犠牲者が多かったのは2階南側に並んでいたホテル客室だ。家族や夫婦などの宿泊客が遺体で発見された。

クリックすると元のサイズで表示します
南側の建物足元から撮影。4階のベランダが地面に接していた。「脇に停まる自動車を見ると傾くなどの影響がないので、地面が沈んだというよりも、地下室に建物が沈み込んだ可能性が高いことが分かる」と構造エンジニアの施忠賢氏は言う(写真:菅原 由依子)
 敷地を回り込んで北東側へ行くと、2階の天井が露わになっていた。柱は引っ張られて壊れ、鉄筋も曲がったりちぎれたりした状態でむき出しになっていた。現地メディアによれば、施工は北歌建設公司、設計は游徳栄氏が担当。低層階では入居していたレストランなどが建物の構造に手を加えた可能性も指摘されており、関係者の責任問題が報じられていた。

クリックすると元のサイズで表示します
敷地北東側から見た。建物は南西方向へ倒れ、北東から見ると2階の天井などが露出していた(写真:菅原 由依子)
 現地を訪れた和田章・東京工業大学名誉教授は、ひと通り建物の被害を観察した後、「1階が見当たらない」とつぶやいた。
(菅原 由依子=日経 xTECH/日経アーキテクチュア)

**********日経BP 2018年2月19日
耐震工学の第一人者、和田章氏が読み解く台湾高層ビル倒壊の原因
★台湾東部地震ルポ(3)東西方向の周期の長い揺れが一因か

 台湾東部で現地時間の2月6日、地震によって複数の高層ビルが倒壊した。なかでも被害の大きかった12階建ての「雲門翠堤大楼」について、推定される倒壊メカニズムを前回(2月16日公開)の記事 で紹介した。今回は現場の状況や図面のほか、和田章・東京工業大学名誉教授などが語った推測を手掛かりに倒壊の原因をひもとく。

クリックすると元のサイズで表示します
台湾東部の花蓮市で地震被害を調査する和田章・東京工業大学名誉教授(左)。右の2人は構造エンジニアで台南市結構工程技師公会の施忠賢常務理事(中)と彭光聡氏(右)。2月11日に撮影(写真:菅原 由依子)
 現場を視察した和田章・東京工業大学名誉教授は、まず建物を高さ方向に見たときの、剛性や強度のバランスの悪さを倒壊の一因として推測した。1〜3階の低層部分はレストランやホテルが入居し、広い空間を求めて壁の少ないプランとしていた。かたや4〜12階は集合住宅などが入って壁が多かった。

クリックすると元のサイズで表示します
雲門翠堤大楼を東側から見る(写真:菅原 由依子)

クリックすると元のサイズで表示します
雲門翠堤大楼は30度以上大きく傾いた。サッシ越しに折れ曲がった柱が見える(写真:菅原 由依子)
 「低層部ほど、上階の鉄筋コンクリートを支えるために丈夫でないとならないはず。しかし、この建物は低層部が相対的に弱い構造をしていた。しかも偏心によるねじれ振動も起こったと考えられ、剛性と強度におけるバランスの悪さが被害を招いた」と和田名誉教授は言う。偏心が倒壊を招いたのではないかという推測メカニズムは、前回(2月16日公開)の記事で1階平面図と共に紹介したので参照してほしい。

クリックすると元のサイズで表示します
現場では、行方不明者の捜索と同時に、建築や土木の専門家たちが被害の実態調査を進めていた(写真:菅原 由依子)
 柱の本数と太さにも問題があった。花蓮県政府建設課の担当者によれば、各柱の太さは約800mm角という。図面を見ると、約8380mmのスパンで柱が配置されていた。「12階建ての建物としては柱の間隔が広く、日本と比べると本数が少ないように見えた」と和田名誉教授。
 破壊された柱からは、鉄筋の施工にも問題があったように見受けられた。「800mm角の柱としては過剰な量の主筋が入っている」(和田名誉教授)。過剰な量の主筋を入れると、周りを囲むコンクリートの主筋を抑える能力が低下し、上下から圧縮力を受けた場合に柱が壊れやすくなる。

クリックすると元のサイズで表示します
断裂した柱の様子。約800mm角とみられ、中には主筋が密に配置されていた。また、同じ高さで重ね継ぎ手が外れていることも見て取れる(写真:菅原 由依子)
 しかもこの建物では主筋をまとめて拘束するための帯筋が少なく、帯筋の端部を曲げるフックも90度と浅かった。日本の場合は1995年の阪神・淡路大震災以降、厳しく言われるようになって135度フックが浸透している。
 破壊された柱から、主筋は同じ高さで重ね継ぎ手されていたことも分かった。同じ高さで継ぎ手をすると、今回のように上下に引っ張られたときには一斉に同じ場所で主筋が抜けてしまう。

★周期2〜3秒の成分が卓越した地震動
 和田名誉教授は詳細な検討結果が発表されるまで分からないと断ったうえで、地震動の特性が影響した可能性も指摘する。台湾の研究機関である国家地震工程研究中心が公開した、地震動の加速度応答スペクトルを確認してみよう。

クリックすると元のサイズで表示します
台湾の研究機関、国家地震工程研究中心が公表した「2018.02.06花蓮地震概要 Ver7.2」の抜粋。花蓮市で観測された地震動と加速度応答スペクトル。南北方向の最大加速度は434ガル(cm/秒2)。東西方向で2〜3秒の周期が卓越している(資料:国家地震工程研究中心)
 花蓮市で観測された地震動の加速度応答スペクトルを見ると、東西方向で2〜3秒の周期が卓越していることが分かる。和田名誉教授は、「12階建ての建物であれば、固有周期は1秒ぐらいだ。しかし地震発生後、初めに低層部に損傷を受けて建物の固有周期が延び、2〜3秒と周期の長い成分を含む波と共振して大きく揺さぶられた可能性がある。この卓越した部分の応答スペクトルは、台湾における設計基準の2倍近くに匹敵する」と解説する。
 東西方向の強い揺れは、不整形の平面プランが持つ弱点を突いた。揺れる方向で建物を見たとき、最も外側にある柱に力は集中する。雲門翠堤大楼では、北東の角に位置する柱が最も強い引っ張り力が加わり、南西の角に位置する柱に最も強い圧縮力が加わったと予想される。

クリックすると元のサイズで表示します
↑2階平面図を見た和田名誉教授は、12階建ての建物としては柱のスパンが比較的広いことを指摘した。北東の柱に引っ張り力、南西の柱に圧縮力がかかったとみられる(写真:菅原 由依子)

★液状化が倒壊を招いた可能性は低い
 現地メディアのなかには、敷地が川沿いにあることなどから、地盤が液状化したことで建物が倒壊したのではないかという可能性も報じられていた。

クリックすると元のサイズで表示します
「美崙渓」という川沿いに北から雲門翠堤大楼を眺める(写真:菅原 由依子)
 現地の構造エンジニアであり、台南市結構工程技師公会の常務理事を務める施忠賢氏は、「確かではないが、約30年前に土地が整備され、暗渠の上に敷地がある可能性がある」と説明する。「美崙渓」という川に続く水路がかつてあったが、土地を整備するために南側へずらした経緯があると言う。そこで整備した土地の上に建てられたのが、雲門翠堤大楼というわけだ。確かに現在の敷地南側を見ると、水門が隣接していた。

クリックすると元のサイズで表示します
敷地の外、南側から撮影。写真右に水門が見える(写真:菅原 由依子)
 しかし、施氏は液状化が倒壊の原因となった可能性は低いとみている。敷地のある一帯はかつて海があった場所で、むしろ固い。地盤は石と砂の下に深さ10mぐらいからサンゴ石が埋まっている。さらに下には岩盤があり、それほど弱い地盤ではないはずだと言う。建物は高層だが地下に杭はなく、直接基礎で建てられていた。
 「私は2年前の美濃地震も経験したが、液状化であれば敷地の周囲で大量に水が噴き出るはず。いまのところ雲門翠堤大楼の周りを見渡してもそうした現象は見当たらない。地面に幅1cm程度のひび割れが見られるぐらいだ」と施氏は言う。

クリックすると元のサイズで表示します
敷地の外、南側から地面と低層部を撮影。建物南側は4階が地面に接している状態だ。地面はひび割れ、粉々に砕けた窓のガラスが散乱していた(写真:菅原 由依子)
 現在、建物の解体は始まったばかりで、地下室の状況はまだ明らかになっていない。いずれも外から観察し、専門家たちの推測を頼りに現時点で可能性がある倒壊のメカニズムと原因を探った。興味深いのは、花蓮市内で大きな被害があった建物は雲門翠堤大楼を含めて4棟で、断層近傍に集中していたことだ。たとえ断層近傍は建物が壊れやすいとしても、なぜ他の建物は倒壊しなかったのか。次の記事では、その謎に迫りたい。
(菅原 由依子=日経 xTECH/日経アーキテクチュア)
*********

【2月23日追記】
**********日経BP 2018/02/23
台湾地震、高層ビル4棟の倒壊から得る教訓
台湾東部地震ルポ(4)花蓮市は台湾で最も厳しい規制がかかっていた

 春節前の2月6日、街が賑わいを見せていた時期に台湾東部でマグニチュード6.0の地震が発生した。震源近くの花蓮市を訪れた現地ルポは、これまで2回目(2月16日公開)と3回目(19日公開)で、高層ビル「雲門翠堤大楼」の倒壊メカニズムと原因を解説した。今回は市内で見られた他の被害にも目を向けながら、和田章・東京工業大学名誉教授が語った花蓮地震の教訓を紹介する。

クリックすると元のサイズで表示します
台湾東部の花蓮市の老舗ホテル「統帥大飯店」。2月6日に発生した地震で1、2階が崩れた。写真は2月10日に建物の西側から撮影。既に解体が始まっていた。街には、春節を祝うための赤い飾りが所々に吊るされていた(写真:菅原 由依子)
 花蓮市内で大きな被害を受けた高層ビルは、雲門翠堤大楼以外に3棟あった。1棟は、市内中心部の南側に位置する老舗ホテル「統帥大飯店」だ。男性1人の死者を出した。地下1階・地上12階建ての建物で、通りからセットバックしていた低層部の1、2階が層崩壊した。

クリックすると元のサイズで表示します
統帥大飯店を北側から撮影。撮影時に解体は進んでいたが、手前に映る建物の角を見ると1、2階が層崩壊し、3階が地面に着いていることが分かる(写真:菅原 由依子)

クリックすると元のサイズで表示します
建物を北西側から撮影。壁のいたる所にせん断破壊が見られる(写真:菅原 由依子)
 統帥大飯店は1977年に開業し、建物は築40年以上たっていた。台湾の研究機関である国家地震工程研究中心の資料や、現地メディアによれば、2012年に耐震改修を施していたという。
 もう2棟は市の中心部から北西側に立つマンションで、低層部が層崩壊した。「白金双星大楼」というマンションは、もともと1階に駐車場があり、通りに向かって庇が出ていた。地震でそれらが壊れ、2階が地面に接していた。

クリックすると元のサイズで表示します
花蓮市中心部の東側に立つ2棟のマンションで層崩壊が起こった。写真右の白い建物「白金双星大楼」と、左のピンク色の建物だ(写真:菅原 由依子)

クリックすると元のサイズで表示します
白金双星大楼は1階のピロティが崩れた(写真:菅原 由依子)
 その向かいに立つ11階建てのマンションでも1階駐車場のピロティが壊れ、停まっていた自動車が下敷きとなっていた。いずれのマンションでも住民を無事に救出でき、死者は出なかった。

クリックすると元のサイズで表示します
向いに立つマンションでも低層階のピロティが崩れた。いずれも築20年以上たつという(写真:菅原 由依子)

クリックすると元のサイズで表示します
台湾中から集まった建築設計者たちが、3人1グループで被災現場の調査に当たっていた(写真:菅原 由依子)
 2棟のマンションを調査していた建築設計者は、「現時点では調査中なのであくまで推測だが、台湾の建物は1階を柱だけで支えるピロティを持つ建物が多く、これらのマンションも同じ構造を採っていたので低層部が弱かったのではないか。柱を見ると、せん断破壊していることが分かる」と話す。
 これら2棟のマンションに隣接して立つ他の建物を見ると、崩れてはいないが、同じく1階ピロティでせん断力を受けて亀裂の入った柱が見られた。

クリックすると元のサイズで表示します
層崩壊した2棟のマンションの裏手に立っていた別の建物では、1階ピロティの柱にせん断破壊が見られた(写真:菅原 由依子)

★4棟は「集集大地震」前に建設
クリックすると元のサイズで表示します
花蓮市内の様子。一部では停電などが起こっていたが、断層から離れたエリアや、中低層の建物にはあまり大きな被害が見られず、人々は比較的穏やかに過ごしていた(写真:菅原 由依子)
 市内を歩いていると、道路の舗装のひび割れや、外装の一部が崩れ落ちていた場所はあったが、低層の建物に倒壊などの大きな被害は見られなかった。国家地震工程研究中心が公表した資料によると、建物や橋、道路などで目立つ被害は、いずれも花蓮市を南北に走る米崙(Milun、ミルン)断層の近傍で発生した。

クリックすると元のサイズで表示します
台湾の研究機関である国家地震工程研究中心が公表した資料を抜粋した。花蓮市で発生した大きな被害は、南北に走る米崙断層近くに集中していた(資料:国家地震工程研究中心)
 断層の近傍には他にも多くの建物が立ち並んでいたはずだが、なぜ前述した4棟の高層ビルは倒壊などの大きな被害を受けたのか。推測される要因の1つは、4棟が20年以上前に建てられたことが挙げられる。2棟のマンションを調査していた台北市土木技師公会の頼建宏理事は、「“921”以前の建物だったから弱かったのかもしれない」と話した。

クリックすると元のサイズで表示します
被災現場を調査していた台北市土木技師公会の頼建宏理事(写真:菅原 由依子)
 「921」とは、1999年9月21日に台湾中部で発生したM7.3の地震のことだ。1万棟近くの建物が全壊し、2000人以上の死者が出た。「集集大地震」とも呼ばれるその地震を受けて、台湾では98年に改訂したばかりだった耐震設計法をさらに見直した経緯がある。
 最近では、2005年に台湾内政部が建築物耐震設計規範を強化して地域ごとに「震区水平加速度係数」を設定。花蓮市は南北に米崙断層が走り、台湾のなかでも最も高い加速度係数としていた。米崙断層は台湾にある約50の活断層のなかでも、最も活発な活断層の分類に含まれている。
 そうした規制強化が奏功したのか、同じように断層近傍に立つ建物でも、被害の度合いに差が出たのかもしれない。
 建物の築年数以外に、卓越した長周期成分を持つ地震波も、高層ビル倒壊の原因となった可能性がある。和田章・東京工業大学名誉教授は、「台湾も日本も、一般的に設計用地震動として、周期の長い成分が低減する波を使っている。しかしネパール(2015年)や熊本(2016年)で発生した地震では、長周期にピークを持つ地震波が観測されており、必ずしも低減するわけではないことが分かってきている。それが今回の花蓮地震でもはっきりとした」と言う。

クリックすると元のサイズで表示します
国家地震工程研究中心が公表した資料を抜粋。震源近くで観測された6地点の加速度応答スペクトル。花蓮市だけ、2〜3秒の長い周期が卓越していた(写真:国家地震工程研究中心)
 一連の視察を終え、和田名誉教授は次のように語った。「日本では1978年の宮城県沖地震を受けて81年に新耐震基準がつくられた。しかし、95年の阪神・淡路大震災を受けてそれが甘かったことが分かり、建築基準法を改正してさらに厳しくした経緯がある。台湾の人々もそうした日本の状況を知っていたか分からないが、人は足元に火が付かなければ動かないものだ。4棟の高層ビルで推測される倒壊の原因は、日本の新耐震設計法に書かれていることばかりであり、世界の常識としてほしい」
 「とはいえ、日本人も世界の災害をきちんと学べているとは言えない。
災害は、自国だけで見ていたら数十年に1度しか起こらないかもしれないが、世界規模で見れば様々な場所で被害が起こっている。私たちは、互いに世界の災害から学ばなければいけない」
(菅原 由依子=日経 xTECH/日経アーキテクチュア)
**********
3



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ