2018/3/29  16:26

再発防止になるの?…印章偽造の職員に減給10分の1(1か月間)の大甘処分を決めた前橋市  オンブズマン活動

■本日の新聞朝刊各紙に「他人の印鑑を無断で押印した前橋市職員が懲戒処分」という記事が掲載されたのをお読みになったかたも多いかと思います。一般的には、この類の行為は公文書偽造(刑法155条)、公印偽造及び不正使用等(刑法165条)、公用文書毀棄罪(刑法258条)、詐欺罪(刑法246条)などの可能性も充分想定されるところですが、公務員のことを性善説を前提としている司法の場では、起訴されても殆どが執行猶予付きの「実質的無罪」判決になるのが世の習わしです。今回も、監督責任のある前橋市が、厳しく処分しなければならないところ、実に「大甘」の処分で済まされてしまいました。まずは報道記事を見てみましょう。

**********読売新聞2018年3月29日
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書類の他人の印 押した職員処分 前橋市
 振替休日を採るための書類の確認印欄に他人の印を勝手に押したとして、前橋市は28日、市民部の男性課長補佐(49)を減給10分の1(1ヵ月)の懲戒処分にしたと発表した。
 市によると、課長補佐は昨年4〜6月に休日出勤し、5〜6月に振り替え休日として9回取得する必要書類を提出した。12月の書類監査を前に、確認印欄に担当者の押し漏れがあることが分かり、担当者と同姓の印を無断で押したという。
 この担当者は8月末で退職しており、課長補佐は「退職した担当者に連絡がとれなかったので、やむを得ずやってしまった」と話しているという。

**********上毛新聞2018年3月29日
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他人の印鑑無断使用 前橋市職員懲戒処分
 前橋市は28日、他人の印鑑を無断で使用したとして、市生活課の男性課長補佐(49)を減給1か月(10分の1)の懲戒処分にしたと発表した。上司となる市民部長と生活課長も訓告処分とした。
 市によると、課長補佐は昨年、祝休日に出勤した際に勤務日の振り替えを記載する書類を作成。書類には、嘱託職員が印鑑を押すことになっていたが、課長補佐は無断で嘱託職員と同じ苗字の印鑑を押印した。
 嘱託職員は昨年8月に辞職したが、同僚から「違う印鑑が押されている」と指摘され、今年2月に市に連絡した。課長補佐は「嘱託職員と同じ名字の印鑑が偶然あった」と話しているという。いつ押印したかはわかっていない。
 関谷仁総務部長は記者会見で、「再発防止と信頼回復に努めたい」と謝罪した。

**********産経新聞2018.3.29 07:09
他人の印鑑無断使用 前橋市、職員を減給処分
 他人の印鑑を無断で使用したとして、前橋市は28日、市民部生活課の課長補佐の男性職員(49)を減給10分の1、1カ月の懲戒処分にしたと発表した。処分は同日付。監督責任者の市民部長ら2人も訓告処分(口頭注意)とした。
 市によると、男性は監査を控えた昨年12月ごろ、代休を取得するための手続き書類に必要な事務担当職員の押印がないことに気付き、この担当職員と同姓の印鑑を職場で見つけ、使用したという。後日、同僚が気付き、既に退職していた担当職員を通じて市に伝わり、発覚した。
**********

■上記の記事は、いずれも昨日行われた前橋市の記者会見を鵜呑みにした記事ですが、事実関係とあまりにも乖離していることに驚かされます。

 前橋市の下した処分が「1/10減給処分」だとすると、印鑑不正使用のみの懲戒で、出勤簿の中身の真贋は不問にされた模様です。

 実際は、架空出勤・虚偽記載の疑いもあり、それが事実の場合は減給では済まないはずです。

 今回、無断で印鑑を使われたSさんが、職員課に報告してから今回の結果が出るまで少し早すぎる感がしますので、おそらく前橋市では綿密な調査などしていないことでしょう。

 今回のような他の職員が作った公文書を役職や立場を利用し、自身に有利になるように改ざんし、給与を不正に受給したとなれば明らかな犯罪です。

 公文書偽造の場合は少なくとも「停職」ですし、「1/10減給1ヵ月」では余りにも軽すぎると感じざるを得ません。

 今回の公文書を偽造して給与不正取得したかもしれない行為そのものは、やはり冒頭に掲げた罪状に抵触する可能性が否定できませんので、住民監査請求により、監査委員に権限を行使してもらって、厳しく真相を調査することが必要だと思います。ただし、形骸化した監査委員では、到底望むべくもありませんが・・・。

 それにしても、前橋市にとどまらず、行政と言うのは同じ身内の不正行為に対して、相も変わらず甘すぎるくらい甘い対応です。結局のところ、きちんと判断できる人がいないのではないでしょうか?

 ちなみに「前橋市職員の懲戒処分に関する基準」について、次の定めがあります。
※参考「前橋市のHP」URL ⇒ http://www.city.maebashi.gunma.jp/sisei/499/502/p001621.html
※「前橋市職員の懲戒処分に関する基準について」 PDF ⇒ tyoukaikijun.pdf
※「前橋市職員の懲戒処分の公表基準について」PDF ⇒ kouhyoukijyun.pdf

 このうち勤怠簿の類の公用文書を偽造したことによる給与の不正取得をしたわけですから、前橋市は、当然ながら次の定義を当てはまるべきではないのでしょうか?

■虚偽報告
 事実をねつ造して虚偽の報告を行った場合
■給与の違法支払
 不適正受給 故意に条例等に違反して給与を不正に支給した場合又は 故意に届出を怠り、若しくは虚偽の届出をするなどして 給与を不正に受給した場合

■実は、当会では、以前からこの事件を問題視してきました。1か月前の2月23日には、群馬県警に次の告発状を提出していました。

*****告発状*****PDF ⇒ 20180223x.pdf
                 告 発 状
      告発人
         住所  群馬県安中市野殿980
         職業  会社員(市民オンブズマン群馬 代表)
         氏名  小川 賢(昭和27年3月5日生)  印
         住所  群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
         職業  自営業(市民オンブズマン群馬 事務局長)
         氏名  鈴木 庸(昭和26年9月10日生)  印
       被告発人
         住所  群馬県前橋市大手町2丁目12番1号
         職業  公務員(前橋市南橘市民サービスセンター勤務者)
         氏名  被疑者不詳

平成30年2月23日
群馬県警察本部長殿

一  告発の趣旨
 被告発人の以下の所為は、刑法165条1項(公印偽造罪)・同条2項(公印不正使用等罪)に該当すると考えるので、被告発人を厳罰に処することを求め告発する。

二  告発事実
 被告発人は、前橋市様式第88号の2「週休日の振替等命令簿(29年度)」の「勤務を命ずる日時」欄で、29年4月16日(日)、同4月22日(土)、同4月29日(土)、同5月14日(日)、同5月21日(日)、同5月27日(土)、同6月10日(土)、同6月18日(日)、同6月25日(日)のそれぞれの勤務日の振替を確認する「出勤簿の整理」欄において、「柴山」という名で印を押す際に、本来、判を押すべき立場の庶務担当者の「柴山」が使用する「シャチハタ印」ではなく、偽造した認印を使用した。(添付資料1)
 庶務担当者の「柴山」の印は「シャチハタ印」(添付資料2)であり、添付資料1にある「柴山」という名の認印とは全く異なっている。
 また、様式第2号(第5条関係)「H29年度年次有給休暇承認簿」(添付資料3)の右上にある数字「40」の筆跡は添付資料2のそれと明らかに異なる。添付資料3の右上にある数字「40」を見ると、添付資料2の休暇期間の「年月日」「時間」「取得時間」「残日数」
「残時間」に書かれた数字に似ているように見えるため、被告発者を含む何者かが、添付資料2があるにもかかわらず、6月20日の4時間の有給休暇(時間休)を取得したことを抹消するために添付資料3を作成したことがうかがえる。
 なお、添付資料4の「平成29年度出勤簿」の6月20日の欄には「C時間休」との印字があるが、添付資料5の「平成29年度出勤簿」の6月20日の欄には、「C時間休」との印字が見当たらず、代わりに「石田」の認印が押印されている。ただし、よく見ると、白色の事務用修正液かなにかで、白く塗り消した跡があり、日付の「20」や「石田」の認印のある欄が不自然に加工されていることがわかる。これも被告発者を含む何者か加工したことをうかがわせる。
 こうしたことから、添付資料1に記載された「勤務を命ずる日時」欄で、29年4月16日(日)、同4月22日(土)、同4月29日(土)、同5月14日(日)、同5月21日(日)、同5月27日(土)、同6月10日(土)、同6月18日(日)、同6月25日(日)の「用務」についても、「体協総会用務」「子育連総会用務」「赤城白川祭用務」「のびゆくこどものつどい用務」「上武道路用務」「地域づくり・子育連用務」「ホタル祭り用務」「地域づくりフェスタ用務」「体協用務、他」と記載されてあるが、添付資料5で6月20日の4時間の時間休が削除されていることからも、この書類がなんらかの目的で不正に作成されたことがうかがえる。
 こうした文書の変偽造の疑惑に関しても被告発者の関与が疑われるが、添付資料1の「出勤簿の整理に押印された「柴山」という名の認印は、あきらかに柴山本人のものではないため、被告発者が他人になりすまして、不正な印鑑を使用したことがわかる。このような行為は、法律で禁止されているから、告発に相当する行為と判断し得る。
 被告発人の、前記行為は刑法165条1項(公印偽造罪)・同条2項(公印不正使用等罪)に該当すると思われますので、被告発人の厳重な処罰を求めるため、ここに告発いたします。

三  立証方法
 1 添付書類一式

四  添付書類 PDF ⇒ 20180223yt.pdf
 1 前橋市様式第88号の2「週休日の振替等命令簿(29年度)」(不正押印書類)
 2 前橋市様式第2号(第5条関係)「H29年度年次有給休暇承認簿」(元の書類)
 3 前橋市様式第2号(第5条関係)「H29年度年次有給休暇承認簿」(改ざん書類)
 4 平成29年度出勤簿(元の書類)
 5 平成29年度出勤簿(改ざん書類)
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■今朝の朝刊は群馬県警でも注目しており、本日の10:33頃、当会に電話がありました。電話連絡内容の骨子は概ね次のとおりでした。

(1)先日の告発状の事案について、今朝の新聞で“大きく”報じられている。
(2)どうやら前橋市のほうでも、事件のことを放置できなかったようだ。
(3)被疑者がこれで前橋市から処分されたことになるので、先日の告発状は不受理とさせていただきたい。

 県警に上記の告発状を持ち込んだ際に、証拠も添えておいたので、すぐに対応してくれるものと期待していましたが、「印章偽造により具体的な金銭的利益があったのかどうか、警察が関係者を取り調べるには、インパクトが弱い感がある」ということで、その場では受理してもらえず、コピーのみ受け取ってもらいました。

 その後、1カ月を経過した今の段階で、前橋市が被疑者を処分したことから、ひょっとして県警が密かに動いてくれていたのかもしれません。

 しかし、結果的には、あのとき警察に直ちに動いてもらえれば、前橋市はもっと迅速に、かつもうちょっとは厳しい処分を下したのではないかという気もします。

■とりあえず、当会では印章偽造の罪での告発をしたところ、警察の捜査を待たずに前橋市が「大甘」の処分をしたことに、県警は満足している風情でしたので、当会としては、とりあえず「不受理」については、異議を申し出ることを控えました。

 そのうえで、今回の前橋市による身内職員に対する「大甘」の処分には納税者として前橋市民の皆様方の気持ちを慮れば、到底納得がいかないと思います。

 よって、次の機会には、もっとインパクトのある罰条で、あらためて告発できるように、当会として、引き続き今回の不祥事件をあらゆる角度から慎重に調べていく所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※その他の新聞の報道記事
**********東京新聞2018年3月29日
他人の印鑑無断使用 課長補佐を減給処分 前橋市
 前橋市は二十八日、休日出勤後に代休を取得する際の記録簿に職場にあったとされる他人の印鑑を無断で押印したとして、市民部生活課の男性課長補佐(四九)を月給の一割を一カ月削減する懲戒処分にした。
 市によると、課長補佐は昨年四〜六月に休日出勤し、五〜六月に九日の代休を取得。その際、課内で記録簿を担当する嘱託職員が課長補佐の記録に九日分の確認印を押し忘れたまま同八月に退職した。
 このため、課長補佐は記録簿などの監査があった昨年末までの間に、職場にあったという元嘱託職員と同じ名字の印鑑を勝手に押印したとみられる。記録簿を見た同僚が元嘱託職員の印と印影が異なるのに気付いて元職員に伝え、年明けに元職員が市に伝えた。
 課長補佐は「辞めた職員に連絡が取れず、別の印を押してしまった。申し訳ない」と認めているという。
(菅原洋)
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