2018/8/3  23:55

大同スラグ控訴審…8月15日の第1回口頭弁論が迫り、被控訴人群馬県から控訴答弁書が到来!(後編)  スラグ不法投棄問題

■これでは、当会の控訴理由書に対する反論としてイメージしにくいため、当会の控訴理由書の逐条ごとに、被控訴人群馬県の答弁内容を対比してみました。


*****控訴理由書(青)と答弁書(赤)の対比*****
             控 訴 理 由 書

 頭書事件について、控訴人は次のとおり控訴理由書を提出します。

                控訴理由

 判決文の「第3 当裁判所の判断」において、次の事項に関し、認識と判断の誤りが認められる。

1.「2 本案の争点(本件舗装工事に係る支出負担行為及び支出命令に関する狩野の行為につき、狩野が故意又は重大な過失により法令の規定に違反して当該行為をしたことにより群馬県に損害を与えたと認められるか否か(特に当該行為の違法性の有無))について

(1)判決文P27の(3)「ア 本件舗装工事の必要性について」の(ア)について
 ここで、「@吾妻農業事務所が・・・優先度、予算の状況等を踏まえ、順次舗装をする方針を採っていたこと、A本件農道については、それぞれ舗装の必要性があり、地元関係者からも勾配の急な支道6号、耕道7号及び耕道8号の舗装を要望される等、優先度も比較的上位にあったことが認められる。」とある。
 しかし、乙第3号証を見ると

2)関係者からの要望
@用水路の落差工区間において、玉石で施工されているが、通水の際に水が跳ねて水路脇を洗屈してしまう。
  県:施工業者へ手直しをさせる。
A農地への進入路の位置変更
  支道6号の計画高が変更(高く)となり、農地との高低差が少なくなったため支道側からの進入路を要望。
   県:工事委員の承諾が得られれば、対応可能である。
支線農道等の舗装要望
勾配の急な路線が5工事内にあるが、舗装することを要望する。
   県:今回舗装を行う箇所もある。5工事に限らず、急勾配の路線、維持管理上必要な路線、営農上利用状況の多い路線については、優先度、予算の状況等を考え、舗装していきたい。

となっている。

⇒1 (1)について
  (1) 第1段落及び第2段落について
   認める。
 乙2号証の支道6号については、舗装の要望ではなく「支道側からの進入路を要望」されているという状況である。
⇒ (2) 第3段落について
   否認する。*1)冒頭の「乙2号証」は,正しくは「乙3号証」である。
   たしかに,平成25年4月23日に開催された平成25年県営萩生川西土地改良事業推進協議会第24回工事委員会(以下,「第24回工事委員会」という。)において,関係者から,支道6号に関連して,支道側からの進入路の要望は出されており,支道6号を舗装して欲しい旨の要望は出ていない。しかし.支道6号を舗装しないで欲しい旨の要望が出たわけでもない。

 また、確かに「勾配な急な路線が5工事内にあるが、舗装することを要望する」との記述があるが、その回答として県は「5工事に限らず」として広く5工事以外の場所を含め舗装の必要性を説明している。
⇒ (3) 第4段落について
   認める。
 控訴人は準備書面(3)で述べた通り、萩生地区にはたくさんの敷砂利が施された道があるなか、なぜか、スラグ混合再生路盤材(RC40)(判決文P5下から12行目)が敷砂利されている道のみが舗装されている。
⇒ (4) 第5段落について
   否認する。
   控訴人は,本件再生砕石が使用されていた農道以外は舗装工事が全く行われていないかのような主張をするが,被控訴人は,平成26年度の地域公共事業調盤費によって本件舗装工事を行った後も,更に本件は場整備事業の施工地域内において,以下のとおり,5つの路線について舗装工事を施工しており(乙33の1,2参照),本件舗装工事を、行った5路線のみ殊更に舗装工事を実施したわけではない。
  @ 支道6−1号
    平成28年度の地域公共事業調整費として舗装工事を実施。
    急勾配を理由とし,幅員4.0m×長さ180.52mを舗装。
  A 支道18号
    平成28年度の地域公共事業調整費として舗装工事を実施。
    急勾配を理由とし,幅員4.0m×長さ125.50mを舗装。
  B 支道22号線
    平成27年度の地域公共事業調整費により実施。
    急勾配を理由とし,幅員4.0m×長さ141.55mを舗装。
  C 指導24−1号線
    平成27年度の地域公共事業調整費により実施。
    維持管理上の必要及び営農上利用が多いことを理由とし,幅員4.0m×長さ138.12m舗装。
  D 支道24−2号線
    平成27年度の地域公共事業調整費により実施。
    急勾配を理由とし,幅員4.0m×長さ203.44mを舗装。

 また、少なくとも支道6号及び支道27号は急勾配な道ではないので、乙2号証の内容とは異なる(甲33・34号証参照)。
⇒ (5) 第6段落について
   支道27号が急勾配の農道でないことは認め,その余は否認する。
   支道6号は,縦断勾配が8パーセントを越える地点が含まれており(甲10・17頁エ(ア)参照。12.550パーセントの勾配の地点が含まれていることについて,乙1・3頁。),舗装することが望ましい急勾配の農道である。
   また,第24回工事委員会における被控訴人担当者の説明は,「急勾配の路線,維持管理上必要な路線,営農上利用状況の多い路線」について舗装を検討して行くという内容であり(乙3),将来的な舗装の検討対象を急勾配の路線には限定しておらず,支道27号を舗装したことは第24回工事委員会における説明と何ら矛盾しない。

 さらに被控訴人は、「本件舗装工事において舗装した5つの路線の舗装理由」を縷々説明するが、スラグ混合再生路盤材が敷砂利のみ舗装した理由を説明していない。
⇒ (6) 第7段落について
   否認する。
   本件農道舗装工事において5つの路線の舗装工事を行った目的ないし理由は,被控訴人の平成28年3月15日付け第2準備書面の第2の2項(1)ないし(2)(6ないし7頁),平成29年3月7日付け第9準備書面の第1・1項ないし2項(2頁)で述べたとおりである。

 広く5工事以外の場所においても急勾配な場所が多数ある中(甲30号証参照)、本件舗装工事のみ舗装した“優先度”について、被控訴人の主張は大変疑わしく、スラグ混合再生路盤材が敷砂利された場所のみの本件舗装工事は、そもそも必要がなかったと考えられる。
⇒ (7) 第8段落について
   否認する。

(2)判決文P27の(3)「ア 本件舗装工事の必要性について」の(ウ)について
 本件補完工事(判決文P29上から10行目)に関連して、「道路構造令ではなく」「下層路盤工、上層路盤工及び表層工に3区分して施工する方法」と「路盤工及び表層工に2区分して施工する方法」の2種類の舗装方法があるとの記述がある。
 これは本件農道整備工事において舗装工事をする場合に、吾妻農業事務所が自ら設計図書で指定した特別な仕様を意味し、本件農道整備工事が行われた区画整理5工事における舗装の基本設計に他ならない。
 判決文では「(路盤を15センチメートル、表層を3センチメートルとする方法であり、甲8記載の取付舗装工標準構造図に準じたものと推認される。)」とあるが、「甲8記載の取付舗装工標準構造図」に準じた方法で舗装するのではなく、吾妻農業事務所が自ら設計図書で指定した特別な仕様により舗装しなければならないのである。
 しかも、「甲8記載の取付舗装工標準構造図に準じたものと推認される」とあるが、甲23号証の本件農道舗装工事の断面図とは似て非なる物である。
 今回、説明のために添付した甲75号証は、甲23号証に控訴人が説明を加えたものである。
 まず指摘しておきたいことは、敷砂利工は掘削を伴わない、ということである。ところが甲75に示す通り、被控訴人は、点線で示す部分があたかも本件農道整備工事で掘削されているかのような嘘をほのめかしている。
 また、当初計画仕上がり面が甲8記載の取付舗装工標準構造図のものとは全く異なる。甲35号証で実際の現場写真と甲8記載の取付舗装工標準構造図を重ねて表示したが、アスファルト舗装の取付舗装工が、当初計画仕上がり面から土壌を15cm掘削・転圧してから路盤材・アスファルトと施工されている。
 仮に本件農道に甲8記載の取付舗装工標準構造図の舗装を施すのであれば、本件農道整備工事で施工されたスラグ混合砕石の敷砂利10cmとその下の土壌5cmを一緒に掘削・運搬してから路盤材・アスファルト舗装を施すことになる。
 よって、本件農道舗装工事は“似て非なる物”であり、甲8記載の取付舗装工標準構造図に準じたものとは推認されず、本件農道整備工事(敷砂利工)については自己完結的な工事であったことに加え、吾妻農業事務所が自ら指定した舗装設計を破ってまで本件舗装工事を行ったことがわかる。本件舗装工事の必要性はスラグ隠しのために行われたものであり、本来の目的を逸脱していると言わざるを得ない。

⇒2 (2)について
   原判決の引用部分は認め,その余は全て否認する。
   控訴人は,原判決が本件舗装工事の仕様について「(・・・・甲8記載の取付舗装工事標準構造図に準じたものと推認される。)」と認定したことを捉え,本件舗装工事の実際の施工と甲8の仕様が異なっている点など論(あげつら)って種々論難するが,本件舗装工事の仕様は,標準断面図(甲23)のとおりであり,本件再生砕石とは全く無関係に設計された甲8と比較して,表層工が3センチメートル,下層路盤厚が15センチメートルとなる点で基本的に同等の仕様となっている。
   なお,標準断面図(甲23)に破線で表示されているのは既設路盤材の厚さであり,掘削を意味しているわけではない(なお,図面の一般的な標記方法として,破線が掘削を意味するわけではない。乙23号証では,引き出し破線の部分に「既設路盤材」と明記しており,掘削を意味しないことが明確になっている。)。

(3)判決文P29の(3)「イ 本件再生砕石の撤去の必要性について」の(ア)およびP30 の(イ)について
 判決文によれば、吾妻農業事務所は、本件農道整備工事に「スラグ混合再生路盤材(RC40)」(判決文P29最下段)につき、「『鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン』、『再生資源の利用に関する実施要領』及び本件監理課通知所定の基準を全て充たすものであることを確認した上で使用を承認し、更にプロファ設計による調査結果に基づく環境品質基準を充たすことを確認したのち本件舗装工事契約を締結したことが認められる。」(判決文P30上から10行目)とある。
 このことについて、今回説明のために添付した甲76号証は「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン」が改正されたことによる新旧比較であるが、その13頁の「3.粉じん特性 (1)留意点」に示されている表中に、路盤材欄に、「・路盤材の上層は舗装を実施してください」とある。

⇒3 (3)について
  (1) 第1段落及び第2段落について
   概ね認める。
   控訴人が引用する「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン新旧対照表」(甲77)*2)控訴理由書3頁下から3行目の「甲76号証」は,正しくは「甲77号証」である。は,2014(平成25)年6月1日改正のものと2015(平成27)年1月14日改正のものの新旧対照表であり,いずれも,被控訴人が平成25年2月19日に南波建設に対して本件農道整備工事を発注した後のガイドラインである。本件農道整備工事を発注した当時のガイドラインは,乙1である。

 この意味するところは、「舗装を実施する」こと、つまり「敷砂利のまま放置しない」ことである。吾妻農業事務所の本件農道整備工事は、このガイドラインの基準を全て充たすものであることを確認したとは言えない。
⇒ (2) 第3段落について
   「舗装を実施」するとは敷砂利のままにしないことを意味することは認め,その余は否認する。
   本件農道整備工事を発注した当時,被控訴人は,ステージコンストラクションを前提とする下層路盤材として使用するものであるから「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン」(乙1)に抵触することはないものと認識していた。

 「再生資源の利用に関する実施要領」は判決文P30上から2行目にもあるとおり「建設副産物から生産した再生材の使用に関する仕様書」であるが、スラグは建設副産物ではなく、一民間工場から排出される廃棄物である。道路用鉄鋼スラグとして設計図書により指定されることがあるが、本件農道整備工事に指定されたのは再生砕石である。
 控訴人が原告準備書面(11)で述べた通り、群馬県土木工事標準仕様書では、粒状路盤材としてクラッシャラン・砂利・砂(天然のもの)と、再生クラッシャラン(再生砕石)、そして高炉徐冷スラグと製鋼スラグ(道路用鉄鋼スラグ)の3種類が指定されている。
 本件裁判でスラグが使用されたことは争いがなく、吾妻農業事務所は群馬県土木工事標準仕様書において、再生砕石と道路用鉄鋼スラグとの区別を十分に認識していなければならない。なのに、この区別を無視して「再生資源の利用に関する実施要領」所定の基準を全て充たすものであることを確認している、などとは到底言えない。
 本件監理課通知(判決文P5下から10行目)には、「路床工、路面敷砂利には使用しない」との記述がある。これは、路床と接する工事および敷砂利工事には使用しない事を条件・基礎的基準に、群馬県県土整備部監理課政策室長がスラグ混合再生路盤材の取扱いを定めた通知である。
 控訴人はこの通知は違法なものであると考えているが、通知の違法性にかかわらず、判決文P27 (イ) について控訴人の「設計図書上『敷砂利』と表記」された現場は敷砂利工であるとする主張は認められたことから、敷砂利工にスラグ混合再生路盤材の使用が認められた吾妻農業事務所の設計は、本件監理課通知の基準を全て充たすものであることを確認した、などとは到底言えない。

⇒ (3) 第4段落ないし第8段落について
   控訴人の主張は,要するに,群馬県土木工事標準仕様書が規定している路盤材は@「クラッシャラン,砂利,砂,再生クラッシャラン」,A「クラッシャラン鉄鋼スラグ(高炉徐冷スラグ)」,B「クラッシャラン鉄鋼スラグ(製鋼スラグ)」の3種類であるところ(乙12・7−233頁の表3−2−17参照),本件農道整備工事で指定された路盤材は「再生砕石」であり,上記AやBの鉄鋼スラグは指定されていないから,@「クラッシャラン,砂利,砂,再生クラッシャラン」が使用されなければならなかったのであって,それにも関わらずクラッシャラン鉄鋼スラグがブレンドされていた本件再生砕石を使用したのは不適切であり,他方,ブレンド骨材の取扱に係る県土整備部監理課通知(甲9)では,ブレンド骨材を路床工や路面敷砂利に使用することは禁じているのであり,本件農道整備工事では敷砂利として使用されていたのであるから,本件農道整備工事に本件再生砕石を使用したのは上記管理課通知にも抵触するのであるから,結局,本件農道整備工事における本件再生砕石の使用は,所定の各種基準や通知に適合していないという趣旨と解される。
   しかし,本件の争点は,本件舗装工事に係る支出負担行為及び支出命令に関する違法の有無であるところ,控訴人の上記主張は,専ら本件農道整備工事の違法ないし不当を主張するものであり,本件の争点との関連性がない。仮に本件農道整備工事に本件再生砕石の使用を認めたことに不適切な点があったとしても,本件訴訟で判断されるのは,当時の状況で、本件舗装工事を行ったことについての違法性の有無である。

 次に判決文P30 の(イ)のプロファ設計による調査結果について控訴人は次のとおり主張する。
 プロファ設計による調査は、鉄鋼スラグのみを取り出して検査していない(後述)。

⇒ (4) 第9段落ないし第10段落について
   認める。

 このことに加え、吾妻農業事務所が本来遵守すべき道路用鉄鋼スラグの日本工業規格JIS A 5015(甲50号証)が、2013年(平成25年)に改正され、環境安全品質が追加された。
⇒ (5) 第11段落について
   JIS−A5015が平成25年に改正されたことは認め,その余は否認する。
   上記改正でJIS−A5015に追加されたのは,抽象的な「環境安全品質」*3)なお,「環境安全品質」とは,「道路用鉄鋼スラグの出荷から,道路の施工時及び利用時だけでなく,その利用が終了し,解体後の再利用時又は最終処分時も含めたライフサイクルの合理的に想定し得る範囲において,道路用鉄鋼スラグから影響を受ける土壌,地下水などの環境媒体が,各々の環境基準などを満足できるように,道路用鉄鋼スラグが確保すベき品質」を言うものとされる(JIS−A5015の3.3。甲78の4枚目)。なるものではなく,環境安全品質に関わる多くの規定が追加されている。

 こうした背景から、被控訴人は、プロファ設計による人任せの調査ではなく、吾妻農業事務所に自ら本件農道整備工事に使用されるスラグ混合再生路盤材の環境安全品質基準適合性を検査させるべきであったのに、それを怠った。(JISについてはあらためて甲77号証を添付するのでそれを参照されたい)
⇒ (6) 第12段落について
   否認する。*4)控訴理由書5頁2行目の「甲77号証」は,正しくは「甲78号証」である。
   被控訴人が検査を外部の専門業者に委託してはならない理由は全くない。

 なお、勘違いしやすいので追加で説明するが、本件監理課通知に明記されているとおり、スラグ混合再生路盤材は道路用鉄鋼スラグに天然石を混合したものである。このため、スラグ混合再生路盤材も道路用鉄鋼スラグであるかのように混同しやすいが、JIS A 5015の序文につづく「1 適用範囲 注記 2」 には、「道路用鉄鋼スラグには,高炉スラグ及び製鋼スラグを素材とし,これらの素材を単独又は組み合わせて路盤材として製造したもの,並びに製鋼スラグを素材とし,加熱アスファルト混合物及びれき(瀝)青安定処理(加熱混合)に用いる骨材として製造したものとがある。」とされており、天然石と混合されたスラグ混合再生路盤材は、道路用鉄鋼スラグそのものではなく、道路用鉄鋼スラグと天然石で構成されていることに注意しなければならない。
⇒ (7) 第13段落について
   概ね認める。
   控訴人は,県土整備部監理課通知(甲9)が「スラグ混合再生路盤材は道路用鉄鋼スラグに天然石を混合したもの」であると明記している旨主張するが,正しくはブレンドの主従が逆であり,上記通知では,ブレンド骨材は「砕石骨材(クラッシャラン)にクラッシャラン鉄鋼スラグをブレンドした骨材」という記載をしている。

 さらに判決文P30上から11行目には「これらの事情に渋川工場スラグについて、六価クロムまたはフッ素の溶出量及び含有量が、その発生若しくは加工の時期又は加工の前後にかかわらず、常に同程度であると認めるに足る的確な証拠はないことを総合すれば」とある。
 本件舗装工事契約締結前に発出された廃棄物処理に関する指示書(甲5号証)によると「3.鉱さいであるスラグの再生処理を行っていた『中央混合所』について、生活環境の保全上のおそれの有無を確認するため、土壌汚染の調査を行い、その結果を報告すること。」とされているが、「渋川工場スラグ」に六価クロムやフッ素が常に同程度含まれているおそれがあり、その結果土壌を汚染するおそれがあるから、被控訴人は土壌の調査を大同ら事業者らに指示したのであり、判決文P30上から13行目の「常に同程度であると認めるにたる的確な証拠はない」と判断した判決には不服がある。

⇒ (8) 第14段落ないし第15段落について
   原判決及び廃棄物処理に関する指示書(甲5)の引用部分は認め,その余は否認する。
   被控訴人が上記指示書(甲5)において大同エコメットに対して「中央橋混合場」の土壊汚染の調査を指示したのは渋川工場スラグには六価クロムやふっ素が常に同程度含まれている恐れがあるからである旨の主張は,控訴人の推測であり,合理性がない。「中央橋混合場」は,鉱さいである渋川工場スラグの再生処理を行っていた場所であることから,土壌汚染の調査を指示したのである。渋川工場スラグに六価クロムやふっ素が常に同程度含まれている恐れがあったために指示したものではない。

 よって上記(1)〜(3)を考慮することで、さらに「平成26年1月28日に報道されて以降、渋川工場スラグの有害性が吾妻農業事務所の職員においても認識され、又は認識し得たという事情を考慮しても」(判決文P30下から10行目)、吾妻農業事務所長整備課長片山は、同年6月12日の本舗装工事契約の締結に先立って、または本件舗装工事を一時中止してでも、本件再生砕石を撤去すべきであった。
⇒ (9) 第16段落について
   否認する。

 ところで、判決文P30 (イ)のプロファ設計による調査結果に限らずスラグ混合再生路盤材について、「鉄鋼スラグのみをとりだし取り出して環境安全品質基準適合性を検査すべき理由」について追加で説明する。
・ 道路用鉄鋼スラグとは、スラグのみで構成されている。スラグ混合再生路盤材は道路用鉄鋼スラグと天然石で構成されているので、道路用鉄鋼スラグのみを取り出して環境安全品質基準適合性を検査しなければならない。(甲77号証JIS A 5015:2013)

⇒(10) 第17段落について
  ア 1つ目の中黒は,JIS−A5015が定める「道路用鉄鋼スラグ」はスラグのみで構成されているものを指すこと,本件再生砕石は砕石骨材と'鉄鋼スラグがブレンドされたものであることは認め,その余は否認する。
    上記の事実は,当然に検査方法を帰結するものではない。

・ 平成26年10月27日、国土交通省が鉄鋼スラグを含む砕石の分析試験を実施している。その記者発表資料(甲78号証)には参考資料が添付されているが、そこには鉄鋼スラグを含む砕石の分析過程が示されている。それによると鉄鋼スラグと類似する材料の有無を判定する調査として、目視による採取・破砕し破断面を観察・フェノールフタレイン液を噴霧・蛍光X線分析試験による成分分析が記載されている。これは鉄鋼スラグを含む砕石、つまりスラグと天然石の混合物の内、鉄鋼スラグのみを取り出し、次の段階として有害物質の含有量等を確認する調査として、JIS A 5015に準じた調査を行うこととされている。これはJIS A 5015道路用鉄鋼スラグがスラグのみの規格であることから、至極当然のことである。
⇒ イ 2つ目の中黒は,国土交通省の発表資料の引用部分(甲79*5)控訴理由書6頁3行目の「甲78号証」は,正しくは「甲79号証」である。・14頁)は概ね認め,その余は否認する。
    控訴人は国土交通省が鉄鋼スラグのみを抽出して有害物質の含有量等を調査する旨公表したかのように恣意的に引用するが,国土交通省が抽出して検査したのは「鉄鋼スラグと類似する材料の有無を判定する調査」,すなわち,鉄鋼スラグ“のような”骨材が使用されていた場合に“その”骨材が鉄鋼スラグか否かを判別するための調査であり,これは抽出して検査するのが当然である。その後に行われる「有害物質の含有量等を確認する調査」については,国土交通省は,「・・・群馬県環境森林郁からの助言等を踏まえ,有害物質の含有量等について,分析試験等を実腕することとしております。」(甲79・3頁)としているとおり,実際,被控訴人と同様,混合した状態で試験を行った。
    なお,控訴人は,JIS−A5015に準ずる試験を行うのであれば鉄鋼スラグのみを抽出して実施するのが当然である旨主張するが,JIS−A5015の付属書D「道路用鉄鋼スラグの環境安全品質試験方法」には,
    D.3 試験の採取及び縮分
     試料の採取及び縮分は,7.1による。
   との規定があり,JIS−A5015の本文には,
    7.1 試料の採取
     試料は,全体を代表するように採取し,合理的な方法で縮分して供試試料とする。
   との規定があるのであって,これに準じて試験を行うのであれば,むしろ,ブレンドされている本件再生砕石については,ブレンドされた状態のまま試料を採取するのが合理的である。

・ 常温では固体同士は薄まらない、という自然法則から考えても、有毒性が疑われるスラグと天然石とを混合した状態で、しかも多数の場所を均等混合した土壌の環境基準適合性試験の方法であるプロファ設計の分析調査(原告準備書面(11)および乙14)では、路盤材の分析調査はできない。スラグ混合再生路盤材は、土壌の上に路盤材として使用されるもので、土壌ではないので、けだし当然である。
⇒ ウ 3つ目の中黒は,砕石骨材と鉄鋼スラグが常温で溶融して一体化することがないのは認め,その余は否認する。
   検査方法は,土壌汚染対策法に準拠し,@土壌に含まれる有害物質が地下水に溶出し,その有害物質を含んだ地下水を経口摂取するリスク,及びA有害物質を含む土壌を直接的に経口で摂取し,又は,その土壌が皮膚に接触することで皮膚から有害物質が摂取するリスクに着目して,安全性を確認・維持するために必要かつ合理的な方法によって行われるべきものであり,対象物質の形状から導かれるわけではない。

 以上により吾妻農業事務所は、そもそも本件農道整備工事の際に、道路用鉄鋼スラグJIS A 5015の規格にスラグ混合再生路盤材が適合するか分析調査しなければならなかった。なのに、それを怠り、プロファ設計の道路用鉄鋼スラグのみしか調査していない結果に基づいて、本件再生砕石の撤去をしないまま本件舗装工事を実施した。
⇒(11) 第18段落について
   否認する。

(4)判決文P31の(3)「イ 本件再生砕石の撤去の必要性について」の(ウ)について
 被控訴人群馬県は、平成26年4月22日、廃棄物処理に関する指示書(甲5号証)を発出している。この日付は本件舗装工事契約日(判決文P6下から9行目)平成26年6月12日付よりも前である。
 また控訴人は本件舗装工事(判決文P6下から8行目)の施工が始まる前の平成26年6月16日に吾妻農業事務所に電話をしたほか、平成26年6月24日に群馬県農村整備課をたずね、この指示書の発出を基に、スラグ混合路盤材は「廃棄物」の看板がスラグ混合路盤材の製造・置場に掲げられたことを伝えた。

⇒4 (4)について
  (1) 第1段落ないし第2段落について
   概ね認める。

 判決文P31最下段からP32にかけて、「渋川工場のスラグ及び本件再生砕石が特別管理産業廃棄物以外の産業廃棄物に該当し得るものとして改善命令の要否について検討」や「措置命令の要否が問題」と記述されているが、廃棄物処理に関する指示書(甲5号証)の存在について触れられていない。
 この指示書は平成26年1月31日に行われた廃棄物処理法に基づく立入調査の結果である。被控訴人のこの法に基づく立入調査の結果、改善が指示されたため、廃棄物を無許可で処理していた大同エコメットが、この指示を率直に受け止めたからこそ、「廃棄物」の看板をスラグ混合路盤材の製造・置場の「中央混合所」に掲げることで「スラグ」を「鉱さい」という分類の廃棄物と認めたのである。その結果、大同エコメットは、中央混合所の「スラグ」を撤去して「適正に処分」している(甲74号証)が、こうした被控訴人による改善の指示に素直に従ったから、当時、改善命令や措置命令が発出されなかったと考えられる。
 被控訴人群馬県により「鉱さい」という分類の廃棄物として認められた大同特殊鋼渋川工場のスラグ、及びスラグ混合路盤材について、被控訴人の対応が「改善を指示」するという方針である以上、吾妻農業事務所に対してもスラグ混合路盤材を「適切に処理」するよう、原因者である大同らに改善を指示すべきで、または、被控訴人の廃棄物・リサイクル課に相談するべきであった。
⇒(2) 第4段落ないし第5段落について
   被控訴人が平成26年1月31日に,廃棄物処理法に基づいて大同エコメットに対する立入調査を実施し,その調査結果を踏まえて廃棄物処理に関する指示書(甲5)を発出したこと,大同エコメットが上記指示に従ったことは認め,その余は否認する。
   改善命令や措置命令は,改善の指示に従わなければ当然に発令されるものではなく,それぞれの要件(例えば,措置命令については,既に行われた産業廃棄物の基準に適合しない処理に起因して.生活環境保全上の支障が生じ,又は生ずるおそれがあること等)を充たした場合に初めて発令されるものである。

 個別具体的には、吾妻農業事務所農村整備課長片山は、本件舗装工事契約締結前に「廃棄物処理に関する指示書」が発出されたことを知りうる立場であったので、本件農道舗装工事を施工する前に大同特殊鋼や本件再生砕石を詐欺的に販売した佐藤建設工業に「適正に処理」させるべく、撤去・かたづけを指示するべきであった。
 ちなみに、国の機関である(独法)水資源機構は、きちんと原因者に有害スラグを撤去させて、原状回復を実践した(甲63号証)。
 加えて、南波建設は、本件農道整備工事の設計図書で指示された、建設副産物から生産した再生材である正規の再生砕石を使用せず、また本件監理課通知にも違反して、敷砂利にスラグ混合再生路盤材を使用しているので、被控訴人は吾妻農業事務所に対して、瑕疵担保責任の関係から工事のやり直しを指示させるべきであった。
 本件農道整備工事は、敷砂利工であるので、敷砂利に関する工事費がその工事内容のほとんどを占めていることから、本来こうした工事のやり直しが検討されるべきものである。南波建設に工事のやり直しが問えないとすれば、スラグ混合再生路盤材なる怪しい材料の承認を許した吾妻農業事務所が撤去の責任を負うべきである。

⇒ (3) 第6段落ないし第9段落について
   独立行政法人水資源機構(以下「水資源機構」という。)が渋川工場スラグを撤去したことは認め,その余は否認ないし争う。
   水資源機構が渋川工場スラグを撤去したのは,水道用水等の水源として利用される用水路等の直近の管理用道路等だったからである(甲63)。
   吾妻農業事務所農村整備課長,南波建設及び吾妻農業事務所が取り得た対応等については,本件の争点と関連性がない。

 「改善命令の要否について検討」や「措置命令の要否が問題」などの行政処分について、控訴人として更に付け加えたい。
 本件再生砕石は、(株)佐藤建設工業により、その試験成績表の表題を正規の再生砕石であるかのように偽装されて、本件農道整備工事に搬入されたものである。
 この佐藤建設工業については、群馬県廃棄物リサイクル課により、産業廃棄物処理業・収集運搬の許可を取り消される行政処分を受けている(甲73号証)。
 この違法な業者のせいで、群馬県中にばら撒かれたスラグの適正処分が今後問題となるが、本件舗装工事契約時点で、廃棄物に関する指示書(甲5号証)を勘案し、被控訴人が水資源機構のように、「鉱さい」という分類の廃棄物として認められたスラグ入りの本件再生砕石の撤去と原状回復を行っていれば、萩生川西地区は、佐藤建設工業が違法にばら撒いたスラグの適正処理問題に巻き込まれることはなかった。

⇒ (4) 第10段落ないし第13段落について
   被控訴人が佐藤建設工業に対して産業廃棄物収集運搬業等の許可の取消処分を行ったことは認め,その余は否認する。
   控訴人は,渋川工場スラグの適正処分が今後問題になる旨主張するが,この問題の対応方針については,平成27年11月13日,国土交通省関東地方整備局,被控訴人及び渋川市において一定の方針が確認されており(乙31),他の自治体・及び民間も基本的にこれに添って対応しており,適切な対応が行われていくことが見込まれる状況となっている。

(5)判決文P32の(3)「イ 本件再生砕石の撤去の必要性について」の(エ)及び(オ)について
 はじめに(エ)の本件再生砕石として使用されたスラグ混合再生路盤材の有害性について、被控訴人に次の点を指摘しておきたい。

⇒5 (5)について
  (1) 第1段落について
   認否の必要を認めない。

 平成25年改正に基づいたJIS A 5015:2013に定める環境安全品質基準適合性の確認のための分析調査が、吾妻農業事務所により実施されていない。そのため、群馬県土木工事標準仕様書に「受注者は路盤の施工に先立って路盤面又は下層路盤面の浮石その他の有害物を撤去しなければならない」と定められているところ、「撤去を要するような有害物」であったかどうかについては、吾妻農業事務所の環境安全品質基準適合性確認の懈怠により、分からない状況となってしまっている。
⇒ (2) 第2段落について
   吾妻農業事務所が環境安全品質試験(JIS−A5015の7.9及び付属書D)を実施していないこと,及び群馬県土木工事様準仕様書の引用部分(乙12・7−231頁)は認め,その余は否認する。
   本件舗装工事を施工した各農道に「撤去を要するような有害物質」がないことは,被控訴人がプロファ設計株式会社に委託した試験によって確認済みである(乙14)。

 道路用鉄鋼スラグのみを拾い出し分析調査を行った国土交通省の調査結果などにより(甲78号証・甲7号証)、大同特殊鋼渋川工場由来のスラグはフッ素や六価クロムが基準値を超えて検出されているのは確実な状況であり(大同自ら環境基準値の10倍のフッ素含有量を社内の上限値の目安にしており、これを10倍の天然砕石で薄めるというのが彼らの作戦であった)、「撤去を要するような有害物」であった可能性は極めて高い。
⇒ (3) 第3段落について
   大同特殊鋼が環境基準値の10倍のふっ素含有量を社内の上限値の目安にしていた旨の主張は不知,その余は否認する。

 次に(オ)について、判決文P32下から5行目に「仮に、敷砂利として本件再生砕石を用いたことが本件監理課通知の趣旨に反するとしても、本件舗装工事により、本件再生砕石の敷砂利の機能としての性質または機能は変容し、路床又は路盤材の一部を構成することとなったと認められる」とある。
⇒ (3) 第4段常について
   認める。

 まず確認しておかねばらないことは、取付舗装工標準構造図が設計図書で指示されており(甲8号証)、これが敷砂利部を舗装する場合の基本設計であるので、敷砂利およびその下部の軟弱土壌を掘削・転圧を伴わない舗装工事(甲23号証)は、甲8号証の取付舗装工標準構造図に準じたものではない、ということである。
 甲8号証の取付舗装工標準構造図による舗装工事は、敷砂利およびその下部の軟弱土壌を掘削するので、この場合、敷砂利の機能としての性質または機能は変容せず、撤去・運搬されるものである。

⇒ (5) 第5段落ないし第6段落について
   本件の争点との関連性が不明であるが,全て否認する。

 加えて、判決文P32下から3行目の「本件再生砕石の敷砂利の機能としての性質または機能は変容し、路床又は路盤材の一部を構成することとなったと認められる」とする場合には、循環型社会推進基本法第2条2項に「一度使用された物品」は「廃棄物等」に当たるとされていることとの関係が問題となる。
 本件再生砕石は敷砂利工に伴い一度使用されており、甲8号証の取付舗装工標準構造図による舗装工事を実施する場合には、本来撤去されるべきものであるので「廃棄物等」にあたる。(だが、本件舗装工事においては撤去を怠った)。
 もっとも循環型社会推進基本法第2条では「製品等が廃棄物等となることが抑制され」ることも記述されているが、この抑制について群馬県土木工事標準仕様書では、「建設工事で発生する建設副産物の現場内利用の取扱いについて」を遵守するよう求めており(今回添付した甲79号証参照)、現場内で利用する場合、「性状は市場に出回っている資材と同等の性能を有し、土壌・水質等の環境に影響を及ぼさない性質であること。」とされている(同じく甲80号証参照)。
 市場に出回っている資材とは、本件舗装工事の場合、農道整備工事の設計図書で指示された建設副産物からなる正規の再生砕石のことである。吾妻農業事務所は、本件再生砕石が正規の再生砕石に当たらないことを知っていたので、被控訴人が管轄する吾妻農業事務所は、特に「土壌・水質等の環境に影響を及ぼさない性質であること。」に留意しなければならなかった。
 具体的には、判決文P32下から3行目に示された「本件再生砕石の敷砂利の機能としての性質または機能は変容し、路床又は路盤材の一部を構成」させる場合には、土壌・水質等の環境に影響を及ぼさない性質であるかどうか、吾妻農業事務所自ら分析調査しなければならなかった。

⇒ (6) 第7段落ないし第11段落について
   原判決の引用部分は認め,その余は本件の争点との関連性が不明であり否認の必要を認めない。

 本件農道舗装工事にあたり、吾妻農業事務所は敷砂利された本件再生砕石の土壌環境基準適合性の確認のための分析調査を怠っているので、本件舗装工事契約又は本件舗装工事の違法性が基礎付けられる。
⇒ (7) 第12段落について
   争う。

(6)判決文P33の(3)「ウ 本件舗装工事契約の目的について」について
 判決文P33上から10行目には「本件舗装工事の目的が、本件再生砕石を隠ぺいする点にあるという原告らの主張を採用することはできない。」と記述されている。
 控訴人は原審の訴状において「(9)産業廃棄物が農道に大量に不法投棄されているにもかかわらず、それを撤去しないまま、本件舗装工事により、産業廃棄物の上部に蓋をしたことは、不法投棄という違法行為を隠ぺいする目的で為されたものであるから、本件契約にかかる支出もまた違法である。」と吾妻農業事務所の違法行為を隠ぺいする目的と主張したのであり、本件再生砕石そのものを隠ぺいする目的としてのみ主張したものではない。
 加えて本件農道整備工事が敷砂利であったことが認定され、本件監理課通知に違反していることが原審判決で認められたので、本件舗装工事の目的について、ここにあらためて、本件監理課通知に違反していることを隠すための舗装であったことを付記する。
 甲76号証でも道路用鉄鋼スラグの留意点として、「粉じん対策として上部を舗装する」とあり、なんとしてでも舗装を施し、ステージコンストラクションの第1段階だと嘘の口実を付けるために、吾妻農業事務所は舗装によってフタをしたかったのである。

⇒6 (6)について
   原判決の引用部分は認め,その余は否認する。
   なお,被控訴人は,本件舗装工事を発注した当時,本体農道整備工事における本件再生砕石の敷設は県土整備部監理課通知(甲9)に抵触するものではないと認識していたから,これを隠蔽する目的で本件舗装工事を行ったということは論理的にあり得ない。

(7)判決文P33の(3)「エ 地域公共事業調整費について」について
 判決文によれば「本件舗装工事は、本件ほ場整備事業の一環として行われたものとして認められ」るとされている。であれば、当然、舗装工事の原資は、当該整備事業の一環として準備され支出されるはずである。
 だが実際には、県民局が所管する地域調整費(地域振興調整費と地域公共事業調整費)のうちの、地域公共事業調整費から、本件舗装工事に係る費用が支出された。
 そもそも、地域振興調整費事務取扱要領によれば、この地域公共事業調整費の使途は、
@ 環境森林事務所、農業事務所及び土木事務所が事業主体となって実施する公共事業で次の経費
ア 地域総合行政及び地域振興行政の推進に資する公共事業に要する経費
イ 地域において実施する公共事業のうち、複数分野にかかわるもの、早期に完成させる必要があるもの、緊急に実施する必要があるもの、その他事業効果の高いものに要する経費
A その他、第1の目的を達成するために県民局長が特に必要と認めた事業に要する経費
となっているが、どうやらイの「緊急に実施する必要があるもの」に該当するようである。そして、Aでは県民局長が特に必要と認めた事業の経費とあるとおり、正に有害物の不法投棄という違法行為を隠蔽するために被控訴人が組織的に予算を流用した証左と言える。
 よって、原審での控訴人の主張には正当性がある。

⇒7 (7)について
   原判決の引用部分は認め,その余は否認する。
   控訴人は,「地域“振興”調整費事務取扱要領」(傍点“”は引用者)を引用しているところ,これは,群馬県のホームページのうち,桐生行政県税事務所のページに掲載されていたものを参照したものと思われる。*6)今般,桐生行政県税事務所に問い合わせたところ,古い要領が更新されないまま掲載されていることが確認され,可及的速やかに対応を検討するとのことであった。しかし,この要領は,平成16年4月1日に策定された後,数次の改正が行われているところ,平成26年4月1日までのいずれかの改正*7)今般,いずれの改正の際に名称が変更されたのか調査したが,文書の保存期間(5年間)が経過している関係もあり,いずれの改正で変更されたか特定するに至らなかった。の際に名称が「地域調整費事務取扱要領」に改正されており,本件舗装工事が締結された平成26年6月12日(甲21・7頁)当時に適用されていたのは,乙第4号証で提出したものである。

(8)判決文P33の(4)について
 以上によれば、どうみても本件舗装工事は必要なものとは認められず、渋川工場スラグの有害性や撤去の必要性、契約締結の目的等、諸般の観点から検討すると、本件舗装工事に係る支出負担行為について、専決した吾妻農業事務所農村整備課長片山が、その裁量権の範囲を逸脱または濫用したものとして、地方自治法2条14項に反する違反があったと認められる。
 したがって吾妻農業事務所農村整備課長片山が専決した本件舗装工事に係る支出負担行為の違法を前提とする狩野の指揮監督義務に関する違反も認められることから、狩野は地方自治法243条の2に基づく損害賠償責任を負う。

⇒8 (8)について
   否認ないし争う。


第3 群馬県内で渋川工場スラグが使用された地点の対処の状況
 1 渋川工場スラグが社会問題化したことを受け,国土交通省関東地方整備局.被控訴人及び渋川市は,その対応方針を協議するため,「鉄鋼スラグに関する連絡会議」を開催し,平成27年11月13日開催の第3回会議において,概要,以下の対応方針を確認した(乙31・2頁及び3頁)。
  @ 鉄鋼スラグを含む材料が環境基準値を超過している施工箇所の対策
    ・管理者において将来にわたり管理できない施工箇所等については撤去を行う。
    ・前記以外の箇所については,県環境部局の助言を得ながら表面被覆等を行う。
  A 鉄鋼スラグを含む材料が環境基準値を満足している施工箇所の対策
    ・環境基準値を満足しているものの,スラグへの経口・接触リスクが高いと考えられる小・中学校等の箇所については,県環境部局の助言を得ながら必要に応じて鉄鋼スラグを含む材料が表面に出ている施工箇所の表面被覆等を行う。
  B 鉄鋼スラグを含む材料を存置する場合の対応
    ・存置する工事の施工箇所については,県環境部局がリスト化し地下水の常時監視等を通じて,引き続き,環境への影響等について監視を行う。
    ・公共工事事業者としても,存置する施工箇所については,将来,修繕工事や占用工事等で該当箇所を掘削する場合は,県環境部局の助言を得ながら廃棄物処理法等の関係法令への適用状況を踏まえ適切に対応していく。
  本体舗装工事は,上記の方針に沿うものであり,この点からも,本件舗装工事に係る支出負担行為を専決したことについて吾妻農業事務所農村整備課片山に裁量権の範囲を逸脱又は濫用がなかったことは明らかというべきであり,地方自治法2条14項に違反する違法はなく,また,これに引き続いて行われた支出命令も違法ではないから,控訴人の楕求に理由はなく,本件控訴は棄却されるべきである。
 2 なお,その後,上記方針は,他の自治体や民間にも概ね受け入れられ,被控訴人は, 渋川工場スラグの使用筒所のリスト化を進めるとともに,地下水の常時監視等を通じて環境等への影響について監視を行っている。平成29年12月末現在,被控訴人がリスト化した施工筒所は,公共工事が合計347か所,民間工事が112か所であり,そのうち地下水の汚染が確認された地点は1か所もない(乙32)。

**********

■以上のとおり、群馬県のスタンスは、実際に有毒物を吸引したり摂取したりして、健康を害する症状がでないかぎり、大同有毒スラグはそのまま撤去しなくてもよい、という理屈をこね回しています。

 しかも、大同有毒スラグの撤去は「水道用水等の水源として利用される用水路等の直近の管理用道路等」の場合は必要だが、「農業地帯の真ん中で、となりに農業用水路や水田や畑のある農道」の場合は不必要だと主張しているのです。

 本当にこれが群馬県の農政部の主張する内容なのか、耳を疑いたくなりますが、飲み水へのリスクは勘案して有毒スラグが放置された道路ではスラグを撤去し、農産物へのリスクは、具体的に有毒物による影響が出ない限り、スラグを放置してもよい、ということになるのですから、群馬県の農業政策は、農業軽視だということになります。

 他にも、よくまあ、これほど理路不整然に、勝手な主張を並べられるものだと呆れ果ててしまいます。このような群馬県の農業行政のもとでは、いくら税金を投入しても、役人らの道楽に消えてしまうでしょう。やはり農業の六次産業化として、行政に頼らず自ら販路を広げる努力をしたほうが、より確実に群馬県の農業の未来に展望が開けるに違いありません。

■なお、本件控訴審第1回口頭弁論は、くしくも8月15日(水)の敗戦記念日の午後2時から東京高裁で開かれます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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