2018/9/13  23:45

「タゴ51億円事件」の103年ローン解消に向けて群銀や安中市トップらに申入書を提出  土地開発公社51億円横領事件

■今年4月の安中市長選挙ではどの候補も全く取り沙汰しませんでしたが、タゴ51億円事件による元職員の豪遊の尻拭いとなる安中市・同土地開発公社及び群馬銀行と間の和解条項に基づく24億5千万円のうち、延べ払い分20億5千万円の支払いが毎年クリスマスの時期に安中市・公社から群銀に2000万円ずつ為されています。事実上、返済期間が103年間に及びかねないため、安中市民はこれを「103年ローン」と自嘲的に呼んでいます。


 このうち、20回目の支払いが今年の12月25日に迫っていますが、民法の規定により、10年を超える債権・債務の場合は、改めて合意書として「証」となる念書を取り交わさねばなりません。今回は、10年前の10回目の支払いに続き2度目の念書で、今後21回目から30回目までの支払いについて安中市・公社と群銀との間で合意を確認するのかどうか、節目となる時期となります。

 当会は、この巨額詐欺横領事件とはまったく無関係の安中市民にとって、市とは別法人とはいえ安中市が100%基本金を支出し、理事長や理事監事、職員もすべて安中市の幹部や職員が兼務している安中市土地開発公社の公的財産が、同じく元職員と親しくしていた群馬銀行に流出している事態を看過できず、一刻も早く103年ローンの解消を実現すべきであい、という見解を取り続けております。

 このため当会では、機会ある度に関係先に103年ローンの解消を働きかけています。

■この一環として当会は、あと3か月余りに迫った20回目の103年ローン返済のこの時期に、当事者である群馬銀行と安中市のトップらに対して、103年ローンの解消に向けた要望事項を申入書として、提出することとし、本日9月13日にそれぞれの所在地を訪れました。

 申入書の内容は次の通りです。

*****申入書*****PDF ⇒ 20180913_tagojiken_gungin_annakasi_ate_mousiiresho.pdf
                       平成30年(2018年)9月13日
〒371-8611群馬県前橋市元総社町194番地
株式会社群馬銀行
 代表取締役会長  木部 和雄 様
 代表取締役頭取  齋藤 一雄 様
〒379-0192群馬県安中市安中1丁目23番13号
安中市土地開発公社
 理  事  長  粟野 好映 様
〒379-0192群馬県安中市安中1丁目23番13号
安中市
 市     長  茂木 英子 様
                        〒379-0114安中市野殿980番地
                         小川 賢
                         電話090-5302-8312
                         FAX 027-381-0364
                         E-mail ogawakenpg@gmail..com
                  申 入 書
   件名:安中市土地開発公社不祥事件和解20年後の対応について(要望)

 標記事件につきましては、ご案内のとおり平成を象徴する大事件であるにもかかわらず、真相究明、責任の明確化が十分に行われたとはいえないまま、元職員の単独犯行とされました。しかし、この大事件の発生の背景には、当事者によって抱えられていた様々な要因が存在していたこと、そして、この事件の刑事裁判や民事裁判の過程でそれらが浮き彫りになったことは言うまでもありません。
 民事裁判の結果、当事者間では、裁判所の和解条項に基づき、平成10年12月25日に4億円が市の連帯保証のもとに、公社から群銀に支払われ、残り20億5千万円が、毎年2千万円ずつ、計算上では103年かけて支払われることになっており、これまでに20回計4億円が市の連帯保証のもとに、公社から群銀に支払われてきました。
 しかし、和解20年目を迎えて、今後も同様にこのような支払いが行われるべきなのかどうか、少子化、高齢化、過疎化、温暖化などとともに、安中市民の皆さんは、地元の将来に影を落とし続けるこの事件の行く末を憂慮しております。8月下旬から、表記に関する当事者間の交渉が開始されたそうですが、安中市在住の市民として、当事者の皆様にまっとうなご判断のうえ、適切にご対処していただきたく、下記のとおり、申し入れますので、よろしくご検討くださるようお願いいたします。

                   記

1.和解後20年目にあたる本年平成30年12月25日に予定されている20回目の和解金支払いを最後に、当事者間において、金銭の債権・債務を伴わない真の和解が計られるようにされたい。

2.事件が発覚した平成7年6月から既に23年が経過しており、群銀の当時の関係者はほとんどリタイヤしており、市・公社の当時の関係者も誰も責任を取らずに退職してのうのうと余生を過ごしています。また、安中市民はもとより国民の約3分の1が当時まだ生まれていなかった世代となっており、不祥事件とは無関係の住民の存在は無視できない状況にあることを認識されたい。

3.和解条項に基づき、群銀は、市・公社に対し、 借入金元金9億3618万2425円及び利息損害金全額相当額の支払いを免除し、市・公社はこれまでの20年間で、当初一括返済の4億円及び20年間の和解金計4億円の総計8億円を群銀に支払いました。ほぼ拮抗する金額を、この事件により双方が負担してきた状態であることを認識されたい。

4.一方、この大事件の単独犯とされた元職員に対して、市・公社は総額22億2309万2000円及び遅延損害金の支払いを求める民事訴訟を提起し、元職員不出頭のまま平成11年5月31日に判決が言い渡され、同6月18日に判決が確定していますが、これまでに市・公社が元職員から回収したのは、市税還付金1107万2200円のほか、直接的には、わずか398万8300円にとどまっています。(以下参照)
   平成11年5月31日 損害賠償請求訴訟判決       2,223,092,000円
   平成11年11月26日 債権差押命令申立(市税還付金)  △11,072,200円
   平成18年12月6日 不動産強制競売配当         △3,808,300円
   平成29年1月16日 一部納付               △30,000円
   平成29年5月16日 絵画一点売却             △100,000円
   平成29年12月25日 一部納付               △50,000円
  この原因としては、債務者の市・公社が元職員に対する債権取立の行使に積極的ではないことが挙げられます。他方、騙された元職員に盆暮れの付け届けをするなどしていた群銀も元職員からの債務の取立について、市・公社に協力してスクラムを組む姿勢が見えません。こうした消極的な姿勢を改められたい。

5.当初、市・公社は市民に対して「この事件は元職員が群銀を騙したもので、市・公社には損害がない」と主張していましたが、群銀が元職員の表見代理を主張し、結果的に裁判所が和解条項に勘案しました。本来、この事件は元職員が群銀と公社を騙すことによって起きた問題であり、我々安中市民はこの事件には関わり合いのない立場です。しかし、実際には、公社は安中市の別法人ですが、その事務事業や運営については、安中市と不可分であり、民間で言えば100%子会社の連結決算対象の法人です。にもかかわらず、安中市民の立場を、群銀は「この事件に無関係な第三者である」とし、市・公社は「公社の損害は、安中市の損害ではない」として、我々市民の声に耳を傾けようとしていませんが、こうした態度をあらためられたい。

6.前回の和解10年後の対応時には、群銀は「公社は健全経営が行われている状況にあり、安中市の財政も健全な状況であるなどの理由から、債権放棄ができない」との見解を示したようですが、現在は、公社はともかく、安中市は公立碓氷病院の赤字経営や、これまで順調だった法人市民税の税収減など、健全な財政とは程遠い状況です。勿論納税者市民としても、収入減や増税などで生活に余裕が失われてきています。したがって、仮に群銀が今回、公社に対する債権放棄を困難視する場合であっても、安中市を公社の連帯保証人から外すことで、当事者は、平成10年12月25日に事務手続きを定めた合意書を見直し、「証」の作成などすることなく、和解条項においても明記されている「住民福祉への配慮」を尊重されたい。

7.そもそも、和解条項で市・公社から群銀に支払われるカネは行政財産です。行政が担保とするのは我々市民から徴収する税収です。本不祥事件では、群銀から騙し取ったカネで市の元職員が贅沢な生活をしましたが、そのカネは、本来元職員や、騙し取られた責任のある群銀の審査部や支店長らや、安中市の公社関係者である市職員や議員らが返済すべきです。ところが誰もその責任を取らず、結局、本来市民サービスのために費やされるべき行政財産が使われています。この理不尽をしっかり直視されたい。

8.我が国政府は、平成の元号を来年5月1日の皇太子の新天皇即位に伴い改元する方針を決めています。平成7年には、1月17日に阪神淡路大震災、3月20日に地下鉄サリン事件、同30日に警視庁長官狙撃事件と立て続けに大事件が発生し、本不祥事件も、5月18日に当事者間で発覚し、6月3日に市民の知るところとなりました。これらのうち、阪神淡路大震災は既に復興を果たし、凶悪なサリン事件を起こしたオウム真理教団の幹部らは、先日処刑が行われ、警視庁長官狙撃事件も真犯人が判明し事件の全容が明らかにされています。このような世相にあって、本不祥事件だけが、真相が明らかにされず、責任の所在も不明確のまま、マスコミの報道も消極的で、幕引きが図られましたが、元職員のツケを未だに公有財産によって尻拭いをしている状況が続いています。よって、平成の元号が変わるこの時期に、当事者双方で、負の遺産を新元号に引き継がないよう、特段の配慮の必要性を認識されたい。
                                以上
**********

 はじめに、本日午前9時半、前橋市総社町にある群馬銀行本店を訪れて当会の事務局長が、受付の職員に来訪の目的を告げ、代表権者である会長と頭取あてに準備した2通の申入書を差し出し、「趣旨はすべてこの文書に書いてある通りですので、どうかよろしく代表権者のかたがたにお渡しください」と言って、退出しようとしました。すると、窓口の職員は「このような場合、担当部署のものが対応することになっております。今から呼びますので、すみませんが、そちらのロビーのほうでお待ちください」と言いました。

 当会が「それでは待たせていただきます」と言うと、横にいた警備員が、ガランとした1階ロビーの北端にあるソファーセットに案内しました。そこで、およそ10分近く待機していると今年3月の面談時にも対応したリスク統括部の職員2名が現れました。立ち上がって挨拶したあと、ソファーに着席して、当会から「貴重なお時間を拝借してもうしわけありません。趣旨は全てこの申入書に記載のとおりですが、口頭でも説明させていただいてよろしいでしょうか」と打診したところ、「どうぞ、かまいません」と言われました。

 そこで、本件和解後20年を経過して、当事者も代替わりし、市民も事件を知らない世代が3分の1を占め、年号も来年替わるこの時期に、行政を舞台に起きた103年ローンの尻拭いを次の世代に引き継ぐことのナンセンスさを当会は力説したのですが、5分程度話した時点で、群銀のリスク統括室の一人が「行政のことはもういいので。こちらも忙しいのですから」と水をさす発言をしました。

 当会は「それではあと少し、申し上げたいことがありますので、あと3分程度お時間をください」として、「103年ローンのしわ寄せは、結局行政財産の群銀への支払いによる、住民への行政サービスの不利益となるものです。群銀におかれては、預金者でもあり資金の貸し出し先でもある住民の福祉を第一に考えて、103年ローンの解消を最優先で検討していただきたい。もし、それでも引き続き、103年ローンを継続したいというなら、せめて、安中市の連帯責任となる「証」の提出は、求めないでほしい。なぜなら、最高裁の判例では、公社は別法人で、公社が起こした事件による公社の損失は、市民には及びようがないため、住民訴訟でも、市民には公社の損害賠償責任を問う資格がない、とされているためです」という趣旨の説明をしました。

 当会からは最後に、「この文書の宛先にあるとおり、この文書はこの和解条項にかかる当事者の皆さんに対して、同じ文章で記載しております。この後、同じ文書を安中市にも提出してまいります」と群銀側に告げました。

 群銀のリスク統括室の幹部職員2名のかたには、「では、当行の代表権を持つ会長と頭取宛てのこの2通の文書をお預かりします。また、関連部署にも回示します」と確約していただいたので、午前10時前には群銀本店を退出しました。

■その後、少し寄り道をしてから、午前11時20分ごろ、安中市役所に到着しました。さっそく、秘書課を尋ねて、市長と副市長の動静を確認してもらったところ、「本日は市長も副市長も、終日公務で予定が立て込んでいる」とのことでした。公務の場所を聞いたら、庁内だということで、「昼休みは、席に戻る」とのことでしたが、当会も午後そうそう都合があったため、秘書課係長に趣旨を説明しました。

 すなわち、「安中市土地開発公社を巡る巨額不祥事件では、和解20年後の対応が市民にとって重要な関心事である」こと、「平成におきた象徴的な事件のうち、サリン事件や阪神淡路大震災も一定の区切りがついたのに、安中のタゴ51億円事件だけが、103年ローンというかたちで公有財産の流出が継続的にあと83年間続くというリスクを抱えているのは避けるべきである」こと、「別法人の公社が起こした事件だから安中市には影響がなく、当然市民には公社の損害が及ばない、という屁理屈ではなく、本当に市民に損害が及ばないのであれば、せめて群銀への和解金支払いの連帯保証人にはならない」こと、そして最後に「個人的にも今後10年先も元気でいられる保証がないため、一市民として後世に残したくない負の遺産の解消についてこの機会に当事者らには強く申し入れをしておきたい」こと、などを申し入れました。

 秘書課長には、8月下旬に実施されたとみられる群銀との交渉について尋ねてみました。どうやら事情をご存知な風情でしたが、警戒してハッキリとした反応を見せていただけませんでした。それでも、「挨拶ぐらいなら」とおっしゃったので、やはり、8月下旬に、公社理事長でもある粟野副市長を携えて、群銀にこの件で挨拶に訪れたのは確かなようです。

 最後に、小黒勝明秘書課長は、「今日は終日市長も副市長も公務で手が離せないが、必ずこの文書はおふたりに渡しておきます」と当方に約束をしていただきました。

■10年前の、「和解10年後の対応」については、当時の岡田義弘・安中市長は、事前に群馬銀行と交渉をしていきたことや、交渉の結果、群銀が103年ローンの解消について応じなかったことなどを旧安中市と旧松井田町の住民に対して、それぞれ説明会を開催し、関係文書を配布して説明しました。
※参考URL:新しい松井田町を考える会 URL ⇒ http://newmatsuida.web.fc2.com/tagojiken10nen.htm
※「これでいいのか?安中市」(新しい松井田町を考える会(新しい安中市も考える会))PDF ⇒ koredeiinoka.pdf
※「安中市土地開発公社不祥事件和解10年後の対応について」(安中市長 岡田義弘) PDF ⇒ tagojiken10shicyou.pdf
※「群馬銀行との民事訴訟に関わる和解以降の経緯」(安中市) PDF ⇒ tagojiken10wakaikeii.pdf
※「和解条項」(1998年12月9日前橋地裁) PDF ⇒ tagojiken10wakaijoukou.pdf
※「合意書」(1998年12月25日群銀/安中市・公社) PDF ⇒ tagojikengouisyoh101225.pdf

 また、事後報告のかたちで安中市が、2008年2月の安中市広報で経過報告の記事を掲載しました。
※「安中市土地開発公社不祥事件 和解10年後の対応について」(P6-7) PDF ⇒ a10np76.pdf
※「群馬銀行との民事訴訟に関わる和解以降の経緯」(P8) PDF ⇒ aop8.pdf

 今後、この前代未聞の巨額不祥事件の和解20年後の対応について、連帯保証人である安中市の茂木英子・現市長が今後12月25日の20回目の支払い期限までに群銀との交渉でどのような対応をとるのか、また、出資先の別法人である安中市土地開発公社理事長の粟野好映・副市長が市長の意向を汲んで、群銀との交渉でどのような手腕を見せるのか、さらに、その経緯について、安中市は市民に対してどのような時期と方法で、説明会を開催するのか、が非常に注目されます。

 当会は、引続き、当事者である安中市、群銀に対して、必要に応じて株主・預金者、あるいは住民・納税者の立場で必要な行動を行ってゆく所存です。また、この不祥事件の関係者である元職員、その親族、横領金の分け前に預かった関係者のかたがたに対しても、その反応をできるかぎり探ってまいりたいと存じます。

【市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】

※参考情報「タゴ事件発覚当時の群馬銀行の審査能力の実態」
**********1999年2月20日安中市民通信「まど」第38号P7
PDF ⇒ 19900230_mado38_9902_p7.pdf
―――タゴ事件が教えるもの―――
貸し渋り無縁の安中市が銀行管理に落ちぶれた理由(わけ)
<公社事件>タゴの格付をした群銀の審査能力とは

 「貸し渋り」と「格付け」は、昨年の流行語になったが、今年も目を離せない言葉となりそうだ。この二つは不景気の元凶のように見られやすいが、実は経済界に大変革を起こしうる要素でもある。現に企業と銀行との間では株式を相互に保有する「持ち合い」を解消する動きが加速している。
 以前なら、景気低迷の状況下では「持ち合い株」は企業と銀行とをつなぐ命綱と考えられたが、今は違う。銀行は不良債権処理の原資にあてるため株式を売却し、一方業績低迷で格付けを引き下げられた企業は、銀行からの借入より、保有している株を売って有利子負債の軽減を図ろうとする。もちろん貸し渋りが強まる中では、相変わらず銀行との絆にすがる傾向は強いが、資産効率の悪い持ち合い株に見切りをつける企業は確実に増えてゆくだろう。
 こうした中で、本来貸し渋りとは無縁で、銀行の顔色をうかがう必要のないのが自治体のはずだ。だが、安中市は公社事件のせいで銀行管理会社ならぬ群銀管理自治体になってしまった。
★自治体の信用力とは
 タゴ事件で群銀関係者は口をそろえて「自治体は最も信用の置ける顧客だ」と強調し、公印の重みが借り主である市長の意思確認よりもずっと優先すると言って憚らなかった。「貸し渋り」で日本経済に深刻なダメージを与えている銀行業界だが、タゴに対する群銀の大盤娠る舞いは、貸し渋りとは全く別次元の対応ぶりだった。
 タゴがウラ口座をつくった平成2年4月16日を境に、群銀が融資した額が急増しているが、大口貸し出しの際の群銀の審査体制はざどのようになっていたのか検証してみたい。
★3段階チェック
 融資の決定は銀行の審査部の仕事で、通常三つのチェックを行う。まず営業担当者が融資案件をチェックし、次に審査担当者がチェックして、最後に決裁権限のある者が総合的に判断する。このうち審査を担当する審査部では、財務内容、担保・保証人状況、経営者の資質、商品開発力、技術力、株主構成、従業員定着率などを調べて融資するかどうか総合的に検討し、判断する。
 最近では外部の格付け機関や信用調査機関の信用情報も利用しているようだ。格付けされる中小企業経営者の立場としては、評価ポイントがひとつ上下しただけで銀行の対応が様変わりになるため、必死で調査機関の担当者を接待したくもなる。もっとも銀行自身、外国の格付け機関の発表に一喜一憂するご時世だ。海外の調査機関にゴマを摺っているかもしれない。
★支店長決裁の限度枠
 銀行は内規で支店長に一定の決裁ワクを決めている。タゴに特Aランクの格付けをしたであろう群銀では、安中支店長にいくらの決裁ワクを与えていたのだろう。
 銀行業界は決裁ワクを外部に公表しないが、タゴ事件のお陰で群銀安中支店のケースは分かった。別表をご覧頂きたい。
 結論から言うと、8千万円くらいのようが。だがこれは顧客が安中市土地開発公社で、しかも保証人が安中市長の場合だから、一般の融資ではもっと決裁ワクは少ないかもしれない。また、信用(無担保)で貸すか、担保を取るのかで、当然決裁ワクは違ってくる。そのうえ支店の大小でも違う。
 都銀の場合は、信用取引では小さな支店で1億円、大きい視点で3億円くらいが融資限度の目安らしい。だが貸し渋りが始まって最近は2000万円くらいでも審査部がチェックするため、営業担当が本当に貸したい相手でも、貸せないケースも増えた。
★バブルの遺産、貸し渋り
 支店長に1〜3億円決裁枠がありながら貸し渋りが起こるのは場縷々の反動だ。支店長は視点を移動しても、過去に支店長決裁で行った融資が焦げ付けば責任を問われる。地価が急騰したバブル当時は積極的に融資していた支店長も、地価下落の昨今は左遷にビビって融資ができないでいるらしい。
 実はバブル次弾の80年代後半から銀行の審査部はほとんど機能しなくなっていたのだ。バブル経済から生じた余剰資金を貸し付けるためには、審査はむしろ邪魔だったためだ。安中市の公社事件もまさにこのような背景で犯行が膨れ上がっていったのだ。
 二束三文の土地を優良資産と偽り、抵当権を設定してみたり、株を担保に仕手戦の資金提供なども行われた。それらがバブル崩壊のツケとなって、いま銀行にハネ返っている。
★乱脈経営の果てに
 乱脈融資はほとんどの金融機関で行われた。審査には定評のあった日本興業銀行でさえ、料亭の女将(おかみ)の尾上縫に株式融資の資金を提供して6000億円もの穴を開けられ、笑いモノになったことは記憶している方もいるだろう。
 銀行の不良債権は公式発表では77兆円(発表の都度コロコロ変わる)とされているが、実際には100兆円を軽く上回ると言われる。この不良債権を管理するのも審査部だ。
 経営危機に直面している会社に対して、新規につなぎ融資をするのは相当のリスクを伴う。一歩間違うと背任行為になりかねないとして貸し渋りが起る。
 安中市土地開発公社理事長印と安中市長員を15年間にわたって自在に利用したタゴに対し、群銀の審査部は年と共に格付けを上げていった。本来、又貸しをしないのがしかりした金融機関の証だが、群銀は機器としてタゴの着服額のバブル化に貢献し続けた。
 その結果、51億円ものカネがタゴの懐を通り過ぎていった。貸し渋りで資金繰りに汲々としている中小企業経営者や自営業者としては、まことに夢のような話だ。給与カットの中で、ささやかな預金をしても、ローンの返済に稼ぎを持っていかれ、それでも税金を払っているサラリーマンにとっては、夢のまた夢だ。
 それなのに、今後はタゴの豪遊の尻拭いを100年以上に亘り、私たち市民がなぜ「乱脈」融資の群銀に対して肩代わりを返済させられかねないことになってしまったのか。
 タゴ事件の責任は、本人はもとよりその取り巻き、そしてタゴを監督する立場の人達にあることは勿論だが、銀行が融資を実行する最初の段階できちんと審査していれば、これほど不良債権(=タゴの犯行額)がバブリーに膨らむことはなかったのも事実だ。
 タゴへの乱脈融資の挙句、民事裁判和解で責任をかわし、安中市を銀行管理自治体にする一方で、市民に対しては貸し渋り・・・。群銀の審査能力とは一体なんだったのか。いま重く問われるゆえんだ。       【編集部】
  (※次頁に別表を掲載)

=====別表=====PDF ⇒ 19980220_mado38_9902_p8.pdf
<別表>群馬銀行安中支店から本店審査部あての貸出申請書の概要(金額欄の下線部分は水増し額)
 申請日/金額 円/金利 %/返却予定日/使途/取り上げ理由/実行予定日/支店長/次長/担当
●平2-4-18/45,981,000/6.98/平4-3-31/経営運転資金/後閑城址公園造成工事・公共用地取得資金/平2-4-24/宮口/新井/伊藤・平井
●平2-9-28/33,124,000/?/?(平6-3-31返済)/公共用地取得資金/?/?/?/?
●平3-2-21/00,973,000/7.80/平7-3-31/経営運転資金/新安中駅周辺開発区域取得に伴う事務費/平3-2-25/渡辺/新井/伊藤
●平4-3-4/16,873,000/6.60/平9-3-31/経営運転資金/新安中駅北側駐車場用地取得資金/平4-3-11/渡辺/新井/伊藤・平井
●平4-3-25/22,438,000/6.60/平9-3-31/経営運転資金/公共用地費及びそれに伴う事務費/平4-3-31/渡辺/新井/伊藤
●平4-9-28/15,054,000/5.70/平9-3-31/経営運転資金/公共用地取得に伴う事務費/平4-9-30/渡辺/清水/伊藤・平井
●平5-2-1/31,884,000/5.20/平9-3-31/経営運転資金/新安中駅南側駐車場用地取得資金/平5-2-5/渡辺/清水/伊藤
●平5-3-19/13,584,000/4.90/平9-3-31/経営運転資金/新安中駅周辺開発用地取得資金/平5-3-31/渡辺/情水/伊藤
●平5-3-19/5,749,000/4.90/平7-3-31/経営運転資金/新安中駅周辺開発用地取得に伴う事務費/平5-3-31/渡辺/清水/伊藤
●平5-9-22/13,860,000/4.80/平9-3-31/経営運転資金/下磯部分譲住宅団地取得資金/平5-9-22/松井/清水/平井
●平6-3-25/04,783,000/4.40/平10-3-31/経営運転資金/新安中駅周辺廃初日・公共用地取得費及び事務費支払資金申込み/平6-3-31/松井/清水/平井
●平6-9-28/11,474,000/3.90/平11-3-31/経営運転資金/公共用地取得費及び事務費スポーツトレーニングセンター用地取得資金/平6-9-30/松井/清水/栗田
●平7-3-29/59,612,000/4.00/平12-3-31/経営運転資金/信越線新安中駅周辺区域取得資金/平7-3-31/松井/清水/栗田・大林
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