トレボーに軽く手を振り、村を出ると
いきなり目の前に広がる銀世界。
コヨーテをあしらいながら、雪だるまの大群をぬける。
少し行くと、行き止まりのような場所に熊がいる。
「あれ?村長の言ってたダンバートンってどこだろう?」
周りを見回してみたが、熊しかいない。
「ダンバートンってもう少し先ですか?」
熊に聞いてみたが、答えるはずも無い。
そう言えば、道中に熊が出るって言ってたし
この熊のことだろうか?もう少し探してみるか。
道らしきものを探しているうちに、あたりも暗くなり始めてきた
ふと、熊のいたところに目をやると
そこには熊ではなく、一人の男が立っていた。
この人はいつ、ここに着たんだろう?
気配さえも感じさせないなんて、只者じゃないかも・・・
「あのぉ〜」
恐る恐る声をかけてみる。
「うぐ・・・なんですか?結界を越えてまで、ここまで来るなんて」
結界?なんのことだろう?
「ダンバートンってこの辺りですか?」
結界のことも気になったが、それよりも
そろそろ夜になる。こんなところで野宿なんてしたら
明日の朝日も拝めなくなる。
「ダンバートンですか?クリステルのいるところですね」
クリスタル?ダンバートンはガラス工芸の町なのか・・・
「ダンバートンは、ここから南に下り
ティルコネイルを抜けて、さらに南にいったところですよ」
・・・?
・・・・・?
・・・・・・・?
・・・・・・・・・!!
も、もしかして・・・
村の出口を間違えた!!!
雪のことなんて、一言も村長が言ってなかったし
おかしいとは思ってたんだ・・・
トレボーもトレボーだ。私がダンバートンに向かってるの
知ってるくせに、一言も言ってくれないなんて!!
ディリスさんは元気か?だとか、ディリスさんに鎧を届けてくれ
だとか、何かって言うとディリスさん、ディリスさん!!
トレボーのおかげ?で腹が立ったので、少しは体も温まったが
それでも冷静になるとやはり寒い。
とりあえず、その男に泊まれる様な場所はないか聞いてみた。
「宿屋ですか?私は毎日一晩中ここにいますが
家の明かりが見えたことは一度も無いですね」
ここに来る途中や、道を探した時も
建物はおろか、木こり小屋さえ見なかったのだから
当然の答えといえる。
「また戻って、ティルコを抜けないといけないのか・・・」
今日の昼に出発したばかりなのに
もう戻ってきたのかと、思われるのも嫌だったが
目的地のダンバートンに行くには
ティルコを抜けるしか道は無いらしい。
夜なら人も少ないだろうから、見つからずに抜けれるかも?
私は覚悟を決めて、来た道を戻り始めた。

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