ティルコネイルの入り口に戻ると
まず私は、ローブを着替えた。
いつも白いウサギのローブを着ているのだが
そのせいか、みんなからウサギちゃんと
呼ばれることもあるぐらいだ。
ここは、そのイメージを逆手にとって
黒いマフラーローブに着替えたら
私だと気づく人も多くは無いだろう
「よし、これで大丈夫だろう」
村の入り口にはムーンゲートがある。
これは目的地が毎晩変わる転送装置で
月のエネルギーを増幅させて、瞬時に
その時の目的地まで運んでくれる優れものだ。
村の南北の入り口に設置されているのだが
いまだに使ったことは無い。
自分が納得できる強さになるまでは
村から出ないと決めていたからだ。
ムーンゲートから少し行くと、トレボーが
昼夜問わず子供たちを指導している。
まあ、昼夜と言っても夜はほとんど
ディリスさんのことでブツブツ独り言を
言ってるだけなのだが・・・
トレボーを見た瞬間、先ほどの怒りが
沸々と込みあがってくる。
こいつのせいで、とんだ無駄な時間を食っちゃったじゃないか!
トレボーからしてみれば、とんだ言いがかりなのだが
どうにも腹の虫が収まらない。
足元にあった小石を拾って、トレボー目掛けて
思いっきり投げる!
バシッ!
命中だ!
「いてっ!だれだ!」
トレボーが後ろを振り返る。
私はすかさず岩陰に隠れて、息を殺して
トレボーの様子を伺う。
黒いマフラーローブが、うまい具合に
夜の闇に溶け込んで、姿を隠してくれてるようだ。
「気のせいか・・・」
その痛みは、気のせいで済むものなのか!
まあ何にせよ、トレボーが筋肉バカでよかった。
わたしは少し気が済んだので、トレボーに見つからないように
トレボーから離れた柵伝いに、忍び足で
村に入っていった。
卵やひよこ、それに放し飼いにしてある
鶏をキツネから守るために、設置されている
キツネ狩りロボットを横目に見ながら
銀行の裏手まで出る。
建物の影から、広場の方を覗くと
深夜組みの連中が、まだ歓談していた。
知ってる顔も何人かいる。
「危ないところだ・・・」
銀行の裏から、聖堂の裏を抜けて
学校の脇を通って、南の出口へと向かう。
南の出口付近には、狼たちがたむろしていて
ここで、魔法カウンターやディフェンスの
実習訓練をよくやったものだ。
村を出るとなると、こいつらも可愛く見えてくる
「また、戻ってきたら遊んであげるよ」
そう言ってウッーウッー唸る狼を尻目に
新たなる町、ダンバートンに向かって
村の出口へと、歩を進めていった。

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