村を出て少し行くと、山のように大きな男と
これまた山のように大きな、一見男と
見間違うような女が、一心不乱に木を切り倒している。
どうやらここは、伐採場のようだ。
伐採場の真ん中に、御神木のような
大きな木が立っていて、その周りに
おそらく人夫が、寝泊りするところであろう
木こり小屋が、数棟建っている。
木の前には、1人の男が立っていて
大きな声で、木こりたちに指示を出している。
エリンの木は、どういう訳か育つのが早い。
下手をすると、某アニメのナ○シカのように
『エリンの森に町が飲み込まれていく』
というのは大げさだが、それぐらい早い。
なので、体のゴツイ木こりたちが
木を切り続けても、森がなくなることは無いのだ
「こんにちは」
「よぉ、旅人さん」
男は、首にかけたタオルで
汗をぬぐいながら、ニッコリ微笑んだ。
「旅人さんは、どこまで行くんだい?」
男は、まだ汗を拭いている。
「ダンバートンという町まで行くところです。
ティルコネイルの村から来たんだけど
村を出るのは初めてだから、見るものすべてが珍しくて」
「そうかい。俺はトレイシーってもんだ。
ティルコネイルには、何回か木材を運んだことがあるぜ
村長のダンカンは元気にしてるかい?」
「ええ、とっても」
私はトレイシーに、自分の名前と旅の目的を話し
しばらくティルコの話で盛り上がった。
「そうだ!次女ちゃんにひとつ
スキルを教えてやるよ。このスキルは
俺が編み出したもので、どんな強敵に会っても
このスキルを使えば、生き残ることが出来る
画期的な、すばらしいスキルだぜ!」
「どんなスキルなの?」
「まぁまて。これを教えるのに1つ条件がある。
今、この伐採場には問題が起きてて
それを解決してくれたら、スキルを教えてやるよ。
どうだい?やってくれるかい?」
トレイシーは、意味ありげに笑いながら
そう言った。まるで私を試しているような
気もしたが、どんなスキルか分からないし
話を聞く限りでは、すごそうなスキルだから
覚えておいて損は無いだろうと思い
私は、その条件を飲むことにした。
「やるよ」
「そうこなくっちゃ!
今この伐採場に、熊が出てきて困ってる。
普段はこんな、人が沢山いるところに
出てきたりしないんだが、最近どういう訳か
木を切ってる人夫に近寄って、襲ってくるらしい。
その所為で、みんな怖がっちまって
仕事をしなくて困ってるんだ。だから次女ちゃんに
その熊を退治してもらいたいんだ。」
ふむ ・ ・ ・ 熊か。
村ではオオカミや、ダンジョンのゴブリンぐらいしか
相手をしたことが無かったから、今の自分の
実力を知るのに、丁度いい相手だ。
「大体どのあたりに熊は出るの?」
「ここから西に2〜3km行った辺りだな。
熊を倒したら、魔符を落とすから
倒した証として、それを持ってくれば
スキルを教えてやるぜ。」
私は、使い慣れた武器と防具を装備して
熊が出るという、森の奥へと足を踏み入れていった。

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