西條を襲った犯人の供述から突破口の糸口が見えてきた。
西條は原からの留守電が入っていないことが気になるが
捜査のほうが忙しくなりそれ どころではなくなる。
山下は捜査資料を読み上げ録音する。
原の意識が戻った時に流すつもりでいる。
一日経ち、原の熱が微熱ほどに下がり、意識が戻る。
原の耳にニュースではない内容が聞こえてくる。
暫く聞き、事件資料の内容だとわかる。
原「山下さん・・・ありがとう・・・」
山下「よろしかったですか?」
いつもより大きめの声を出す。
原「急に頭が重くなり体も熱く・・・」
山下「高熱を出されて一日・・・」
原「・・・。ドック・・・西條から何か言ってきましたか?」
山下「いいえ。お忙しいのかと。私からも何も連絡はしていません」
原「そうですか・・・耳に入れて聞いても?あまり外部に聞かれても困る」
山下「あら、そうですね。直ぐに用意します。ラジオのがありましね」
ラジオから外しCDプレーヤーにつける。
原「ありがとう。少し音量あげてもらえますか?少し聞きづらく・・・熱のせいでしょうか・・・耳まで聞こえなくなったら・・・」
山下「ちゃんと会話できています。大丈夫です。ただ、首の状態がおもわしくなく吐き気などの症状も出てきます」
原「・・・。トシさんの前では元気にふるまわないと・・・協力してください。祥愛さん」
山下「えっ?はい」
急に下の名前で呼ばれ胸がどきっとしてしまう。
原の優しさを尊重したいと思う。
原は、CDの音に集中している。
今まで音に敏感だったはずが全く周囲の音が気にならなくなる。
井川が病室に車いすでやって来る。
しかし、原は全く気付かない。
井川は今までと様子が違うことにおかしいと思う。
全く、振り向く気配がない。
山下が入ってくる。
山下「井川さん・・・」
井川「私が来たことに気付かない。何かあったんでしょうか?」
山下「今、西條さんの事件の調査資料を聞いているからだと・・・(原のベットに向かい体を障る)井川さんがいらしてます」
原「えっ?(慌ててヘッドホーンを外す)トシさん。足の具合どうですか?」
井川「寝ているのかと思った」
山下「寝ているのかと思われたみたいですよ」
原「すいません・・・ドックの事件資料を山下さんが録音してくれて聞いていたもんで」
井川「それならいいんだが・・・どうだ?体調は?」
原「・・・」
山下「前しか見れないってぼやいてます」
原「自分で動けないのが情けなく・・・車いすにだけは自分で移れるようにしたいです」
井川「焦らないほうがいい」
山下「私も焦らないでくださいって言っているんですが・・・」
原「俺はトシさんの足のほうが心配です。複雑骨折・・・」
井川「無理に足を引き抜いたからな・・・年のせいもあり中々くっつきが悪いそうだ。だが、ジプシーのせいじゃあない。私の意思でしたことだ」
山下「原さんを救助するために足を・・・。でも一番悪いのは襲わせた人です!」
怒りをあらわにして言う。
原「楊麗華を刺激したのは俺です。この首は誰のせいでもなく自己責任・・・真の怖さを甘く見ていただけです」
井川「首だけか?他の箇所に障害が起きているんじゃあないか?」
山下「首の痛みが中々とれず、気分が悪くなるだけです」
原「首の痛みだけです」
井川「それならいいが・・・そろそろ部屋に戻る。邪魔したな」
病室を出る。
原の耳の聞こえが悪くなっているのではないか。
それ以外にも・・・。
井川は自分の運転の下手さに腹が立つと共に原の気遣いにも
腹が立った。

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