それは、一昨日のことでした。夜も更け、いつも通りに仕事を終えてバイクで帰宅
しました。そして、いつものようにインターホンを『ピンポーン』
「はーい」奥様の元気な声・・・『ガチャッ』開く玄関・・・
「ただいま〜」玄関に入る私・・・すかさずダブルロックとチェーンをかけます。
その僅か数秒後でした・・・『ガチャガチャガチャ』
誰かが外から思いっきりの力でレバーを揺すってます。
私は『誰やねん、もう・・・』開けようとしましたが、その日の私は冷静でした。
私:『普通はインターホンが先やろ!こんな時間に不自然やしタイミング早過ぎ!』
そう思った私はドア越しに問いかけました。
私:「何か用ですか?」
unknown:「・・・」『ガチャガチャガチャ』
私:「何か用なん?」
unknown:「開けて〜」
それは年配の女性の声です。当然ながら、そんな知り合いはいません。
私:「どちらさんですか?」
unknown:「開けて〜」『ガチャガチャガチャ』
これは確実に変です!
私:「誰なん?」
unknown:「○○やから開けて〜」『ガチャガチャガチャ』
私にはそんな名前の知り合いすら居ません・・・家族も廊下で怪訝な表情を隠せません。
私は奥様に手で警察へ連絡するよう合図しつつ、更に問いかけてみました。
私:「で、何の用なんです?」
unknown:「金ちょうだい〜」
私:「はぁ〜?そんなんありません」なんだこいつと思いつつも玄関扉が壊れるよう
な勢いで揺さぶり続けてます。
そして、unknownはずっと「金ちょうだい〜」を繰り返してます。その間に110番!
その時、スリットガラスにピッタリと顔を付け、こちらを睨む老女・・・この人は
私をつけて来たのか?はたまた単なる物乞いか?どちらにしても迷惑千万!警察の
到着をまつことにしました。しかし遅い・・・これが警察の対応か・・・10分程経ち、
unknownはお隣さんへ行った模様・・・しかしお隣さんは留守・・・ついに声も聞こえなく
なりました。
恐る恐る玄関を開けて周囲を見渡しても姿は見えません。50m程離れた交差点に
一人の老女が立ってます。
私:『あれかな?』と、その時です!その老女の横をすれ違う寸前の自転車に乗った
若き女性・・・そして、老女に声を掛けられたと同時にハンドルを老女にぎゅっと握
られ、なにか話をしている模様・・・そしてその女性はおもむろにバッグから財布を・・・
ついに老女へ何かを渡しています・・・私の距離からではとても間に合わない・・・しかし
見過ごしには出来ない・・・
その時にようやく到着する警察・・・しかし間一髪で老女の姿は路地へ消えました・・・
事情を話し、捜索に掛かる警察・・・私は自宅へ戻りましたが警察は何の報告もしてくれ
ませんでした・・・
しかし、あの時にロックを少しでも掛けるのが遅かったらどうなってたんでしょう?
考えると恐ろしい・・・
今日の今頃、あの老女は何処へ・・・
『帰ったら まずは戸締り 誰か居る』
〜staff〜
主演・・・・北摂山桜
出演・・・・奥様
黒月
unknown
警察
通りがかりの奥さん
挿入歌・・・岩崎宏美「聖母たちのララバイ」
この物語はノンフィクションです。

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