2008/6/17
こじれた心 新作吟味
こじれたる人の心の修復をあきらめたころ風が吹きをり
心地よい恋唄を書くつもりにて相聞歌など詠めぬと言はれ
延々と検診を待つ列のなか健康害する者はないかと
中途にて抜けていく人の多からん後ろの方が近づいてくる
ポスターに一度やらせてくださいと意味深な顔で男が笑ふ
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心地よい恋唄を書くつもりにて相聞歌など詠めぬと言はれ
延々と検診を待つ列のなか健康害する者はないかと
中途にて抜けていく人の多からん後ろの方が近づいてくる
ポスターに一度やらせてくださいと意味深な顔で男が笑ふ

2008/6/10
北限十五首詠 新作吟味
バス停に人は屯し
しつぽりと雨に濡れてるバス停に家をなくした小犬が眠る
仲の悪さうな夫婦が三人の子どもを連れて臨時バスに乗る
制服を着た小学生と女子高生学生らしきが乗るバスに乗る
ざはざはと群れなしてゐる子どもらを一口で呑みバスは出たり
バス停にサラ金のビラ貼られをりタクシーならば知らぬこのビラ
高齢者優待パスを持つ人で病院行きのバスは混みをり
初夏の風吹き抜けていくバス停に吸い殻入りの空き缶があり
バス停の日除けの下のベンチにて缶ビール手にお昼寝をする
ふうらりと来たバスに乗り小旅行やつてみやうか行くあてもなく
「バスが好き」さう言ふをみなのあどけなき瞳の奥の小さな打算
「ニシジンハドノバスデイケバイイノデスカ」「コノバスデス」と我もカタカナ
初めての街で乗りたるバスゆゑに出口に近き場所に立ちけり
スペインの田舎町にてバスを待つ嫁ぎし娘をこの地に托し
時を経て字のかすれたる時刻表このバス停にいつバスは来る
バス停に君を見送るさみしさは肌に染み込む六月の雨
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しつぽりと雨に濡れてるバス停に家をなくした小犬が眠る
仲の悪さうな夫婦が三人の子どもを連れて臨時バスに乗る
制服を着た小学生と女子高生学生らしきが乗るバスに乗る
ざはざはと群れなしてゐる子どもらを一口で呑みバスは出たり
バス停にサラ金のビラ貼られをりタクシーならば知らぬこのビラ
高齢者優待パスを持つ人で病院行きのバスは混みをり
初夏の風吹き抜けていくバス停に吸い殻入りの空き缶があり
バス停の日除けの下のベンチにて缶ビール手にお昼寝をする
ふうらりと来たバスに乗り小旅行やつてみやうか行くあてもなく
「バスが好き」さう言ふをみなのあどけなき瞳の奥の小さな打算
「ニシジンハドノバスデイケバイイノデスカ」「コノバスデス」と我もカタカナ
初めての街で乗りたるバスゆゑに出口に近き場所に立ちけり
スペインの田舎町にてバスを待つ嫁ぎし娘をこの地に托し
時を経て字のかすれたる時刻表このバス停にいつバスは来る
バス停に君を見送るさみしさは肌に染み込む六月の雨
