申八歌壇俳壇例会情報
花冷えの嘘つきの日に報されし新元号のきもちのわるさ みんなのプロフィールSP

2009/4/20

何もできない  

総長に起立着席と指図する放送部女子の声の明るき

緞帳が降りきるまでの四十秒何もできないしてもいけない

テポドンが舞ひ上がる空見詰めてる県職員にできることとは

ミサイルが飛んでくるとふそのころに機上の我は歌を詠みたり

新宿の女いくどもかけなほし荒尾正伸に聴き惚れていく

あたたかな眼でわれを見る若き医師指の先にてデータのみ打つ

パソコンに一症例として打ち込まれ我が尊厳は平準化さる

大酒を呑みては騒ぎし翌朝のけだるさの中浅き夢見る

をさなごの人見知りするをかしさをからかひてまた抱き寄せてみる

年老いてあといくばくと思いきやあといくばくのまた長きこと

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2009/1/14

切り忘れた爪  

約束を破つた君の大罪を咎むるように今日はどしやぶり

此の雨の中ではかなり寒からう警察車両がUターンしゆく

爪を切り忘れたことに気がつきぬパキスタンへの飛行機の中

諍ひの国の旅亭の窓際に小鳥の数羽争うてをり

猜疑の眼冷たく光る警備兵の銃の指すままわれら従ふ

所在なげに首のあたりを掻きてゐる麻薬探知犬は暇さうであり

戦争は避けるべしとふ良識を旅の終はりに良識となす

飛行機と車の好きなヤツのため買つてしまつた空港土産

不幸なる人のあるゆゑ幸福である幸福の罪深きこと

刺すやうな寒気が肌に心地よしふるさとの山しんと恋しき

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2008/12/26

3月号  

3月号が届いた。○は採られた歌。

逢ひたいと別れた傍から言ひてくる一人暮らしの寂しさゆゑか
○二十年前は栄えし此の駅に降りる人らの少なかりけり
毎年のことではあれどさみしくて寒さ凍みいる冬の日がある
幸せは嫌はれてゐる今日もまた不幸を愚痴る人と会ひたり
○艶めいてゐる風のある隅田川宿の二階に君は待ちをり
荻窪のカレー屋のその右隣サフランのやうな君の残り香
○年の瀬に友の訃報は悲しけりジングルベルの華やかなれば
○たぶんちがふ君の揃へし靴下の右と左の黒の黒さが
「しゃそ」と言ふ学生の言葉聞き返し見れば社會を社曾と写せり
○自らの脳梗塞を酒肴とし老師は呷るなみなみの盃
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2008/11/19

11月  

講演を終へて講師は飲みかけのペットボトルを手に去りてゆく

寒き朝咥え煙草の少年が自転車に乗り登校しゆく

なでしこだサムライだなどとちかごろのスポーツ界には死語蘇り

なでしこの花散りゆきしその後はサムライの血が流れゆく、かも

風花の舞ひおつる朝街頭に不釣り合ひなるフラメンコ聴こゆ

ちやんちやんこ着て夫を送り来しをみなのけふのひるのじやうじは

むつかしきことはしらねどほほよせし抗菌便器は清潔なるや

悩ましき会議のすゑに混迷の選択肢あり保留も可とす

いちばんの冷え込みとなり夏からの宿題をまた先に延ばさう

からつぽの締切の夜降りて来ぬ神を待ちつつまた酒を注ぐ

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2008/5/20

塔8月号  

それぞれの自殺の理由は記されず硫化水素のみ記事とされをり

死にたいと思ふやつらの気は知れずさりとて此の世の何がよいかと

自死といふ生き方をした物書きの著書が虚しく印税稼ぐ

パソコンの前で黙つて待つてゐる自分の顔の間の抜けたこと

身の丈の以上のことを抱へ込み我が卑小さを思ひ知らさる

積み残したる案件がふたつみつわれを未明に追ひ遣りていく

一日を始むる人らの物音を外に聞きつつパソコンを切る

終はらない仕事を脳に置いたまま寝た気のしない朝を迎へり

早起きが苦ではないといふ歳を嗤へぬけふも寝不足のまま

滔滔と流るる言の葉の傍で睡魔と闘ふ夢を見てをり

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2008/3/19

塔6月号  

   これで投稿した。さてどういう選を受けるか。

点滴を受けつつ君は眠りたり澱む憂ひを忘れたやうに

しゃばしゃばと湿つた神経逆撫でて春雨は降る 濡れてたまるか

検閲を二度受けたりし此の一年不幸な夢を見たくはないが

わたくしの潰されちまつたプライドは振り返られずただ捨てられる

○文学に才能のある人たちの不幸を思ひ通勤路につく

○そこそこに無名でありしランナーは浮き立つやうに独走をせり

○からころと空き缶ひとつ転がりてコンビニの灯が照らす街角

○高らかに人を殺める歓びを謳ひあげたり戦時歌謡は

○あさり貝が開き始めた鍋の中覗き込みつつ非戦を思ふ

ふるさとを離れて一人寝た夜の涙のやうな天井の滲み
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2007/5/2

いかんな  

『塔』が届いて、HPに作品を載せようとしたら、先月と同じ歌を出していた。ああ、情けない。ただでさえ最近は創作力が枯渇しつつあるのに、これじゃあどうしようもない。
ちゃあんとチェックしたはずなのになあ。ちょっと落ち込もう。は・ん・せ・い
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2006/8/23

塔全国大会  

 塔全国大会に行ってきました。収穫は人との出会い。以前にも紹介したけど、

  八月の「塔」読みて幾度も笑い出す新谷休呆の「刑事の旅」

 という作品で僕の名を出してくれた西川照代さんに会えました。これがまたややこしい。一字違いのよく似た名前の人と並んですわっているのだ。どっちに声をかけていいのかわからず、お二人の前に行って胸の名札を示したら反応してくれました。

  そして、「紹介したい人がいる」と言って紹介してくれた人がなんと炭陽子さん。『塔』誌上で僕の隠れファンを告白してくれた人です。感動してしまいました。それと一昨年に「その年の三首」に僕の歌を摂ってくれた山下洋さんにもお会いできたし、それと僕が一首評で取り上げた安藤純代さんともお会いできた。しかも、西川、炭、山下さんとは深夜の歌会まで楽しませていただき、感動した。
 とんぼさん、来年は参加しようよ。


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