今回は宇宙(そら)の紹介です。
私のお気に入りの一枚です。
宇宙のことを語ろうとすると、
私は自分の恥をお話ししなくてはなりません。
長い長いお話になります。
2003年の夏、窓からの景色の中に、
猫の親子の姿を見つけました。
白っぽい母猫と二匹の仔猫たち。
草むらや日陰などで仔猫たちはころころとよく遊び、
母猫は体を横たえて二匹を見守りながら、
短いしっぽであやしたり、体を舐めてあげたりしていました。
その夏はとても涼しく過ごしやすく、
私はそんな光景を、ただただ微笑ましく思っていただけでした。
野良猫の厳しい暮らしなど、まだ何も知らなかったのです。
それからしばらくして、私とこーぢは夜にウォーキングを始めました。
そんなある夜、
一匹の猫がゴミ置き場のコンテナの上に現れました。
小さな体がガリガリに痩せていて、こーぢは一瞬子供だと思ったようです。
「この子、あのお母さん猫。ほら、おっぱいが大きい。」
よく見るとコンテナの下に、仔猫が警戒しながらこちらを見ていました。
そしてその母猫は、こーぢの足元近くまで来て、
ぎこちなくごろんとして見せました。
でも、こーぢが少しでも動くと飛び起きてしまいます。
よほどおなかがすいていて、きっと決死の覚悟だったのでしょう。
その日は、ごめんね、と言って立ち去りました。
けれど、そんなことが数回続き、
私達は耐えられなくなりました。
何の将来的なビジョンも持たないままに、
その親子にごはんを運ぶようになりました。
野良猫に無責任なことをしてはいけない・・・
アタマではわかっていたのに、です。
私達は「無責任な餌やりさん」になってしまいました。
それからまたしばらくすると、仔猫たちの姿が見えなくなりました。
親離れしたのか、それとも・・・。
残念ながら、仔猫たちのその後はわかりません。
私がもっと早くに意識改革できていたなら、
親子共々、保護していたなら・・・。
何を言っても遅いのです。
どんなに後悔しても、仔猫たちが戻ることはないのです。
でも、今も私は後悔し続けています。
その後も私達はその母猫に毎日会いにいきました。
私達はその母猫のことを敬意を込めて「おかあさん」と呼んでいました。
私達が外に出ると、必ずどこからか現れて、
傍に来てくれるおかあさん。
おかあさんは特にこーぢを気に入っているようでした。
こーぢも、そんなおかあさんがかわいくて
「うちの子になってくれへんかなぁ」と呟いたりしていました。
でもまだ私達は、野良猫を保護して家に入れ自由を奪うこと、
それはしてはいけないことだと思っていたのです。
ところがある時、3日ほどおかあさんに会えませんでした。
やっと会えたおかあさんは、おなかの毛が剃られ、
バンソコを貼られていました。
避妊手術・・・私達以外の誰かが施したのです。
私達は恥じ入りました。
自分達のしてきたことは何だったのか?
ただ可愛いという自分の思いを満たしていただけで、
なんという身勝手な人間だろうと。
もう私達に手出しは出来ない、そう思いました。
そして、これからどうしようかと考えあぐねていたある日、
おかあさんのおなかのバンソコがはがれ、
手術跡が化膿し始めていることに気付きました。
でも、手術をした誰かもほっておかないだろうと、
様子をみることにしました。
2週間待ちました。
おなかの傷は治ることなく膿でいっぱいになっていました。
病院に連れて行くことくらいは許してもらおう、
処置をしてもらって、また元の場所へ帰そう。
そう決めて、おかあさんを病院へ連れて行きました。
2003年12月12日のことです。
おなかの中には縫合に使ったと思われる
ホッチキスの芯のようなものが残っていました。
これを引っ張るか、何かに引っ掛けるかして傷口が開き、
ばい菌が入って化膿したのだろう、とのことで、
思ったよりひどい状態のようでした。
獣医さんは言いました。
「治るまでは安全で清潔な環境に置いてあげてください」
おかあさんが気にしておなかを舐めるので、
なかなか治りませんでした。
私は厚手のタイツを使い、おなかを舐められない服を作りました。
改良を重ねて完璧な服が出来た頃、
やっと治りましたが、もう3週間が過ぎていました。
その間、私達夫婦は何度も何度も話し合いました。
私達のおかあさんへの想いと重ねた罪、おかあさんの幸せについて。
どうすることがおかあさんにとって一番いいことなんだろう、と。
けれど、どれだけ考えてもわかりません。
結局、私達は私達の想いを優先しました。
家にいてもらうことにしました。
もう、おかあさんと離れることは出来なかったのです。
そして、2004年1月12日、
一ヶ月の隔離生活が終わり、
おかあさんはももとくろまめに出逢いました。
おかあさんは「宇宙」という名前になりました。
私はこのブログでさんざん偉そうな、解かったようなことを書いてきました。
でも、ほんの少し前までは、
無知で意識レベルも低い、
ほんとうにタダの猫好きでしかありませんでした。
今でもまだまだ勉強中です。
宇宙の子供たちを忘れません。
だからと言って私の犯した罪が消えるわけではありませんが、
これからの行動でそれが問われるのだと思っています。
宇宙を幸せにしたいです。
のんびりまったりとした生活をして欲しいです。
そうすることは私の責任だと思っています。
でも、責任感以上にとてもとても愛しています。
宇宙の名前の由来です。
宇宙(うちゅう)=全ての命の源=お母さん
そして、「そら」という読みはあるアニメから来ています。
・・・それについて詳しく書くのはやめておきます。
おたくだと思われてはイヤなので!

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