ガソリンにかかる揮発油税の暫定税率が、4月1日に失効した。政府与党は、租税特別措置法が衆議院を通過してから60日たち、参議院で否決されたものとみなされる4月29日以降に、憲法59条の規定により衆議院の3分の2以上の議席を使って再可決し、成立をはかるつもりだという。
この衆議院の絶対多数の議席は、言うまでもなく、小泉郵政選挙が与党にもたらしたものだ。参議院で多数を失った与党は、この小泉元首相の「遺産」を最後の拠り所にしている。できれば来年の衆議院議員の任期満了まで、この議席数を保たせたいというのがホンネだろう。
だが、待って欲しい。自民党は、そもそも小泉・安倍の両首相は道路特定財源の一般財源化を主張していたのではなかったか。それがいつの間にか反古にされ、公明党出身の国土交通大臣はいつの間にか国土交通省官僚の「ポチ」と化している。
福田首相は、尻に火がついてきてからあわてて「一般財源化」を言い出した。新聞各紙は、朝日新聞までも、これが大英断であるかのように褒め称えている。そして野党に譲歩を求めている。何のことはない。振り出しに戻っただけなのに。
自民党の中にも、道路特定財源の原資としてのガソリンの暫定税率維持に疑問を持っている人がいるやに聞く。何よりも、小泉、安倍の元・前首相はどうなのだろうか。
このお二人には、ぜひ衆議院での投票にあたっては名誉ある「造反」をされるよう希望する。このお二人ならば、福田首相が解散して造反議員に「刺客」を立てても、立派に再選されるに違いない。
(4月4日朝日新聞「声」掲載.
担当者の訂正が入る前の原文。「小泉・安倍氏造反が筋では」は編集者がつけた)

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