自民党は、総裁選をやることで地上波テレビ局を総裁選報道で埋めて、新内閣発足後のまだ支持率が高いうちに解散すれば与党で過半数は維持できると踏んでいる。そういう手にやすやすと乗ってしまうのが日本人だ、という冷めた見方もあるだろう。日本人はやっぱり自民党が好きなのではないか?
もっとも、それで浮足立つ民主党の若手というのもどうかしている。やはり小沢さんに対抗馬を立てておくべきではなかったか?もしいまごろそんなことを言うのなら、自ら政治的センスのなさを暴露しているようなものである。
確かに福田さんが辞めたというニュースを聞いて驚きはしたが、よく考えれば、自民党にとっても福田さん自身にとっても、ありうる選択肢ではあったというのがホントだろうと私は思った。
しかしこれは、素人の後付けである。政治家なら、相手の出方を先読みして可能性を選択肢として分析しておかなければならない。もし本当に民主党も代表選挙をやるべきだったなんて後悔している人がいるなら、民主党の若手というのは、相手の出方が計れない人たちということになる。
だいいち、小沢さんはまがりなりにも昨年の参議院選挙に勝ったという実績があるのだから、よほどのことがない限り、次の総選挙までは党首を務めてなんら不思議はない。
もちろん、代表選挙に出たい人がいるなら出たって構わないけれど、自民党の総裁選挙と民主党の代表選挙が同時並行に行われたとしても、民主党の代表選挙の方が注目されることはありえないだろう。
むしろ自民党が総裁選挙で浮かれているうちに、選挙区を回って選挙準備をしたほうが民主党にとってはずっと良い筈だ。だいいち、新内閣ができれば必ず支持率は上がるというのが既定の事実にされているが、新内閣ができたのに、ふたを開けたら期待したほどじゃなかったということもあり得る。そうなれば自民党と公明党は、解散したくてもできない、しかしながら来年9月にまでにはやらざるを得ないところに追い込まれる。
「総理は他人事のようにものをいう」といわれて、「あなたと違って、私は自分を客観的にみられるんです」と福田さんはいったが、素直にとれば、改めて自分を客観的に見つめてみたら、オレはやはり総理の器じゃなかったことがいまさらながらよく分ったということかもしれない。
おかしいのは、明らかに総理の器じゃないとはじめから分かっている人がどんどん総裁選挙に立候補していることである。自分を客観的に見られただけ、福田さんのほうがマシだった、なんていうことになりかねない。

0