3月23日の産経新聞をはじめ、各紙がこの総務省発表の推計人口に関するニュースを報じています
その内容は
1)総務省が23日発表した2008年10月1日現在の推計人口(確定値)によると、総人口は前年に比べ7万9000人(0.06%)減の1億2769万2000人で、3年ぶりの減少となった。女性は2万人減の6544万1000人で、比較可能なデータがある1950年以降、初めて減少した。
2)女性人口は、年間の出生児数が死者数を7000人上回る「自然増」だったが、出国者数が入国者数を2万7000人上回る「社会減」だったため、全体で2万人減となった。
3)男女を合わせた自然増減では、出生児数が110万8000人、死亡者数が114万2000人で、3万4000人減だった。
4)女性が減少した要因について、総務省は「海外で長期滞在する日本人女性が増えていることが理由の一つと考えられる」と説明している。男性人口は、5万9000人減の6225万1000人だった。
総務省の担当者がどうしてことさらに、海外で長期滞在する日本人女性が増えていることが理由の一つと考えられる」との説明をマスコミ発表で差し挟んだのかはよく分かりません。
この件に関してはいろいろな見方も出るでしょうが、ははあと思ったことがあります。
結婚し、退職して永久就職という女性の生き方は、今ではよほどお金持ちに嫁がれたオクサマだけの話になってしまいました。女性もいろいろ権利に目覚めてきたのですが、それでも日本に住んでいると、当たり前のように「子供の教育費は親の責任」と思っている人は多いようです。
だが、先進諸国では教育費は公費で賄われる割合が高く、親の負担は全くないか、あってもわずかというのも珍しくありません。
スウェーデンでは大学の学費は誰もが無料であるばかりでなく、返済不要の教育手当が年間48万円程度支給され、必要に応じて年間最高85万円程度の学生ローンが受けられます。このローンは、なにも若い時だけでなく、定年まで借りられるそうです。
日本の大学だけが、いまだに高齢者の大学生が卒業したことをニュースとして取り扱ったりしますが、どうして日本はいつまでも大学を18歳から20代前半の人が行くところと決めているのかわかりません。
ドイツやフランスの大学は学費無料、英国は年間19万円程度かかるそうですが、4割の学生が学費免除を受けているそうです。米国は47万円くらいですが、奨学金の制度が発達していて、大学生は若者とは限らないようです。
日本は国立大学の初年度納入金が82万円程度、私立大学が131万円程度で、これをほとんどの場合、親が負担します。しかも金利が低い国の教育ローンは縮小されており、親の所得制限もあるとのこと。しかも滞納すれば、のちのちクレジットカードも作れなくなるようです。
文部科学省や与党の文教族、一部マスコミや地方の首長たちは、卒業式で日の丸、君が代が順守されているかどうかばかりに熱心なようですが、それだけが教育問題ではなく、親の学費負担の問題こそ考えてもらいたいものです。
それは可哀想だからお恵みをするのではなく、国家の将来にとって必要だから行う公的投資だということ、そして失業した人たちが生活の心配なく学校で学び直して、新しい再び仕事に挑戦していけば、それが国のためになるというふうに考えてもらいたいものです。
少子化対策が口先だけのものに終わってしまいがちなのも、子供の教育に対する経済的負担を親の責任に押しつけているからで、これでは子供が増えるはずもありません。そして、女性が海外に「逃亡」するのも・・・。
海外で、道路やハコモノではなく、教育費や職業訓練などに公費を大きく投入しているのは、親切だからではなく、それが「国益」(企業益にも)なるからでしょう。
問題は、子供は社会全体で育てるもので、「子供の教育費は親の責任」などではなく、まさに税によって子供のある人もない人も等しく責任を持つものだという発想の転換が、人々の側にも求められているということでしょう。

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