政府は、新型インフルエンザ対策としての「発熱外来」制度を廃止するということです。新聞は事実だけ伝えていますが(朝日18日朝刊)、どうやら「発熱外来」によってかえってインフルエンザに感染した人がいて、批判されたようだ。
熱が出た人は、自分がインフルエンザかどうか分かりません。インフルエンザでない人も、新型インフルエンザの人も一緒の発熱外来を訪れてしまいますから、かえってインフルエンザでない発熱者に感染してしまいます。
発熱外来なんて作ったのはどうやら日本だけのようです。しかも、厚生労働省は各医療機関に要請しただけで、病院の施設を改築するための予算措置があるわけではない。
そもそも新型インフルエンザは、致死率は低いが、感染力は高い。しかも、まだ潜伏期で発熱症状が出る前から感染する。
政府もようやく、透析を受けている人や糖尿病の患者など、インフルエンザによる合併症が心配される人たちを対象にした感染阻止対策に力を注ぐ方向に転換した。病院でそういう患者と、インフルエンザの人が接触しないようにしなければならない。
日本の感染症対策は、先進国の中では最低に近いらしい。結核も、HIVも日本だけが先進国の中で増えてる。院内感染も多い。
医療費削減政策の効果(?)なのか、効率も私立も病院経営は苦しくて、施設拡充がはかどらない。合併症予防のために、外来患者を分離しようとしても、プレハブ施設を急ごしらえするのがやっとである。
そもそも、インフルエンザ感染者と同じ飛行機に同乗していた人たちも、ホテルに監禁状態にしたことなどは、新型インフルエンザは実は弱毒性であったことが判明した今から思えば、「人権侵害」のおそれが高かった。
法定伝染病の場合とはわけが違うからである。
検疫法の持つ「隔離思想」が顔を出したことになる。そもそも、他に大きな病気のない健康体の人ならば、発熱しても、一定の時期が来れば確実に治癒するような病気には不適切な対策が、今回は大手を振って実施された。そして、そのために無駄な出費がなされた。
それならば、病院施設改築の予算に回すべきであった。
しかしながら、これらの人々が感染しないように、病院の施設を改築するための予算措置はされていない。したがって、秋からのインフルエンザが再び流行すると予測される次期へ向けての対策は、このままでは充分ではない。

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