今やみんなが知っている舛添厚生労働大臣が、東大の助教授として書いた本「日本人とフランス人――「心は左、財布は右」の論理」(光文社、1982年)を昔読んだ記憶がある。
そして彼は、「1990年自民党が野党になる日 中道革新政権の科学的根拠(光文社 1984年)」という本も書いている。あのころ、あの人はフランスのミッテラン社会党政権をよく知る人として、テレビにも時々顔をだすようになった。
ということは、彼のもともとの政治信条はむしろ「保守」よりも、「社民」に近いということなのだろう。それが、西部邁サンなんかといっしょに東大を飛び出して、紆余曲折があって、自民党の政治家に納まった。
あれ、「自民党が野党になる日」を昔書いた人が、自民党の政治家になったの?と私などは思ったものです。
そのせいなのかどうかは知らないが、大臣が「労働法、守られないのは日本だけ」と思わず嘆き節を漏らしたという記事が出ていた。(2日朝日)
その記事によると、政策要望に訪れた連合の内藤純朗副会長らとの会談で、「日本では労働法が順守されていない」と嘆き、「労働法が守られているか監視するのは労働基準監督署を抱える厚労省の重要な仕事だが、連合の大きな目標として、労働法を国民に意識させて」と逆注文もした、とのこと。
お里が知れる、っていうのはこのことかもしれません。大臣は、実は自民党じゃなくて民主党にいた方がよかった人かもしれません。これも政界「ねじれ現象」のひとつでしょうか。
舛添サンは労働法の現状について、「スピード違反は捕まるからみんな順守する。労働はもっと大事なのに、労働基準法も(労働者)派遣法も、みんな目をつぶっている部分が相当ある」と述べた、と記事は伝えています。
労働法軽視の背景には旧労働省の力不足があったとした上で、「最大官庁の厚労省になり、前みたいに弱くなくなった」、労働法の定着に向け、連合にも組織率の向上などの努力をしろと呼びかけたようです。
まあ、厚労省が「前より弱くなくなった」というのはどうかと思いますが、連合も大臣にそんなことで突っ込まれるようじゃ困るねえ。

0