民主党の政権公約(マニフェスト)について、ここで紋切り型に批判するつもりはございません。
紋切り型批判とは、つまり「子ども手当」月額2万6000円はいいが、財源はどうするんだ式の批判であります。
この点に関しては、11年度からの所得税の扶養控除を廃止するということがセットになっていますから、子どものいない専業主婦のいる家庭には「増税」になっているという点で、整合性は取れているように感じました。
民主党は女性に人気がない政党だという世論調査がよく出ていますが、昼は家にいてワイドショーばかり見ている専業主婦の多くは、4年前小泉さんに投票したから、そんな奴らは相手にしないと腹を決めたのかもしれません。
それはそれで見識かもしれません。(と褒めておく。)
しかしながら、あまり気に入らない部分もあります。「衆議院の比例定数を80削減する」というものです。私は小選挙区制に反対ですから、削減するなら小選挙区の議席を削減するべきでしょう。
それとあまり目立たないけれど、後で「騒ぎ」になりそうな項目がありました。
「米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結し、貿易・投資の自由化を進める」という項目があります。
私は、小沢代表の時代から民主党の目玉政策として打ち出された「農家の戸別所得補償制度」創設は、ひょっとしたらアジア各国とのFTAやEPA(経済連携協定)を促進することのセットなのではないかと思っていましたが、私の知る限り、どの報道機関もそのことを指摘していません。
米国との間での自由貿易協定ということは、当然、農産物の自由化も含むのでしょう。
そう思っていたら、日経新聞に国際大学教授の信田智人という人の短いコメントが出ていました。
「日米同盟重視を打ち出し、現実的な外交・安全保障政策を掲げたのは評価できる。ただ日米地位協定改定など米側とどう交渉するのか不透明。米軍再編の見直しはもっとはっきりしない。おもしろいのは日米自由貿易協定の締結。ネックは農産品の扱いだが、戸別所得補償の導入にあたってFTAの推進まで考えているなら非常に現実的な政策だろう」。
もっとも、日経新聞にしてからが、この信田教授の言葉を載せているだけで、それ以上は追及していないようです。
民主党は、戸別所得補償政策で農村票を掘り起こしましたが、農業関係者は「日米の自由貿易」をどう受け止めるつもりなのでしょうか?
かつて田中角栄さんは、国内の繊維業者に廃業した機械を国で買い上げるという発想で精力的に国内の調整を進め、それまでアメリカが強硬に日本の繊維製品の輸出規制を主張して難航していた日米繊維交渉を一度に妥結させたことがあります。
やはり小沢一郎サンは田中角栄の愛弟子ということなのでしょうか?戸別所得補償政策で、農産物自由化反対の声を収めようということなんでしょうか?

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