スーザン・ジョージをはじめとする、トランスナショナル・インスティチュートのメンバーによるG20に関するコメントです。
http://www.tni.org/detail_page.phtml?act_id=19872&banner=banner2&keywords
スーザン・ジョージ:
G20の打ち出す結論は、基本的な問題を変革することなく、周辺的な問題に関する規則を少しばかりいじる以上のものにはならないでしょう。
人々が、相変わらずの金融機関幹部に支払われる賞与の件で怒るのは理解ができます。それが取り上げられる話題の一つにはなるでしょう。
しかし、例えばAIGが支払う賞与は、アメリカの納税者から彼らが受け取るお金のうちの1パーセントのうちの10分の一にすぎません。
最近の会合で、G20が莫大な資金をなんの条件もなく、IMFに与えることに決めたのは、実にスキャンダラスな出来事です。IMFはホンジュラスへの借款を決めたばかりです。軍事クーデターが起きたのは、今年の6月だったではありませんか。
世界銀行は、化石燃料プロジェクトにまだ莫大な資金を貸し出していますし、真っ先に機構問題に関する資金にお金を依託すべき機関です。
結局のところ、G20は自ら選任し、自ら合法的と称する集まりに過ぎません。世界の172カ国はそこには代表されていないわけです。
G20は少しばかりのお化粧を施しただけで、基本的には国際的な銀行が自ら犯した愚行の結末から彼らを救い出そうとするものです。
彼らはまた次なる危機を用意しているように思えます。損失は社会化され(すなわち一般大衆が支払う)ことになります。そして収益の方は、私人の懐に入るのです。
今日も、そして明日も、金融経済の莫大な部分は、何も社会的な有用性を持たないものであって、純粋に単なるギャンブルだという事です。G20は、こういうシステムを維持してく役割を果たしています。
ウォールデン・ベロ:
G20は、インフォーマルな集団であって、合法性もなく、グローバル経済危機を管理する組織となっている。
ホワード・ワッチェル:
G20は、「チャット・ショップ」である。意味のない、論理的一貫性のない舞台上のパファーマンスであって、重要な話は公式会合の外で行われる。それが、ブッシュがそう考え、オバマが現在もそう思っている実体である。
一貫性のある答えは何もピッツバーグのG20からは出てこないだろう。G20のメンバーは金融市場の規制が必要だということについて、グローバルな規制もいくつかは必要になるということも含めて、非常に一般的な声明を出すことになるだろう。
だが、彼らは重要な決断は避けるだろう。それは、各国の規制システムがお互いに協力しあうことだとか、新しい実効性のある国際的な監督機関を作り出そうというようなことである。
アシン・ヴァナイク:
たとえ暫定的とはいえ、国際的な景気後退が静まりつつある今、ウォールストリートと米ドルの支配を終わらせる機会は、不透明なものになってきた。
国際的な準備基金を作ったり、いかなる政府による操作や、そのような政府が動かす巨大な金融上の利益からも独立して、モニターや究明を協力して行うメカニズムを作ったりするという動きが起こるという希望は、現在の所ほとんどない。
これは悲しむべきことだ。なぜなら、発展途上国や貧困国は国際的な貿易から作られる不均衡によって損害を被らないようにすることが必要としているからだ。
国際的な資金の管理が新しく、より公正なシステムとなるようにすることが重要であり、G20の各国政府は貧困者が必要とする憐れみを口にする間に、各国内外のエリート層の利益を後押しするような一般的な目標は捨てて、下からの圧力で真剣に動かされることが必要である。
ブルッキングス研究所が最近主張しているように、新しいグローバル・ガバナンスへ向けての有意義な第一歩にG20はなっているといえるだろうか?
冗談を言ってはいけない。我々が今見ているものはポスト・ブッシュ時代の努力とでもいうべきものである。
すなわちそれは、グローバル・エリートたちの利益を守りつつ、促進しようとするプロジェクトを、これまでと変わらず進める必要があると考える権力を、アメリカがこれからも維持していこうという幅広い合意を満足させるために、組織構造や調整作業を幾分か改善しようとしているものなのである。
そのために、グローバルな新自由主義的秩序を安定化させ、持続させる必要があるのだ。そこには、G20の国々の間の国家間紛争をうまく処理し、そのような不平等な秩序に対する不満や怒りが社会の下からの圧力となることにうまく対処しようというものでもある。
これはつまり、アメリカが他の主要国とより歩調を合わせ、経済的、政治的にそれら主要国に新たな国際的合意を作り出す場と重要な役割を与えなければならないということを意味している。
G20は、現在の国際秩序を改革する余地をできるだけ小さくするために注意深くプロジェクトを進めようとしている。言いかえれば、その特権と権力においてより安定的な「ビッグ・ボーイ・クラブ」を拡大しようとしているのである。

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