総選挙の期間中、ワイドショーは酒井法子さんの逮捕を巡る番組ばかり報道していたので、そのことが選挙結果にどう影響したかをマジメに調査した政治学者がいたようだ。
たしかそれによれば酒井法子さん騒ぎがなければ、民主党は320議席ぐらい取れたかもしれないという結果だったそうです。(
http://d.hatena.ne.jp/zames_maki/20090910/p1)
ホンマかいな、と思うようなハナシだけど、まあそれでもテレビは別の話題を探していただろから、結局のところそんなに結果は変わらなかったような気もする。
酒井法子さん逮捕の話が出て、押尾学クンの逮捕とか、六本木ヒルズで押尾クンと一緒にいた銀座のホステスさんが全裸で変死していたという話は、結局どこかに吹っ飛んだわけですが、女性の体には和彫りの刺青があったとかいうと、かなり刺激的な話のはずで、普通ならワイドショー独占の話題のはずだけど、結局酒井法子さんの話題が圧勝した。
私には、もし酒井法子さんも押尾学クンの事件も表面化しなくて、ワイドショーが「真面目」に政治報道をしていたら、それでももちろん自民党は負けただろうけど、負け幅が少なかっただろうという感じがしてならない。
4年前の選挙は「小泉の勝利、メディアの敗北」だったといった人がいるけど、「麻生の浅知恵、民主党の棚からぼた餅」ってところだろう。
佐野眞一さんは、YouTubeで酒井法子さんが手話をしながら「碧いうさぎ」をうたっているのをよく見ていたら、週刊誌のバッシング記事で失語症になった美智子皇后さんが阪神淡路大震災のお見舞いに訪れたとき、バスの中から「がんばってね」と手話で被災者を励ましていたのを思い出したという。
「皇后のイメージと重なるそののりピーが、あろうことか覚醒剤に手を出した。戦前ならそう騒がれただけで不敬罪ものだろう。」(「テレビ幻魔館 のりピー魂!」(ちくま 2009年。10月号。NO463)
なんだかずいぶん飛躍した発想かなと思ったら、
「私はクラブで狂喜乱舞するのりピーの映像を見て以来、彼女の隠れたファンになった。あの映像を見て清純派ののりピーはウソだったのか、騙されたと怒っているようでは芸能の奥深い世界を理解しているとは、言い難い。」と佐野さんは言う。
芸能の奥深い世界って何だろうか。
「芸の神髄は虚と実の間にあるというのは、近松門左衛門以来言い伝えられてきたことだが、」報道の通りに清純派と覚醒剤を”あぶり”で吸引する本格派との表裏をこれまで演じ続けてきたのだとすれば、「これほど見事に虚と実を使い分けた芸能人はいなかった」ということらしい。
「暴力団から皇室まで、怖いもの見たさでうずうずする視聴者の好奇心をことごとく満足させてくれるのりピーは、まぎれもなく正真正銘の芸能人である」ということだ。
ああそうか、皇室の人たちはつまるところのりピーほどには表と裏の世界を演じきれないから、失語症やら適応障害になっちゃうということか。

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