産経新聞によれば、民主党の長島昭久防衛政務官は5日夜、来年1月で期限切れとなるインド洋での海上自衛隊の給油活動について、岡田克也外相らが「単純延長しない」と言及していることに触れ、「国会の承認をつけて出すべきだ。そういう単純延長でない形(を考えたい)。法律の枠組みを変えて、できれば補給(給油)活動を続けるべきだ」と述べました。
秋の臨時国会で、派遣の国会事前承認を付け加える新テロ対策特別措置法の改正を行って、活動を継続すべきだとの考えを示し、同時に「アフガニスタンの民生支援の柱も日本が立てていきたい」とも述べました。
現在、アフガニスタンに6万8千人のアメリカ兵が送られています。このほか、NATOの下に国際安全保障軍(ISAF)が50カ国計3万5千人いるといいます。これに加えて米軍を1万から4万5千人増派したいという計画もあるらしい。
もしそうなれば、20年前ソ連がアフガニスタンに派兵した人数をいよいよ超えることになるそうです。
さらにいえば問題はアフガニスタンに止まらず、すでにNATOなどはパキスタンにも介入していることでしょう。米・NATO軍のスタンレー・マクリスタル総司令官は、戦争がアフガニスタン国内に止まらず、パキスタンにも拡大すると見ているようです。
ワシントンポストが9月21日に報道した所によれば、マクリスタル司令官の評価報告書には、アフガニスタンの反政府ゲリラが明らかにパキスタンの支援を受けており、ゲリラの主だったリーダーはパキスタンにいて、パキスタン軍情報部の支援を受けていると書かれているそうです。
もちろん、アフガニスタン反政府ゲリラとパキスタン軍情報部はアルカイダと密接な関係がある、とも書かれているとのこと。
そして、アフガニスタンの主要な3つの反政府ゲリラのうちの少なくとも一つは、1978~1992年のソ連軍との戦闘でCIAから資金援助を受けてきた。そして1990年代にCIA長官を務めたのは、現在のゲーツ国防長官である。
このような過去があるので、現在のアメリカの政権内部もアフガニスタンに軍の要請通りに増派をするかどう、まだ意見はまとまっていない。
いずれにしろ、アフガニスタンでのアメリカの戦争は明らかに「負け戦」になりつつある。かといって、パキスタンはまぎれもなく核兵器保有国であるのだから、アメリカにとっては引くに引けない。
国連の要請があれば自衛隊は海外に派兵できるというのが小沢一郎さんの意見だったけれど、たとえできるにしても現在のアフガニスタンの状況を見れば、アフガニスタンに行かせられる状況ではない。それは民主党も自民党も同じ見方のようだ。
こうなると、冒頭の長島防衛政務官の発言の真意は、「負け戦なんだから給油ぐらいでお茶を濁しておくほうが安くつく、アフガニスタン本土に派遣してくれなんて言われたらたどうしよう!」という意味に思えてくる。

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