保険会社の代理店の人が、家の地震保険の契約更新ために来たら、「おたくは車庫のスペースがあるのに、クルマにはお乗りにならないのですか」と聞いてきた。
「ええ、東京近辺に住んでいる限り、電車でどこにでもいけますから」と答えた。
私はクルマの免許はあるが、二十歳ごろに取って1〜2回運転しただけで、ついに自分のクルマなんぞ持ったことはない。死んだ母親がクルマを運転していたが、これも70歳くらいになったころ止めた。
トヨタはもはや日本国内では収益を上げられないからこそ、海外、とくにアメリカでの生産を重視した、ということを思い起こさせる。
クルマがなくて不便と感じたのはニュージーランドに住んでいた3年間くらいのものだけど、それは電車というものがあまりなかったからだ。オークランドならバス路線があったけれど、だいたいどのバスがどこを通るかは、理解するまでに時間がかかる。
ホントを言えば、20歳のころ免許を取ったときクルマを持とうとは思ったことはあった。しかし、よく話を聞いてみると、クルマというのはクルマ本体を買うだけでなく、毎月保険を払わなければならいし、ガソリン代もばかにならないし、と計算して、「じゃあヤーメタ」と思ったのである。
ところで、山手線の混雑率が緩和されたという新聞記事があった。JR東日本は先月19日で、平日朝のラッシュ時(朝から午前10時まで)に行っていた「6扉車」の座席収納を終了した。
山手線の朝の座席収納は、車内混雑緩和策で1991年12月に導入された。19年ぶりに全車両で朝から座席が使えるようになった。6扉車も来夏までに姿を消すという。
朝日新聞「山手線、朝も全座席使えます 混雑率がちょっぴり改善」(2月17日)という記事によれば、「周辺の路線が整備され、さらに山手線の列車増発や企業の時差出勤も進み、上野―御徒町間の昨年度の混雑率は204%に改善している。山手線では2017年度末までに全29駅のホームに転落防止用のホームドアを設けることになっており、車両を統一する必要がある。このため、6扉車を来夏までに廃止し、4扉車に戻す予定だ」とのこと。
だが、最大の理由は少子高齢化というか、人口減社会になったからということなんだろう。それにこのデフレだものね。
よく少子高齢化になれば、ラッシュアワーがなくたって暮らしやすくなるという人がいたけれど、これまで鉄道会社の経営が成り立っていたのはラッシュアワーになるほど乗客がいたからだろう。
それに東急や西武などを見てわかるように、高度経済成長時代は鉄道事業そのもので収益があったというよりは、沿線の不動産開発やらデパートやらを一緒にしてビジネスが成り立っていたわけである。
人口減少社会でラッシュが緩和されたと喜んでいるうちに、10年もすれば川崎市から渋谷や新宿に行くのも、時刻表をしらべつつ、何時に電車が来るとかを気にしながら出かけなければならなくなるほど、電車やバスの便数が減ることになるのかもしれない。
まあ、オークランドに住んでいたときのことを思えば、それもありかなと思う。

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