リーマンショック以来、欧米各国は赤字財政も構わずに政府支出を増大して景気対策に専念しました。一国では政府支出を増大しても、それほど景気を押し上げる力にはならないが、国際協調すれば効果はあるということだったようです。
しかしながら、ギリシャ危機以後、欧州では財政再建の方向に各国政府が動き始めています。これに対してアメリカは、景気の減速を怖れて、各国にさらに財政出動を求め、お互い政策的に対立しています。
いずれにしろ、景気対策が行き詰まって財源が枯渇するという状況がうまれつつあるということなんでしょう。
どの国も、景気対策に行き詰まり、その腹いせに中央銀行に圧力をかける傾向があるようです。
日本もまた、参院選で躍進したみんなの党が、日銀法改正案を次の国会に出すと息巻いています。
だが、みんなの党の法案をみると思わず首をかしげたくなるものがあります。
中小企業者に対する金融の円滑化を図る必要があると認めるときは、日本銀行に対して、金融機関の有する中小企業者に対する事業資金の貸付けに係る債権を買い取るように政府が要請するというような内容が記されているからです。
そしてその債権の買取りで日本銀行が損失を被れば、政令で定めるところにより計算した金額の範囲内において、損失の補てんを行うというのです。
もし政府が財政支出としてそんなことをすれば、みんなの党はバラマキだと非難するんでしょうが、日銀がやるのなら構わないということのようです。
なんだかよく分からない話です。
渡辺代表は、選挙後のインタビューで、日銀法の改正によって、失業者100万人が救われるなどと強調していました。
「おや、公務員制度改革をまず第一にいうんじゃなかったの?」と不思議に思いました。
今は、もはや財政支出の増大はできないし、そしてまたしても時の与党が消費税で敗北ということで、増税の話もやりにくいというそういう状況です。
そうなると、民主党とみんなの党の政策で一致しやすい点は、金融政策の活用と見たのかもしれません。
つまり、みんなの党が選挙前に、「民主党とは絶対に組まない」と言っていた前言が撤回される前触れじゃないのか?などということを勘繰りたくなります。
しかしながら、たとえ中小企業に対する事業貸付けに関する債権を日銀が買い取ったとしても、それが中小企業の新しい投資に結びつくのだろうかが疑問です。
最近の大企業の決算を見ると、多くの企業が手元資金の確保を最優先して、投資を絞り込んでいる傾向が強まっています。
地方の中小企業などは、借金の重荷から逃れたとなれば、新しい事業を開拓するよりも、会社を整理し、従業員に退職金を払って会社を整理する方向に向かう人が多くなるような気もするのですけど・・・。

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