朝日新聞がウィキリークスによって明らかにされたアメリカの公文書から海兵隊のグアム移転に関する費用を水増ししていた問題が明らかにしました。
さらに共同通信は8日に、「日本の原発テロ対策に米が憂慮」という記事を発表しています。これまたウィキリークスによって明らかにされたアメリカの公電によるものです。
(以下引用)
日本各地の原子力発電所のテロ対策に、米側が憂慮を示していたことが内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」が7日公開した米外交公電で明らかになった。
原発の警備体制をワシントンに報告する一方、原発テロを想定した訓練が台本通りの進行に終始していることを批判している。
07年2月26日付の在日米大使館発の公電によると、米側は各地の原発に武装警官を配置できないか日本政府に質問、文部科学省は「原発の事業者と警察当局が判断する」とした。
公電は民間警備員による武器携行は法律上不可能との日本側の説明も記載しており、米側が武装部隊の必要性を念頭に置いていることをうかがわせる。
米側は特に茨城県東海村を「主なプルトニウム保管施設」と指摘。武装部隊がいないとして日本側に事情をただしたが、文科省は「武装警察の配置が正当化できるほどの脅威はない」と説明したとしている。(以上引用:改行を加えました)
この記事から分かること。それはまず、原子力施設は冷戦時代の大国どうしの抑止と均衡の時代と違って、テロと地域紛争の時代には極めて脆弱で危険になったとアメリカ側が認識しているということでしょう。
アメリカの目から見れば、確かに日本の原子力発電所は、以前はさほど気にならなかったけれど、現在になっては極めて不安な存在に思えてきたということなのかもしれません。
さらにアメリカは、日本が核廃棄物の最終処理に適切な方法を持ち合わせておらず、結果的にプルトニウムを大量に抱え込んでいることに内心懸念を持っているのではないかということが推測されます。
そう思っていたら、独立総合研究所社長で原子力委員会専門委員の青山繁晴サンがテレビ朝日の番組でこういう発言をしたそうです。
「(国務省・国防総省が)浜岡原発を止めろと猛烈な勢いで4月上旬から日本政府に圧力をかけていた。何故なら、浜岡原発で何かあれば偏西風の関係から放射性物質が横須賀の第七艦隊に向かうからだ。」
つまり、浜岡原発停止を菅サンが決断したのは、「日本国民の安全というよりも、米国からの圧力」があったからだとおっしゃりたいのでありましょう。
浜岡原発で福島第一のような事故が発生すれば、横須賀をはじめとするアメリカ軍基地が使えなくなり、米軍の戦略に影響することをアメリカ軍は心配したのは確かでしょう。
現に、福島第1原発事故後の3月21日に、原子力空母ジョージワシントンは横須賀を出港。4月20日に1カ月ぶりに帰港しました。
定期メンテナンス中だったため日本人従業員らを乗せたまま、3月21日、横須賀基地を出港し、4月に2回、作業員交代などのため長崎・佐世保港に入港したといいます。
これは明らかに、福島の事故による放射能汚染の影響を避けるためとみられます。1か月間、西日本の洋上を航海していましたが、原発事故が沈静化しつつあると米国防総省が15日に米軍家族らの自主退避を許可する措置を解除したことを受けてのことだと考えられます。
まあ愛国者(?)の青山繁晴サンにしてみれば、浜岡原発の停止は横須賀基地を想定した「米国の圧力」のせいだといいたい気持ちが強いのは分かりますが、逆にアメリカ軍にしてみれば、自らの安全を第一に考えるのは極めて合理的であって、日本政府に「要望」を述べるのはごく当然のような気もしますが・・・。
まあ、国内にアメリカ軍施設があることは無能な日本政府に対する抑止力として機能していることになり、日米関係を考えれば一つのメリットだなんて「自虐的」なことを申すつもりはございませんけどね・・・。
素人考えですが、「核」を巡って、日米に隙間風が吹いているのかなどと、考えたりするのであります。

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