文科省は、福島原発事故が進行中の今、学校活動に関する放射線量の基準を出しましたが、福島県が測定している各学校の放射線量は、通常の安全基準をはるかに越えていました。
放射線を扱う研究機関などで、管理区域として従事者以外立ち入り禁止とされるのは、年換算で5.2ミリシーベルト、時間当たり0.6マイクロシーベルトです。
この放射線管理区域には、専門の知識を持った大人でも必要最小限の時間しか入ってはならないとされています。
そして、18歳未満の者は、このような場所には完全に立ち入りが禁止されます。
しかしながら文科省は、そうした基準を無視して、時間3.8マイクロシーベルトを学校活動に関する基準に決めました。時間3.8マイクロシーベルトとは、年換算33ミリシーベルトになります。そしてさらに、屋内活動の分として6割に見積もって年20ミリシーベルトを基準として示しました。
これは、射線管理区域をはるかに越えて、大人でさえも十分に危険な水準であり、これは通常の原発労働者の被曝上限と同じです。それを、小さな子どもに対して基準として示しました。
おそらくこれは、子どもの健康を守るためにはどのくらいの放射線量が適当かを考えた数字ではなく、これだけの数字ならどれだけの子供を避難させることになり、そのとき国が負担すべき費用や賠償額はどのくらいになるかを考慮した数字なのでしょう。
もっと言えば、今いる母親や子どもを避難させないためには何マイクロシーベルトになるかという数字をひねり出したのだと考えられます。
水俣病から薬害にまで、全体の賠償額を抑えるためにどれだけ患者数を認定するかが先に立ってきたという歴史はまた繰り返されたということでしょうか?

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