さる韓国人ビジネスマンの質問。
「私は、日本が原発をやめる必要はないと思う。原発をやめて、電力が不安定になれば、日本は産業上、先進国でなくなるかもしれない。今回の事故は不幸な出来事だったが、これを教訓に、新しい安全な原発を建設すればいい」
これに対して、ワタクシの答え。
「あなたは、新しい安全な原発を作ればいいとおっしゃるが、それは日本の現実を見ていない意見だと思う。
いくら『安全な原発です』と言っても、『はいそうですか。じゃあ私の町で建設を受け入れましょう』なんていう地方自治体の首長がいるとは思えない。いるとすれば、もう既に原発を受け入れて、多額の補助金を得ている自治体だろう。しかし、それだって、かなり難しいのではないか。
ということは、一番ありそうな想定としては、もう老朽化した原発をさらにこれからも使いまわすということだろう。
確かに今回事故を起こした福島第一原発の原子炉は古い型のものだったようだ。外部電源が喪失しても炉心を冷却できるようなタイプの原子炉もあるのかもしれない。しかし、それの建設を、いったい日本のどこに作るのか?
今回事故を起こした原子炉は、アメリカのGE社の非常に古い型のもので、70年代に日本に導入かれたのち、アメリカでは設計した技術者自身が欠陥を指摘したが、その指摘は無視されたそうだ。日本にもその欠陥に関する調査報告書は伝わったのだが、国も電力会社も結局、ことの重大性をだれも感じなかったらしい。
だいたい、技術に絶対安全はあり得ない。ワタクシは今回の事故を教訓とした新しいタイプの原発は、たしかに設計上はあり得るのかもしれないが、現在の日本にそれを新しく建設することがそもそもできないという、冷厳な事実をしっかりと見つめながら議論をしていただきたいと思う。」
「技術的には可能でも、社会的なハードルが高く、とてもそれは建設できない?」

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