小泉純一郎元総理は、ほとんど毎日、短時間記者からの質問を受けて、短いコメントを出し、テレビ局にとって「絵」になりやすい素材を提供していました。テレビ局の人間に好印象を与えることで、高支持率を維持していたともいえるでしょう。
しかしながら、安倍元総理などはその手法を踏襲したことが返って災いしたようでした。
総理の発する、短いコメントがどうも面白くない。
のみならず、かえって突然の質問にイラついたり、あるいは、うろたえる表情が大写しになって、逆効果だったようです。
以後、毎年入れ替わる総理大臣はどうも「小泉の呪縛」から逃れられない感じでした。
もっとも、コイズミさんのコメントなるものも、よくよく後で考えると、なんだか意味不明なものが多いようですが、とにかく総理番の経験の浅い政治記者たちを適当にあしらうのが抜群にうまかったということでしょうか?
見ている人たちは、つまらない質問をする若い記者のあしらい方を小気味よく感じ、いつしか自分がソーリになった気分になっていたのかもしれません。
「失言を警戒?首相「ぶら下がり取材」取りやめ」
(10月3日 読売新聞)
野田首相は3日、記者団の質問を毎日、短時間受ける「ぶら下がり取材」に応じない意向を明らかにした。
記者から連日質問を受けることを避け、失言や政権の問題を追及されることを回避する狙いがあるとみられる。これにより、首相が国民に語りかける機会が少なくなるのは確実で、都合の悪い時は記者会見が見送られる可能性があるだけに、首相の発信の仕方を疑問視する声が広がっている。
首相は3日、視察先の埼玉県朝霞市内で記者団に、「『ぶら下がり』という形ではなく、会見方式のようにじっくり尋ねてもらい、答えるものをある程度の頻度でやりたい。(視察)現場に来た時のぶら下がりは適時行っていきたい」と述べた。ただ、記者会見開催のタイミングについては、「必要に応じてやる」と述べ、言質を与えなかった。
首相は9月2日の就任後、取材対応について約1か月かけて検討してきた。首相に近い複数の民主党議員が「ぶら下がりより、必要な時に発信した方がいい」「準備にも時間がかかるし、やめるべきだ」などと進言した結果、最終的に首相が判断したようだ。
これに関連し、藤村官房長官は3日、首相の記者会見について「どういう形でやるか、まだ確定していない」と強調した。だが、毎日ぶら下がり取材に対応してきた自民党政権時代や鳩山政権時代に比べて、首相が自らの言葉で自らの考えを国民に説明する機会が減るのは間違いない。

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