消費税増税法案は3党合意で成立するということは、ほぼ確実だろう。
確かに、最後に来て造反して離党まで行くのかどうかという小沢グループの動きは予断を許さない、とは言える。
ただし、小沢グループが造反しても、消費税増税法案の採決は動かないだろう。衆議院で民主党から反対にまわる人が出ても、自民党の119、公明党の21、国民新党のほとんどは賛成に回るからだ。
ただ、伝えられているように、54人以上が反対したうえですぐ離党するとなると、民主党は衆院480議席の過半数を割り込んで少数与党になる。
もしも、離党した小沢新党が内閣不信任案を提出し、それに解散を優先する自民などが同調すれば、増税も吹っ飛ぶことになる。内閣不信任案は法案審議より優先的に審議されることになる。
内閣不信任案の提出は50名以上が必要ということだそうである。
しかしながら、そうなるにはよほど小沢グループの結束が固さが必要になるだろう。
消費税法案の採決の方法は、起立採決だということである。記名投票と違い、起立によって採決する方法では、だれが起立したかは厳密にはわからない。
記名採決は、出席議員の5分の1以上からの申したて等が条件となっている。
民主党執行部は、造反議員の処分について厳しく対応するというように言っているにしても、過去の事例では、法案への反対で除名した例はない。
ということは、せいぜい党員資格停止程度の処分になる可能性が高い。そもそも起立採決ではホントは誰が反対したか、分からないだろう。
しかしながら、甘い処分だろうがどうだろうが、民主党に見切りをつけて、自ら進んで離党する者は出るかもしれない。しかし、それは少ないだろう。
与党幹部にすれば、初めから甘い処分にしますよという訳にはいかないだろうが、大量離党されて少数与党になるよりは、チョロチョロと数人が離党するほうがマシということになるだろう。
そう予測すると、採決に反対する議員はそれなりの数が出るとしても、彼らの多くも離党まではしないだろう。与党執行部は、離党者は勝手に出ていっても結構です、という戦略をとる。
後は自民党などが提出してくる不信任案や参院の問責決議案をどうかわすかになり、9月8日までの延長国会を淡々とこなして、9月の代表選になだれ込もうということになっているのだろう。
そうなると、9月の民主党代表選では、反対勢力は既に離党しているか、党内に留まった人たちも、党員権停止処分で一掃されており、野田首相の再選の可能性が高まることになる。
去年の菅総理のように、衆議院で消費税増税法案(去年は再生エネルギー法案)が通ったところで首相を辞任するから、それまではやりますという話ではない。野田首相は、明らかに9月の代表選挙を勝ちぬくつもりだろう。
しかし、もしこの予測が当たるとすれば、民主党はマニフェストに反して自ら増税を決め、自民党は解散・総選挙に追い込めず、決まったのは消費税増税だけということで、なんともツマラナイ結果になる。
そして、低支持率の野田首相が民主党代表に再選され、国会は解散のされないまま、来年夏の任期満了まで続くというなんとも閉塞感極まりない結果になる、ということなのである。
もしハプニングが起こり得るとすれば、小沢グループか党執行部のどちらかが頭に血が上って、必要以上に相手を追い詰めることになったときぐらいか?

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