アタシは、そもそも最初から民主党政権に期待はしていなかった。なぜなら、マニフェストに疑問があったからだ。
09年の選挙前にマニフェストをきちんと全部読んだ人がどれだけいたのだろうか。
正直言って、全部読むのは苦痛であった。なぜなら、前後に矛盾するところがあったり、「オヤ、これとあれはどうやって整合性を取るつもりなんだろう」という部分があったからである。
つまり、一貫する「思想」めいたものに乏しい文書を読まされるのはつらい、ということだ。
しかしながら、あれもこれもいろいろと、とにかく自民党の政治に不満な人たちが持ちこんだ政策を詰め込んだ感があったので、たぶん、人によっては自分たちが主張したことが盛り込まれていたことに満足して、全体を見ずに、「これはすごい」と思った人も結構いたのかもしれない。
まあ、そんなことより、別に先見の明を自画自賛するつもりはないが、明らかに原子力発電推進ととれる部分があったことに、疑念を抱いたのである。
そしてなにより不満な点。それは、労働組合が支援している政党であるにもかかわらず、労働者にとっての雇用の安定をどうするのかが良くわからないところだった。
小沢党首(当時)の発言から見ると、終身雇用制の復権みたいな話は漏れ聞こえてきていたが、まあそりゃないでしょという気分にさせられた。
小泉時代のように、日本的雇用の終焉みたいな話の行き過ぎの反動として、そういう話が出てきたのかもしれないが、もはや高度経済成長時代のように、一致団結・会社ぐるみの箱弁当で突撃すればすべてうまくいくという時代ではあるまい。
小泉政権を継いだ安倍政権は、「再チャレンジ」だといって気を持たせたが、結局そこにはあまり中身のある話が続かなかった。今度、安倍サンご自身は「再チャレンジ」するにしても、「おいおい、アンタのことじゃないよ」といいたい気分にさせられる。
時代に合わなくなった企業はスクラップするが、労働者に新しい産業へ移る再教育の機会を大きく与えることで、産業の革新と労働力が古い産業から新しい産業へ移る仕組みを作る視点が見られなかった。
日本ではどうして、労働者の保護といえば、クビにしないことばかりが優先されるのだろう。
ジリ貧の会社を存続させ、働く人が首にしないことに補助金を出すことが働く人の幸せにつながるんだろうか。
むしろ転職することが新しい能力の開発につながるような政策が、どうしてこの国の政治には欠けているのかと、今度の各党の政策を見ても思うのである。

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