数日前、中国が防空識別圏を一方的に設定したと大騒ぎになったけど、まあ落ち着いて考えてみなはれや、というところに落ち着いてきた。
だいたい、防空識別圏の設定と国境線の区別がつかないで興奮している人が多い。ヨーロッパの陸続きの国々では、防空識別圏が他国の領土に入り込んでいるところも多い。
原則から言えば、どの国も防空識別圏を設ける権利はある。そしてそればもっぱら軍の専権事項である。
しかしながら、それは命令ではない。あくまでも、この範囲に入る民間航空機は事前に届け出てくれることを要請するという性質のものである。
この点、今回の中国軍のやり方は要請という範囲を超えて、命令に近い感が「言葉づかい」上あったということで、いささか国際常識をはずれていたということである。
なお、これをもって中国では軍が政府や共産党のコントロールを超えて暴走しつつあると言えるのかどうか。これはにわかには断定はできない。要するに、これだけを持って中国軍の「暴走」を判断するには、材料として大いに不足しているということである。
まあいえそうなことは、どうも軍の暴走というよりは、中国国内の一部の「ネット世論」のなかにいささか軍事オタクめいた人々がいて、「防空識別圏」でやたらと盛り上がってしまったことに軍が煽られたという側面のほうが可能性があるような気がする。
まあ、軍の暴走というよりは、「世論」の暴走なのかもしれない。

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