国連人権理事会は「イスラム国」のイラクにおける人権侵害を非難する決議を全会一致で採択した。国連人権高等弁務官事務所に、直ちにイラクに調査団を派遣して人権状況の現状を調べるように求めた。
人権理事会はこれまでシリアのアサド政権に対して、またガザ地区におけるイスラエルの軍事作戦に対する非難決議を採択したものの、シリアに対してはロシアと中国が反対し、イスラエルに対してはアメリカが反対した。しかし、「イスラム国」の宗派や宗教が異なる人々、女性への人権侵害を非難した決議には反対する国はなかった。
もちろん、イスラム原理主義の過激な人権侵害行為は批判されるべきだが、「イスラム国」に集まる人々のなかに、西欧社会への移民二世、三世で西欧諸国で生まれ、教育も受けながら社会に受け入れられずに被差別感情を抱いている若者がかなりいて、彼らがイスラム原理主義的な思想に惹かれ、さらには「過激派」に参画するようになることも見過ごすべきではないだろう。
イスラム原理主義は欧米社会の対極にあるものというより、欧米社会が排除した人々や、人権を抑圧した人々の、欧米社会への復讐でもある。

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