現代人は無宗教だという。特に日本人は無宗教のヒトが多い。しかしながら、それはにわかには信じられない。
神社の氏子と寺の檀家の数を足すと、2億人近くになるらしい。いや、あんなのは宗教じゃないという人もいるが、まったく無宗教の葬式を選択するわけでもない。とする単に創価学会だのキリスト教だのという、いかにも教義がしっかりしている宗教団体にはためらいがあるというだけの話である。
さらにえば、現代社会は宗教の代用品がある。資本主義は、原価が数円の紙切れを1万円の価値があるものと信仰している。カネがすべて、市場に任せればすべてうまくいくという新自由主義は、どうみても宗教の代理の役割を果たしている。
そして、資本主義教においては御利益がなさそうな人々、この世では資本の恩恵に浴せない人々の群れが、最後のよりどころとするのが、ナショナリズム。
新自由主義とグローバリズムが伸びれば伸びるほど、ナショナリズムは強くなる。資本主義の勝者はしょせんごく一部だから、ナショナリズムが人々の心のよりどころになり得る。

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