アメリカはレーガン大統領の時代の1985年に日本と西ドイツに政治力で圧力をかけて、ドルの価値を切り下げた。円の価値はドルの二倍になった。自国の通貨を切り下げることで経済の息を吹き返させようと言う点で、今の日本とよく似ている。
同時に税制を変えて投資の見返りを増やすことで富裕層の資金がリスクを取って新しい投資に向かうように誘導しようとしたり、労働や社会保障の規制を減らして人々の生活におけるリスクを増やしてさらに厳しい労働環境を受け入れさせようとした。そして、報酬を業績に反映させていわゆる頭の良い人間がさらに知恵を出して技術革新が進むように試みた。
しかしながら、現実は人々が悪化した労働環境を嫌って、できれば汗水垂らして働くような3Kの仕事は避けたいと思うようになり、金持ちは手持ち資金をリスクにさらさずに、できうる限り温存することを考えるようになり、教育における規制の撤廃と過度な能力主義の導入は、かえって生徒や教師をして個人の独創性の発揮を阻害する方向に進んだのである。

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