円安になっても輸出は伸びないのほ誤算だ、という論調が多い。
アベノミクスが始動して2年あまりだが、円は米ドルに対して約40円安くなり、輸出企業は円安でシェア拡大とは行っていない。
円安でも輸出は伸びていない。円安になれば企業が日本へ戻ってくるという話はどこへいったのか。
しかしながら、よく考えてみればあたりまえである。
日本の電子業界などは電化製品の部品がほぼ全て海外製だ。ということは、円安になると部品の輸入価格は上がる。
組立産業の8割は部品だから、当然、製品原価も高くなる。
そう見れば、輸出競争力が伸びないのは当然であって、誤算などではない。
また、円安になっても日本企業が国内に戻ってこないのも当たり前である。
海外に作った工場は新しく、国内に残っている工場は古い。今さら数十年前に作った工場に戻るのは面倒だろう。
それに、撤退するとなれば、現地でリストラをする苦労を負わなければならない。中国の賃金が思ったより早く上昇したとしても、工場を閉鎖するのも簡単ではない。
それに概して海外の工場は規模が大きい。だいたい海外では1つの工場で数千人から1万人が働いている。
日本に工場を戻したら、同じような規模で再開できるのだろうか?
この20年間で日本は大学進学率が上がった。ブルーカラーは激減している。中学・高校を卒業してすぐに工場で働く人は少なくなってきていた。
経済学の理論を勉強した人は、こういう日本の企業の実情をきちんと見ていないのかもしれない。頭の中の理屈だけで物事は動かない。

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