「それでは、日本版NSCとは何をする機関なのでしょうか。端的に言えば、『日本が戦争を行うかか否かについての国家意思を決定する機関』です。大日本帝国憲法下で『統帥権』と呼ばれた事柄に従事するのが、日本版NSCです。旧陸軍に、ごく一部の陸軍大学校卒のエリート将校だけに伝授された『統帥綱領』(1928年制定)『統帥参考』(1932年制定)という軍事機密文書がありました。」(p158)
佐藤優「イスラエルとユダヤ人に関するノート」(ミルトス刊)を読むと、佐藤氏は外務省在職中からずっとイスラエル寄りに日本の外交を動かそうとしてきたことが分る。彼が外務省を辞めることになった事件も、ロシア研究者をイスラエルでの国際会議に参加させることに関して資金を「流用」したということだった。
彼はその後外務省を去って執筆活動に入ったが、政治的に右から左に幅広い媒体で書いている。しかしその多作な作品の底流には、どうやら「アラブ寄り」の日本の世論や外交政策の方向をイスラエル寄りに傾けるというか、そういう空気を少し入れようという動機があるようだ。
以下の引用は2013年に雑誌に書かれたものが本に収録されたものらしいが、なんだか最近の起こった安倍政権の外交上の動きと照らし合わせると、おやおやと感じるものがある。(その他、この本に収められている「孫崎享批判」も、興味深いけど。)
「現代の統帥機関である日本版NSCが設けられれば、その指揮監督下にある一部の国民に対しては、特別のルールが適用されます。これが特定秘密保護法の本質です。特定秘密法が治安維持法に該当するという批判は、頓珍漢です。」
「特定秘密保護法はこのような(治安維持法のような)治安立法ではありません。日本版NSCという統帥機関の創設に伴って、戦争の準備、遂行のために必要な秘密を保全するために必要とされる法律です。大日本帝国憲法下の国防に関連する軍事技術面の秘密保全を定めた軍機保護法(1937年に大幅改正)、国防に関連する政治面の秘密保全を定めた国防保安法(1941年)に相当する法律です。」
「日本版NSCが創設されると、日本とイスラエルの防衛産業面の協力が飛躍的に進むことになります。」(p160〜161)
「IT産業は軍事と切り離すことができません。イスラエルと日本がIT産業で協力するということは、同時に防衛協力を進めるということです。『朝日新聞』は、特定秘密保護法案には反対していますが、日本版NSCの創設には反対していません。さらに日本とイスラエルの防衛協力を事実上後押しする記事を掲載しています。国際社会が帝国主義化する流れを『朝日新聞』の記者はよく理解しているのだと思います。」(P165〜166)
この本、ちょっと危険だが中味は検討すべきものあり?

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