井筒俊彦「イスラーム文化」に、確かイスラム教の特徴として聖なるものを認めず、聖と俗を区別しないということが書かれていた。だから、イスラム聖職者とかイスラム僧というのは誤訳であるということらしい。あくまでも、コーランやイスラム法に通じている知識人のような者というのが社会的な位置づけらしい。
あれ、そうすると仏教でいえば禅宗の僧侶ではなく、浄土真宗かなんかの僧侶みたいなものかと思いきや、そもそも仏教なるものは一神教的な見方からすれば宗教なのかということになってしまうから、これはトンチンカンな解釈なんだろう。
イスラム教から見れば、キリスト教もユダヤ教もアブラハムにさかのぼると同じものであり、イエス・キリストも預言者の一人だという。ただ、三位一体説は退けられ、イエスは聖なる存在ではなく、あくまでも預言者の一人だという。つまり、人間だということ。
シュライエルマッハーは宗教を絶対依存の感情といったが、イスラム教の特徴はまさにこれに当てはまるのだという。
イスラム原理主義というが、原理主義というのはむしろキリスト教のプロテスタントの一部から出てきた話だと思われる。イスラム教とキリスト教の対決などというのは、二つの宗教のなかのごく一部の話で、実はこの二つの宗教の大本は一つだということは注意すべきということか。

0