沖縄県は72年まで米軍の施政権の下にあったせいで、本土に比べて道路などのインフラ整備が遅れていた。そのため政府は沖縄開発庁を設置し、沖縄関係の国家予算を一括して扱うようにしてきた。
2001年の中央省庁再編によって沖縄開発庁は内閣府に吸収され、沖縄振興局となった。沖縄総合事務局が内閣府の分局としておかれている。
このため、他県においては一般の国家予算のなかで扱われている事業が、沖縄県においては沖縄総合事務所に集中され、そこから県などに配分される等で事業化される。
他県に比べて沖縄県が中央政府から特別に手厚く優遇されているような錯覚を抱く人が多いのは、このお金の流れの特殊性による。
もしも内閣府に一度集められるお金の流れを廃して一般予算として配分してみると、人口一人当たりの予算額は全国の都道府県のなかで12位ぐらいである。一位は島根県だという。
70年代、80年代にはそれなりの意味があった沖縄県を巡る国家予算の仕組みを未だに温存しているのは、実は沖縄県のためというよりは、中央政府がある種の「錯覚」を利用して、沖縄を巡る政治をコントロールしようという意図が隠されているのだと言えそうである。

0