東京の国立市議選で国立・生活者ネットワークの三候補全員が落選し、改選前の三議席を失った。
国立ネットはこれまで、全員当選が続いていた。市議会で議席ゼロとなるのは一九九一年の結成以来初めてだという。
ただ、東京西部の市町村議選の結果を見ると、ネットは候補を立てた16市のうち14市で当選者を出している。小平、国分寺で3名、八王子、府中、昭島、東村山、狛江、多摩で2名が当選している。
しかし、これらの地域で強い組織力があるかといえば、どちらかというとこれまでの経験から集票能力を見て、ムダのない候補者数の絞り込みをしての戦術の成功が目立つ。
今回の国立市議会選挙の場合、定数22に女性13人、男性17人の計30人が立候補したなか、ネットはいずれも女性の現職2人、新人1人を擁立したものの、得票数はそれぞれ23位、24位、28位に終わった。
23位、24位に2人が並んだということは、これまでの経験則から推計した総集票力が下回ったためだということがうかがえる。
考えられるのは、元女優の候補が上位当選したことに見られるように、女性票が分散したということがあるかもしれない。また、前回市長選に現職ながら敗れた関口博・前市長が市議選に出馬して当選したため、票を奪われたということも考えられる。
前回の市長選で関口氏は、任期末期になって共産・社民両党から離反された。最後まで与党にとどまったのは生活者ネットと若干の無所属議員だけだった。そして、共産党は対立候補を出した。
今回、現職の佐藤市長に対抗馬として、神田候補が擁立され、ネット、社民党、共産党は再び共闘した。しかし、市長選挙の運動を通して、反自民・公明の旗印を目立たせたのは共産党ということになり、ネットの方は埋没した感があった。
最下位当選した民主党の候補の866票と、次点のネットの候補の813票の得票差はわずかだったから、もしも関口候補が市議に返り咲こうとしなければ、ネットは少なくとも1名は確保し、逆に民主党が共倒れになっていたかもしれない。
しかしまあ、ネットが一時の勢いを失っていて、選挙戦術の上手さで議席を確保しているのは確かであろう。ただ、今回の国立のようにそれは危うい綱渡りみたいな話であるようだ。

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