自民党一強支配に見えながらも、政党としての基盤は確実に弱っている。
1991年度に547万人いた自民党の党員は、2012年度で78万人しかいなくなった。
現在は80万人まで戻しているが、党員基盤は弱体化していることは確か。
保守の地盤だった町内会、自治会、業界団体は確実に衰弱化、あるいは高齢化している。
高齢化もあり、地方の自民党議員のなかには、「あと10年のうちに自民党員は8割死亡する」という人もいる。
強いと言われた小泉政権下でも、2005年の郵政選挙以外は、参院選などで苦戦していた。
個々の議員から見れば、後援会などの基盤が弱っているのをひしひしと感じている。2009年の政権交代もあって当選回数を重ねられなかった人も多い。だから衆議院議員の半分くらいが当選2回以下である。
ただし基盤がなくとも、議席数は多いから政党助成金はたくさん配分される。そうなると個々の議員も党中央からの資金に頼らざるを得ない。
したがって、党の公認は必須である。だから党の中央に意見が言えない。
ただし、政権交代で政権についた民主党への失望が大きく、その失地回復はなかなか困難に見える。
政権交代時に業界団体の陳情は当然激減した。しかしそれでも支持したのは日本会議などの、宗教右派団体のメンバーである。その意向を受けて、ハト派といわれる谷垣総裁の下で自民党憲法改正案が起草された。
そして、日本会議直属の政治家である安倍サンが、満を持して総裁に返り咲き、民主党の基盤をたたき壊すかのように衆院選で大勝した。しかし、全有権者からみれば自民党の得票は2割程度である。
2009年の選挙で民主党に投票したうちの一千万票近くが棄権したことにより、自民党が大勝した。
こういう状態は、正直言って党として健全な状態ではない。幅広い民意を汲み取れる状態にもない。だが、とりあえず今日明日のレベルでは、あまりこれといって問題が感じられない「茹でカエル」状態なのかもしれない。

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