日本の国が、実は諸外国に比べて租税負担率が高くないにもかかわらず「痛税感」が強いのは、バブル崩壊後に「高度経済成長期よ再び」とばかりにとっくに効果の薄くなっていた財政出動を繰り返した結果、政府債務の額が増大し、結果的に財政の融通性が失われたからだ。
日本が借金大国になったのは、ここ20年ほどの話で、バブル崩壊時には政府債務の額は300兆円程度と現在の1/4以下だった。
しかしバブル崩壊の穴埋めを公共事業のバラマキで行おうとしたため、借金増加に拍車がかかった。
今では1000兆円を超える借金の金利と、増加し続ける社会保障費を賄うため国民負担が重くのしかかっている。だから、大企業でさえ終身雇用制は昔の話になっているのに、働き盛りの人たちが急に仕事を失ったときのための生活保障となる雇用保険や、職業訓練などの制度に多くの予算を振り向けることができない。
雇用保険、職業訓練、生活保護などの最低限の生活が保障される制度にしばしば穴が空いていると指摘され、生活保護の補足率も低い。それが人々に、すべり台から一度落ちたら再び立ち上がれないという恐怖心を植え付け、自分の生活をやり直そうという再チャレンジへの意欲を奪っている。
これが日本の衰退の大きな原因だろう。

0