脱原発運動をしている人たちの間で、小泉元総理の脱原発はホンモノかどうかで言い争いをしている人がいるようだが、、まあどうでもいいことに心を煩わしているとしか言いようがない。
運動するなら、別に誰が脱原発を支持しようが、結局アンタはどう考えるのかが問題で、元首相が支持しようが、ローマ法王が支持しようが、脱原発は正しいと自分が思うかどうかの問題でありましょうね。
まあ、もちろん独りよがりにならないように、いろんな意見に耳を傾けるのは結構ですが。
昨年暮れの衆院選でも、今年の夏の参院選でも、脱原発派が一本になれなかったから自民党が勝ってしまったと嘆いている人がいるが、アタシは別に脱原発派が無理に一本になる必要はないと思っていた。
むしろ野党はバラバラでも、野党はみんな脱原発を支持してるが、自民党だけが原発推進という図式を作り出したほうがよりましだと思っていた。
どんなに良い政策を掲げて国会で多数をとっても、国の政策は変わらないことは、民主党政権の誕生のときに分かったことではないか。特に、日米関係に関することは、日本の政治には事実上選択肢はない。
脱原発派が無理無理一本化して政権をとっても、やがて別の政策の違いで内部分裂する。
なぜ脱原発はできないのか。要するに、今首相がなんの用意もなく脱原発を宣言したら、各電力会社の原発関係の施設や貯蔵している放射性廃棄物など、資産に計上しているものが負債になり、破産する恐れがあったというのが一番大きい。放射性廃棄物も、核燃料サイクルが成功すれば資産になるということになっているので、資産に計上されている。
それがあるせいで、少し前に電力会社の会計基準を変えて、少なくとも10年近く夫妻になるのを回避しようという改正を行った。しかし、電力会社に融資をしたメガバンクも、即時脱原発なんて受け入れないだろう。
日本の東芝や日立はアメリカなどの原発メーカーを買収している。いまさら原発止めますは困るだろう。日本には世界の原発の格納容器を製造している企業もある。
民主党政権がその末期に2030年代の原発ゼロを目標にすると宣言したら、アメリカ政府は、「じゃあいままでためこんだプルトニウムをどうするの?」と言って、拙速(?)な脱原発にくぎを刺した。
あれこれ考えると、そんな元総理が脱原発が良いと言っただけで、現総理が方針を変えるような状況じゃあるまい。さまざまなしがらみの上に、日本の危ない老朽原発は存在しているのである。
ただ、日本は今、9月から原発ゼロが続いている。再稼働はいくら政権が積極的でもかなり無理をしなければ大変であることは変わりない。それにドイツが即時脱原発はしなかったのは、電力会社がこれまで政府の基準を順守して動かしてきた原発を急に停止させたら、これまで投資してきたモノに対する損害賠償を請求されるから、という理由もある。しかしながら、ドイツは別に重大な原発事故を起こしたわけではないのに比べ、日本はなにせ世界最悪の事故を起こしてしまったという事実がある。
だから原発推進側も、なんとか福島事故を小さく見せようという工作をしているわけだし、IAEAの事故原因報告にも影響を与えてなんとか再稼働のお墨付きを与えてもらおうと必死なのである。
そういう背景をしっかり見つめることが大切である。それに比べれば小泉氏の発言などはどうでもいいことでありましょうね。まして、そんなことで言い争いするのは愚の骨頂。

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